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■あとがき

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 本作品「アヴァロンの戦士たち | 先カンブリア時代エディアカラ紀―Period of Ediacaran*―」は、「エディアカラ紀」という先カンブリア時代の末期における未知の世界を舞台に描いた物語です。読者の皆さまに、この遥か昔の地質時代を背景にした「いきものドラマ」を楽しんでいただけたならば幸いです。

*正式には "Ediacaran period" ですが、Period of Ediacaran と表記することで字面がかっこよくなり、 "o" が2つ登場することでルンバとトーゴのイラストを表紙に入れることができました。
「エ」と「ヱ」も、字面です。


 なぜこんな物語をノリと勢いで投下したのかというと、それはここアルファポリスで「歴史・時代小説大賞」といイベントが実施されていたからであります。
「踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃ損々」という格言がありますでしょう。(「各作者様方が厳かに作品を投稿される中、マジモンの阿呆が乗り込んでしまった」というのが正しい)

 兎にも角にも、「歴史・時代小説」と聞いてレギュレーションを読み、おやじギャル*もおったまげの古い時代の作品を出したくなったのです。
 最初は旧石器時代のナウマンゾウと人間のバトルを描くつもりでしたが、古さのパンチ力が足りない気がしまして、ボツに。

*おやじギャル:おやじくさい若い女性を表す1990年代の言葉。

 カンブリア紀(5億4100万年前)を舞台に三葉虫によるアノマロカリスへの下剋上をやっても良かったのですが……
 三葉虫とストロマトライト(最古レベルの生物というか岩・20億年前)との間にドラマティックな生物はいなかったのか~い? 先カンブリア時代にも、なんかイカした生物がいたんじゃないの~? という疑問が。

 そしたらいるじゃん、エディアカラ生物群!
「エディアカラ紀(6億3500万年前から5億4100万年前)」の生物たち、実にユニーク! キャラがバリサン*で立っておりました。エディアカラ紀は、私が義務教育を終えたときにはまだ制定されていなかった地質時代です。研究者の皆さまに感謝&リスペクト。ナウなヤングであれば当たり前だのクラッカーというエディアカラ紀も、インターネット老人会構成員にはなじみなきものなのでした。

*バリサン:携帯電話の電波状態が極めて良好で、アンテナマークが三本表示されていること。


 さて、ここで古生代に対する不満を一つ。
 映画「ジュラシック・パーク」って、ネーミングが不適切だと思いませんか? ほら、ジュラ紀って草食恐竜のほうがメインの時代だったから。劇中にババーンと出てくるティラノとか、あれ本当は白亜紀でしょう? だから映画のタイトルは「白亜ック・パーク」じゃなきゃ納得いかないのです。

 テレ東の「カンブリア宮殿」? ……あれはそのままでいいんじゃないでしょうか。無理に「エディアカラ宮殿」とつけても、前述の通り視聴者層が義務教育を終えた後の制定ではわからない方が多いでしょうし、「アヴァロン宮殿」では「ヴァルハラ宮殿*じゃなくて?」と言われてしまうのではないかと。

*ヴァルハラ宮殿:オーディンの住まい。たぶん藤沢市役所より小さい。

 エディアカラ紀の生物たちが残した足跡は、これから創作界隈で盛り上げていければいいのです。サカバンバスピス(オルドビス紀・4億5千年前)みたいに、何がきっかけで大ブレイクするかはわかりませんから(◉▼◉)


 本作品を読んでくださったアルファポリスの皆さま、
 古生代作品も投稿できるように配慮してくださった運営のみなさま、
 そして、エディアカラ紀を研究者してきた皆さまに、
 この場をお借りして深く感謝申し上げます。

2024年6月
駒良瀬 洋



【参考文献】
・『エディアカラ紀・カンブリア紀の生物』土屋健(技術評論社)
・『リアルサイズ古生物図鑑』土屋健(技術評論社)
・『地球大進化 2: まんがNHKスペシャル 46億年・人類への旅[全球凍結]』小林たつよし(小学館)
・『最強王図鑑シリーズ 水中最強王図鑑』G・MASUKAWA 監修 / なんばきび 絵(Gakken)

【人外が主人公ならこんくらいムチャクチャでもいいんじゃないか的な参考資料】
・『おまえうまそうだな』宮西達也(ポプラ社)
・『スイミー ちいさなかしこいさかなのはなし』レオ・レオニ 作 / 谷川俊太郎 訳(好学社)
・『すてねこタイガーと家出犬スポット』リブ・フローデ 作 / 木村由利子 訳 / かみやしん 絵(文研出版)

【世界観の構築ネタ】
・『魁!!男塾』宮下あきら(集英社)

【取材先】
・『世界三大記念艦「三笠」』(神奈川県横須賀市)


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最後までお読みいただきありがとうございました!
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