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「おはよう詩織ちゃん」
元気よく病室に来た看護師
「はい、体温計見せて」
彼女から受け取り
確認する
「平熱ね
にしては、目が赤いわね」
詩織の顔をじっと見る
「あっ、あの…」
おもわず顔を伏せた
❨だって…あの人、
洸さんのこと気になって
眠れなかったんだもん❩
「フフ、何かいいこと
あったのかな?」
からかうように言う看護師
「何があったのかは
知らないけれど
くれぐれも無理は駄目よ」
ニッコリ笑って
病室を出ていった
❨やだ、昨日のこと
知ってるのかしら…?❩
洸のことを思いだし
顔を赤らめる
❨今日もほんとに
来てくれるのかしら❩
昨日の洸との約束が
気になってしかたがなかった
やがて約束の時間が近づく
デートだといっても
ここは病院
オシャレなんか
できるわけがない
それでも小さな手鏡に
顔を映しおかしくないか
確かめる
❨そうだ、確か
カバンの中にリップが…❩
ロッカーの中から
ショルダーバックを
取りだしその中から
淡いピンクの色のリップを
取りだし唇に塗った
病室を出て中庭に来た
桜の木を見上げる
昨日よりもたくさんの蕾が
膨らんでいた
「わぁー
ピンクがふえてるー」
なんだか嬉しくなって
桜を見つめた
「こんにちは」
後ろから声をかけられる
もちろん声の主は洸さんだ
「ほんとに来てくれたんだ」
「あっ、いえ
そっそれは私のセリフです
まさか、ほんとに
来てくれるなんて
思ってなかった…」
洸の方を向いたものの
恥ずかしくて下を向いた
まま言う詩織
「俺は女の子との約束
破ったりしないよ」
頭の上から優しい声が
降り注いだ
「座ろうか」
「あっ、はい」
ベンチに座る二人
昨日は少し空いて
座っていたが
今日はほとんど
離れずに座った
横を見上げると
洸の整った横顔が
目に入った
❨ほんとに素敵な人だ…❩
胸の奥がドキドキして
顔が真っ赤になってしまう
❨こんなに素敵な人なんだから
彼女いるんだろうな❩
「でも、俺なんかと
一緒にいて彼氏に
怒られるかな?」
「かっ、彼氏だなんて
そんな人、いませんから」
両手を顔の前で振りながら
否定する詩織
そんな彼女の仕草に
おもわずお腹を抱えて
大笑いした洸
「あっ、あの…」
そんな洸をポカンと
見つめる詩織
「ほんと
君って可愛いよね」
おもわず身体中が
真っ赤になる
ガチガチになって
動けなくなってしまった
「そんなに緊張
しなくていいよ
俺は特別な人間
じゃないんだから」
相変わらず大笑い
したままで言う洸
ますます顔が赤くなり
その場から動けなくなる
その二人を見守るように
ピンクに色づき始めた桜
木々の間から降り注ぐ陽射し
優しく吹く風が包み込んだ
暫く黙ったまま
ベンチに座る二人
小鳥たちの声だけが
空に響いている
不意に詩織をじっと見る洸
「あっ、あの…」
「じゃあ、また明日」
そう言って
手を差しだす洸
「握手」
そして詩織の手を
ギュッと握る
何も言えずに洸を
見るだけの詩織
「また同じ時間にね」
それだけ言うと
通用口に向かって
歩きだした
元気よく病室に来た看護師
「はい、体温計見せて」
彼女から受け取り
確認する
「平熱ね
にしては、目が赤いわね」
詩織の顔をじっと見る
「あっ、あの…」
おもわず顔を伏せた
❨だって…あの人、
洸さんのこと気になって
眠れなかったんだもん❩
「フフ、何かいいこと
あったのかな?」
からかうように言う看護師
「何があったのかは
知らないけれど
くれぐれも無理は駄目よ」
ニッコリ笑って
病室を出ていった
❨やだ、昨日のこと
知ってるのかしら…?❩
洸のことを思いだし
顔を赤らめる
❨今日もほんとに
来てくれるのかしら❩
昨日の洸との約束が
気になってしかたがなかった
やがて約束の時間が近づく
デートだといっても
ここは病院
オシャレなんか
できるわけがない
それでも小さな手鏡に
顔を映しおかしくないか
確かめる
❨そうだ、確か
カバンの中にリップが…❩
ロッカーの中から
ショルダーバックを
取りだしその中から
淡いピンクの色のリップを
取りだし唇に塗った
病室を出て中庭に来た
桜の木を見上げる
昨日よりもたくさんの蕾が
膨らんでいた
「わぁー
ピンクがふえてるー」
なんだか嬉しくなって
桜を見つめた
「こんにちは」
後ろから声をかけられる
もちろん声の主は洸さんだ
「ほんとに来てくれたんだ」
「あっ、いえ
そっそれは私のセリフです
まさか、ほんとに
来てくれるなんて
思ってなかった…」
洸の方を向いたものの
恥ずかしくて下を向いた
まま言う詩織
「俺は女の子との約束
破ったりしないよ」
頭の上から優しい声が
降り注いだ
「座ろうか」
「あっ、はい」
ベンチに座る二人
昨日は少し空いて
座っていたが
今日はほとんど
離れずに座った
横を見上げると
洸の整った横顔が
目に入った
❨ほんとに素敵な人だ…❩
胸の奥がドキドキして
顔が真っ赤になってしまう
❨こんなに素敵な人なんだから
彼女いるんだろうな❩
「でも、俺なんかと
一緒にいて彼氏に
怒られるかな?」
「かっ、彼氏だなんて
そんな人、いませんから」
両手を顔の前で振りながら
否定する詩織
そんな彼女の仕草に
おもわずお腹を抱えて
大笑いした洸
「あっ、あの…」
そんな洸をポカンと
見つめる詩織
「ほんと
君って可愛いよね」
おもわず身体中が
真っ赤になる
ガチガチになって
動けなくなってしまった
「そんなに緊張
しなくていいよ
俺は特別な人間
じゃないんだから」
相変わらず大笑い
したままで言う洸
ますます顔が赤くなり
その場から動けなくなる
その二人を見守るように
ピンクに色づき始めた桜
木々の間から降り注ぐ陽射し
優しく吹く風が包み込んだ
暫く黙ったまま
ベンチに座る二人
小鳥たちの声だけが
空に響いている
不意に詩織をじっと見る洸
「あっ、あの…」
「じゃあ、また明日」
そう言って
手を差しだす洸
「握手」
そして詩織の手を
ギュッと握る
何も言えずに洸を
見るだけの詩織
「また同じ時間にね」
それだけ言うと
通用口に向かって
歩きだした
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