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写真展 二日目③
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“ケン兄ちゃん”の写真の前
じっと見つめる一人の女性
「ねぇ、萌ちゃん
あの人前にも来てたよね」
受付からその人を見て言った
「うん、確かもう少し年配の
男性と一緒だったよ」
双葉にそう答えた
「それに…前にも
ケン兄ちゃんの写真をじっと
見てたような気がするわ」
そう付け加える萌
その言葉を聞いて改めて
女性を見る双葉
❨私の母よりは年上みたいだ
どうして彼の写真が気になる
んだろう…彼と関わりがある
人なんだろうか…?❩
「双葉ちゃん
どうかしたの?」
難しい顔の彼女に声をかけた
「あっ、ううん
なんでもないわよ」
そう言うと笑顔になる双葉
ガチャリ
ガラス扉が開いて茶髪の若い
青年が入っ来る
そして写真を見ている女性の
元へと行く
「あら、どうしたの?」
「あの、社長は…」
「健とはデパートの前で
別れたわ、私は今ここに
来たばかりよ」
そう言って“ケン兄ちゃん”の
写真を見た
「あれ、この写真は…」
「フフ、ほんと別人だわね
この写真の彼から見れば
あなたの茶髪なんて、まだ
可愛いものね」
「どういう意味ですか
これでも何年か前までは
暴れまわってたんだけどな」
「そんなこと
自慢にもならないわよ」
若い彼に向かって厳しく諭す
「わかってますよ、親には
ずいぶん迷惑かけてるから」
申し訳なさそうに話す彼
「そうね、でもね
何があってもいつかは
わかってくれるって親は
思ってるし、信じてるわ」
「すいませ~ん
お水、お願いします」
店の奥からのかけ声で水差し
を持ってその場に行く満弥
空っぽになった健のグラスに
水を注いだ
それを見ていた同じテーブル
にすわる健士が訊ねる
「君は、ひょっとして
龍谷専務の息子の満弥くん
じゃないのかな?」
「えっ?あの…」
おもわず健士の顔を見る
「一度専務と一緒にいる所を
見たことがあるんだ
といっても何年も前のことで
確か君は高校生だったはず」
「あの、どうして
高校生だって…?」
「あぁ、制服着てたからな」
暫く考え込む満弥
「じゃあ、それって
入学式か卒業式のときか」
そう答える彼
「満弥、こっち頼むよ」
カウンターの奥から呼ばれる
「あっ、ほら呼んでるよ」
一緒に座っている健が言う
「あの、あなたは…」
「君のおとうさんとは
仕事上での知り合いだよ」
「そうですか、父がいつも
お世話になってます」
そう言って頭を下げた
「龍谷って…
ドラゴンズカンパニーの
社長のことだよね」
叔父の顔をじっと見つめ聞く
「ああ、彼は専務の息子だ」
少し考え込む健
「確かあそこの社長って独身
だよね、専務は社長の弟…
じゃあ、君は時期社長候補
ってことになるのか?」
その言葉を聞いてテーブル
から離れる満弥
カウンターへと歩いていく
彼がいなくなり話し始めた
「普通はそうなんだろうな」
意味深な発言をした健士
そんな彼の様子に首を傾げる
「その言い方だと
何かあるみたいだなぁ」
健の問いかけに険しい顔に
なり小声で返答する
「これは噂なんだけど
時期社長候補は妹の一実さん
の娘だって話が流れてるんだ」
「えっ、だって
普通に考えたら弟の息子が
妥当だろ…?」
「だから
あくまでも“噂”だよ」
先ほどよりも小さい声で言う
「でも、どうして…」
健も小声で聞き返す
「さあ、詳しいことは
知らないんだけどね」
それだけ言うと黙ってしまう
「ありがとうございます」
帰っていった客のテーブルの
上の皿とカップを片付ける
“チリ~ン”
扉が開き客が入って来る
中年の女性と青年
「かあさん、こっちだよ」
店の奥から声をかける健
その声の方へと行く二人
「座るわよ」
健士の横に座る女性
健の隣に青年が座った
「写真、見に行かないの?」
目の前に座る健に訊ねる女性
黙ったまま彼女をじっと
見ている健
「会うのが怖いんだ」
少し口もとに笑みを浮かべて
言う女性
「そんなことはないよ
かあさん」
伏し目がちに言う健
「じやあ…萌さんは
どっちだろうね」
茶髪の青年が興味深げに言う
「どっち…って」
「受付に二人の女子がいたよ
ふわっとした可愛らしい女性
キリッとした気の強そうな
感じの女性なんだけど
俺はどちらかといえば
キリッとした女性がいいなぁ」
自分の好みを話しだす青年
「おまえの好みは知らないよ」
少し不機嫌な様子になる健
「そんなに気になるなら
見に行けばいいじゃない!」
「うるさいよ、かあさん!」
「どうやら彼で
間違いなさそうだな」
「おやじさん、でも彼は
タケルって呼ばれてたけど」
隣の席の会話を聞きながら
話す二人
「いらっしゃいませ」
奏が注文を取りにやって来た
「あら、あなたは
あのときの探偵さん…
ここはあなたの店なの?」
優しい笑顔で言った
「残念でした!
俺はここの雇われ人
ここの社長はあそこにいる
時だよ」
奏の言葉で一斉に
カウンターを見た
「彼がここの店主で
探偵の時です」
改めてみんなに紹介した
おもわず奏を見直した一同
「あの…
かまわないんですか?」
「えっ…?」
隣に座る二人を見る健
「ああ、彼らなら大丈夫です
俺たちのことは
わかってますから」
ガタン
椅子から立ち上がる二人
「じゃあ、俺たちはこれで」
そう言って店を出ていった
店に残っている客は四人だけ
カウンターにいた時が表の
“開店中”の札を持って入り
鍵を閉めた
「ここは、今は探偵事務所
お気遣いなく」
健に声をかけた奏
「探偵…ね」
「俺のこと
信用できませんか?
まぁ、それはかまいませんが
彼は、時は
信頼できる奴ですから」
その言葉を聞き終え
時がみんなを見て言った
「芦川萌さんからの依頼は
完了しています
あとは報告するだけです
どうしますか?」
健の目を見て訊ねた時
その目をじっと見返す健
「こちらから彼女に報告
するのは簡単なことです
でも、それでいいんですか?」
じっと見つめる一人の女性
「ねぇ、萌ちゃん
あの人前にも来てたよね」
受付からその人を見て言った
「うん、確かもう少し年配の
男性と一緒だったよ」
双葉にそう答えた
「それに…前にも
ケン兄ちゃんの写真をじっと
見てたような気がするわ」
そう付け加える萌
その言葉を聞いて改めて
女性を見る双葉
❨私の母よりは年上みたいだ
どうして彼の写真が気になる
んだろう…彼と関わりがある
人なんだろうか…?❩
「双葉ちゃん
どうかしたの?」
難しい顔の彼女に声をかけた
「あっ、ううん
なんでもないわよ」
そう言うと笑顔になる双葉
ガチャリ
ガラス扉が開いて茶髪の若い
青年が入っ来る
そして写真を見ている女性の
元へと行く
「あら、どうしたの?」
「あの、社長は…」
「健とはデパートの前で
別れたわ、私は今ここに
来たばかりよ」
そう言って“ケン兄ちゃん”の
写真を見た
「あれ、この写真は…」
「フフ、ほんと別人だわね
この写真の彼から見れば
あなたの茶髪なんて、まだ
可愛いものね」
「どういう意味ですか
これでも何年か前までは
暴れまわってたんだけどな」
「そんなこと
自慢にもならないわよ」
若い彼に向かって厳しく諭す
「わかってますよ、親には
ずいぶん迷惑かけてるから」
申し訳なさそうに話す彼
「そうね、でもね
何があってもいつかは
わかってくれるって親は
思ってるし、信じてるわ」
「すいませ~ん
お水、お願いします」
店の奥からのかけ声で水差し
を持ってその場に行く満弥
空っぽになった健のグラスに
水を注いだ
それを見ていた同じテーブル
にすわる健士が訊ねる
「君は、ひょっとして
龍谷専務の息子の満弥くん
じゃないのかな?」
「えっ?あの…」
おもわず健士の顔を見る
「一度専務と一緒にいる所を
見たことがあるんだ
といっても何年も前のことで
確か君は高校生だったはず」
「あの、どうして
高校生だって…?」
「あぁ、制服着てたからな」
暫く考え込む満弥
「じゃあ、それって
入学式か卒業式のときか」
そう答える彼
「満弥、こっち頼むよ」
カウンターの奥から呼ばれる
「あっ、ほら呼んでるよ」
一緒に座っている健が言う
「あの、あなたは…」
「君のおとうさんとは
仕事上での知り合いだよ」
「そうですか、父がいつも
お世話になってます」
そう言って頭を下げた
「龍谷って…
ドラゴンズカンパニーの
社長のことだよね」
叔父の顔をじっと見つめ聞く
「ああ、彼は専務の息子だ」
少し考え込む健
「確かあそこの社長って独身
だよね、専務は社長の弟…
じゃあ、君は時期社長候補
ってことになるのか?」
その言葉を聞いてテーブル
から離れる満弥
カウンターへと歩いていく
彼がいなくなり話し始めた
「普通はそうなんだろうな」
意味深な発言をした健士
そんな彼の様子に首を傾げる
「その言い方だと
何かあるみたいだなぁ」
健の問いかけに険しい顔に
なり小声で返答する
「これは噂なんだけど
時期社長候補は妹の一実さん
の娘だって話が流れてるんだ」
「えっ、だって
普通に考えたら弟の息子が
妥当だろ…?」
「だから
あくまでも“噂”だよ」
先ほどよりも小さい声で言う
「でも、どうして…」
健も小声で聞き返す
「さあ、詳しいことは
知らないんだけどね」
それだけ言うと黙ってしまう
「ありがとうございます」
帰っていった客のテーブルの
上の皿とカップを片付ける
“チリ~ン”
扉が開き客が入って来る
中年の女性と青年
「かあさん、こっちだよ」
店の奥から声をかける健
その声の方へと行く二人
「座るわよ」
健士の横に座る女性
健の隣に青年が座った
「写真、見に行かないの?」
目の前に座る健に訊ねる女性
黙ったまま彼女をじっと
見ている健
「会うのが怖いんだ」
少し口もとに笑みを浮かべて
言う女性
「そんなことはないよ
かあさん」
伏し目がちに言う健
「じやあ…萌さんは
どっちだろうね」
茶髪の青年が興味深げに言う
「どっち…って」
「受付に二人の女子がいたよ
ふわっとした可愛らしい女性
キリッとした気の強そうな
感じの女性なんだけど
俺はどちらかといえば
キリッとした女性がいいなぁ」
自分の好みを話しだす青年
「おまえの好みは知らないよ」
少し不機嫌な様子になる健
「そんなに気になるなら
見に行けばいいじゃない!」
「うるさいよ、かあさん!」
「どうやら彼で
間違いなさそうだな」
「おやじさん、でも彼は
タケルって呼ばれてたけど」
隣の席の会話を聞きながら
話す二人
「いらっしゃいませ」
奏が注文を取りにやって来た
「あら、あなたは
あのときの探偵さん…
ここはあなたの店なの?」
優しい笑顔で言った
「残念でした!
俺はここの雇われ人
ここの社長はあそこにいる
時だよ」
奏の言葉で一斉に
カウンターを見た
「彼がここの店主で
探偵の時です」
改めてみんなに紹介した
おもわず奏を見直した一同
「あの…
かまわないんですか?」
「えっ…?」
隣に座る二人を見る健
「ああ、彼らなら大丈夫です
俺たちのことは
わかってますから」
ガタン
椅子から立ち上がる二人
「じゃあ、俺たちはこれで」
そう言って店を出ていった
店に残っている客は四人だけ
カウンターにいた時が表の
“開店中”の札を持って入り
鍵を閉めた
「ここは、今は探偵事務所
お気遣いなく」
健に声をかけた奏
「探偵…ね」
「俺のこと
信用できませんか?
まぁ、それはかまいませんが
彼は、時は
信頼できる奴ですから」
その言葉を聞き終え
時がみんなを見て言った
「芦川萌さんからの依頼は
完了しています
あとは報告するだけです
どうしますか?」
健の目を見て訊ねた時
その目をじっと見返す健
「こちらから彼女に報告
するのは簡単なことです
でも、それでいいんですか?」
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