風の想い 風の行方

木葉風子

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家族

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病院の駐車場
「じゃあ、ぼく
おとうさんと帰るね」
輝が英司の車に乗った

「僕がふぅちゃんと
江莉香さんを送っていくよ」
「敬くん、お願いね」
2人が礼を言う

「そっか!
じゃあ怜、帰るぞ!」

楓子をじっと見つめる怜
「私は大丈夫よ怜
あなたの方こそ
気持ちを落ち着けてね」
楓子の前に手を差しだす怜
その手を握り返す楓子
「ありがとう」
お互い見つめ合う
「ほら、早くしろ怜」
それぞれの家に向かって
走りだした車

英司の車の中
「どうした輝」
父親を見る輝
「帰りの車の中でね
江莉香さんに言われたんだ
素敵な両親がいて
いいわねってさ…」
黙って聞く英司
「みんなの分も
幸せにならなきゃ
ダメだって
それに両親に
感謝しなさいって!」
「輝だけじゃなくて
みんな子供だよ
だからみんな幸せに
なって欲しいと願っているよ」
「みんな…
敬も怜も毅も
みんななんだね!
江莉香さんがね
ぼくたちは兄弟だって
大切な家族なんだって…」
車が家に着いた
「おかえりなさい」
優しいおかあさんの声
ぼくの大切な家族
幸せな時間
そして最高の友達
敬 怜 毅
みんな みんな
幸せな時間が
訪れますように

尚登の車の中
「落ち着いたのか?」
「すこしはね…」
「なるほど
彼女の癒しのパワーが
効いたわけだ」
「癒しのパワーって…」
尚登を見る
「おまえには
最高の治療薬だよ」

敬の車の中
「ふぅちゃん、大丈夫?」
「敬くん…私
どうしていいのか…」
哀しげな楓子
「ノンちゃんにとって
何が大切なのかが
最優先だよね」
「あの母親に返すのは
賛成できないわ」
「江莉香さん
僕もそう思う
怜は、奴は自分自身と
重ね合わせてる、だから
感情的になってるんだ」
冷静に言う敬
「怜は強がってるだけ
ほんとは…」
「わかってるよ
まぁ、奴のことは
ふぅちゃんに任せるからね」
「確かにね
あんなにイライラ
してたのにね…
誰かさんの一言で
すっかり落ち着くんだから」

翌日、マンションの前
「おはよう」
怜が車の中から挨拶する
「怜、おはよう
気分はどう?」
「大丈夫!ちゃんと
切り替えはできてるよ」
少し安心する楓子
「えっ、病院
行かなくていいのか?」
「ノンちゃんも疲れてるわ
今日は昼から行くわ」

3人の職場がある
ビルの前の駐車場に到着
それぞれの職場に行く
「じゃあ、私はここで」
「ふぅちゃん、お昼に
送っていくからね」
小さく頷く彼女
エレベーターが止まり
ドアが開き2人が乗る
ドアが閉まるまで見送る

「まるで新婚さんね…」
「そりゃ、どうも…」
「否定しないんだ!
いっそ、ほんとにすれば?」
「まだまだ無理だよ
俺は半人前だからね…」
「私、部屋でてもいいのよ
そろそろ家に帰ろうって
思ってたしね」
「でもさ…」
「親孝行しなきゃあね」
エレベーターが止まった
「着いたわよ」
ひとり残った江莉香

❨ねぇ、怜くん
なぜ私がふぅちゃんと
暮らそうと思ったかわかる?
ほっとけなかったのよ!
ひとり残った彼女のことを❩

法律事務所の扉を開ける
「おはよう」
「おとうさん」
彼の胸に飛び込んだ
「どうした?」
驚く正悟
「私、おとうさんと
おかあさんの娘に生まれて
幸せよ!」
「私もだよ!
素敵な娘をもてて
おかあさんに感謝だよ…」

時刻はお昼過ぎ
「ごめんね、忙しいのに…」
「かまわないよ」
車が病院に到着
看護師が駐車場で待っていた
「大変なのよ!」
こちらへ駆け寄って来る
「何かあったんですか?」
「希美ちゃんが
いなくなったのよ!!」
慌てた様子の看護師
「えっ?
いなくなった?どうして?」
怜が彼女に聞く
「母親が連れ出した
みたいなのよ…」
顔を見合わす楓子と怜
「今、探してるのよ」
「俺も探す!」
「私も!」
「とりあえず公園の方を
探して見るよ」

「ママ
鳥さん、どこ?」
病院の近くの公園に来た希美
「あっ、鳥さんいたよ」
木々の間を飛び回る
小鳥を見て喜ぶ
「ママ
おうち、かえろ…
ノン
まってるから…
ママがかえってくるまで
ちゃんとまってるから
だから
おうちかえろ」
娘を見る母親

「ノンちゃん」
「ふぅちゃん、ほら
鳥さんいっぱいいるよ」

「良かったぁ」
その場に座り込む楓子
声を聞きつけ怜がやって来る

「れいくん
鳥さんだよ」
笑顔の希美
「ノンちゃん
病院に戻ろう」
「れいくん
ノン、おうちがいい」
怜を見る希美
「あのさ、ノンちゃん
お医者さんがいいって
言うまではね病院に
いなくちゃだめなんだよ」
「ダメなの?」
そこへ英司がやって来た
「あっ、おいしゃさんだ」
英司が希美の目線まで
しゃがんで言う
「希美ちゃん
怜くんの言うとおり
もう少しだけ病院に
いようね」
「じゃあね、も少しいたら
ママのとこへかえれるの?」

誰も答えない
すると今まで
黙っていた母親が
希美の前に行く

「希美…」
「なぁに、ママ」
「あのね
ママ、暫く遠くへ行くの
だからみんなの言うとおりに
していい子で待っててね」
母親をじっと見つめる希美
「どうして?
ノン、わるいこなの?
ノンのこときらいなの?」
おもわず希美を
ギュッと抱きしめた

「希美はいい子よ!
悪いのはママ…
ごめんね…
きっといいママになるから
それまで
みんなの言う事聞いて
待ってて!
絶対迎えに行くから…」
「ほんとに…?」
嬉しそうに笑う希美
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