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第六章 ベビーブーム到来、まだ見ぬ地への冒険へ
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カルニオディスクスに有機物の栄養を贈る習慣が根付き、アヴァロンはますます豊かになっていった。海底のバクテリア・カーペットはかつてないほどの繁殖を見せ、生物たちの活動はますます活発になっている。痩せていたヨルギアたちはすっかり丸くなったし、様々な種が赤ん坊を産んでいる。いつの間にかトリブラキディウムの数も増えて、朝の挨拶がコーラスのようになっている。栄養の好循環が繁栄を促進し、アヴァロン全体が活気に満ちていた。
ディッキンソニアたちは相変わらず縄張り意識が強かったが、以前のように強引に他の生物を押しのけることは減った。スコッティの成長と活躍を目の当たりにした影響か、彼らの中にも協調の精神が芽生えつつあったのだ。あの美しいメスのディッキンソニア―ディックの愛人―もお腹が大きくなり、遠出を控えているように見えた。
ルンバも成長していた。仲間との再会は心の平穏をもたらしてくれたし、栄養たっぷりの食事ができるようになり体力も充実してきた。おかげで、また冒険への意欲がむくむくと湧いてきたのだ。冒険こそがルンバの本分だ。
「おいルンバ、今日はどこで飛び跳ねるんだ?」
オバトスクータムのタムタムがからかい混じりにルンバへ問いかける。タムタムは相変わらず赤バクテリアを食べたがっているが、その強欲な態度も以前より和らいだ雰囲気となっていた。近場で小さな赤バクテリアをほじることよりも、行動範囲を広げて大きなサイズを探すことにいそしんでいる。
ルンバはにこりと笑って応じた。
「僕はもともと冒険が好きなんだ。だからいつでも外の世界が気になっているんだよ」
ルンバは軽快に飛び跳ねて、親友の元へと向かった。
ルンバは勢いをつけて三ジャンプの場所にある親友トーゴの棲家へ出向き、声をかけた。
「トーゴ、久しぶりに冒険に出かけてみない?」
「いいね、ルンバ。どこへ行こうか?」
久々の冒険コンビ復活とあって、トーゴは目を輝かせて応じた。
アヴァロンほど恵まれた海域は珍しい。ヨルギアやディッキンソニアの集団がこれだけ住んでいても、食糧の尽きることがない。しかし、海は日々変化し続けるものと相場が決まっている。この繁栄が長く続くという保証はないのだ。餌がなくなればまた新しい土地へ移動しなければならない。そのためにも、若く元気なヨルギアには冒険という役割が期待されている。ルンバとトーゴはその中心となり、未来に備えるのだ。
「日の沈む方角にまだ行ったことのない場所がたくさんあるよ。さあ、出発しよう!」
二匹は海底を進み、見慣れたアヴァロンの景色から少しずつ離れていった。境界近くに生息するエルニエッタのグループが口をパクパクしながら見送る。縄張りを守る仕事のディッキンソニアも一匹、視線で二匹を見送った。
この先はアヴァロンの外。バクテリア・カーペットが広がっていた穏やかな海底は、次第に多様な砂の地形に変わっていった。ジャンプのできる活発なヨルギアは、ちょっとした起伏や障害物ならば、ものともせず軽快に飛び越えていく。
「ここから先は初めて行くんだ」
ルンバが興味津々に言った。
トーゴが潮の流れと水質を注意深く観察しながら応じる。
「もしかしたら、新しいバクテリア・カーペットが発見できるかもかもしれないね」
ルンバは期待に胸を膨らませながら海底を駆け出した。
---
お読みいただきありがとうございます。
いよいよ後半戦、この勢いで6月中に完結できるよう頑張ります。
いいね💖、歴史・時代小説大賞での投票等いただけると励みになりますので、気が向いたら宜しくお願いいたします。
ディッキンソニアたちは相変わらず縄張り意識が強かったが、以前のように強引に他の生物を押しのけることは減った。スコッティの成長と活躍を目の当たりにした影響か、彼らの中にも協調の精神が芽生えつつあったのだ。あの美しいメスのディッキンソニア―ディックの愛人―もお腹が大きくなり、遠出を控えているように見えた。
ルンバも成長していた。仲間との再会は心の平穏をもたらしてくれたし、栄養たっぷりの食事ができるようになり体力も充実してきた。おかげで、また冒険への意欲がむくむくと湧いてきたのだ。冒険こそがルンバの本分だ。
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ルンバはにこりと笑って応じた。
「僕はもともと冒険が好きなんだ。だからいつでも外の世界が気になっているんだよ」
ルンバは軽快に飛び跳ねて、親友の元へと向かった。
ルンバは勢いをつけて三ジャンプの場所にある親友トーゴの棲家へ出向き、声をかけた。
「トーゴ、久しぶりに冒険に出かけてみない?」
「いいね、ルンバ。どこへ行こうか?」
久々の冒険コンビ復活とあって、トーゴは目を輝かせて応じた。
アヴァロンほど恵まれた海域は珍しい。ヨルギアやディッキンソニアの集団がこれだけ住んでいても、食糧の尽きることがない。しかし、海は日々変化し続けるものと相場が決まっている。この繁栄が長く続くという保証はないのだ。餌がなくなればまた新しい土地へ移動しなければならない。そのためにも、若く元気なヨルギアには冒険という役割が期待されている。ルンバとトーゴはその中心となり、未来に備えるのだ。
「日の沈む方角にまだ行ったことのない場所がたくさんあるよ。さあ、出発しよう!」
二匹は海底を進み、見慣れたアヴァロンの景色から少しずつ離れていった。境界近くに生息するエルニエッタのグループが口をパクパクしながら見送る。縄張りを守る仕事のディッキンソニアも一匹、視線で二匹を見送った。
この先はアヴァロンの外。バクテリア・カーペットが広がっていた穏やかな海底は、次第に多様な砂の地形に変わっていった。ジャンプのできる活発なヨルギアは、ちょっとした起伏や障害物ならば、ものともせず軽快に飛び越えていく。
「ここから先は初めて行くんだ」
ルンバが興味津々に言った。
トーゴが潮の流れと水質を注意深く観察しながら応じる。
「もしかしたら、新しいバクテリア・カーペットが発見できるかもかもしれないね」
ルンバは期待に胸を膨らませながら海底を駆け出した。
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お読みいただきありがとうございます。
いよいよ後半戦、この勢いで6月中に完結できるよう頑張ります。
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