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第十一話
あぁ、思い出した
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「なんでって、お前との会話を邪魔されない為だ。」
アスカは唇をツンっとさせ、まるでツンデレにあるツンを表しているかのようだった。ナリスはアスカの態度など知らぬと言わんばかりに、アスカに自身が思っている事を言葉として叫ぶように言い放つ。
「はぁ?!なんなんだよお前!何様のつもりだ!!俺はお前の事なんか知らないし、いきなり、き、き、キス………して、くるし!意味分かんないよ!!!」
─オウ………自分が知っているナリスのイメージがことごとく壊れていく…………
ナリスは自身が思っている事を言い放ち、ハァハァと息を切らしていたが、ナリスの顔は心なしか楽になっているようだった。
しかし、一人、いや一匹の獣人アスカだけは顔面を蒼白にし、まるで絶望しているかのようだった。そのとたん、アスカはナリスにではなく優一の胸ぐらを掴み、勢い良く優一を押し倒した。
「うわっっ!!」
「お前………ナリスの記憶を魔術で阻害したのか?じゃなきゃあんなに優しいナリスが怒るわけっ!………怒る………わけ………」
目元には大粒の涙を溜め込み必死でその涙を流さないようにとしている。だがそんなことは長くは続かず、アスカはとうとう、うっ、うぅっ、と男らしい泣きかたで泣いてしまった。
「ふざけんなよ………ふざけ……んな」
「あ、アスカ?」
優一はアスカの名を呼んだが、ギラッとしたその獣の瞳は殺気をおびており、その眼差しだけで人を何人も殺せてしまうかのような威圧感があった。
その姿にナリスも動揺し始めた。自身が言ったことが地雷だったのか?あるいは自身が忘れているだけでアスカと言う獣人を知っているのか?ナリスは優一の為にも一刻も早く思い出さなければと思い、記憶を辿っていく。その間アスカが優一にキズを付けないかと神経をとがらさて。
─獣人………確か、三十年前に獣人の村を訪れた事があったな。けれど狼の獣人なんていたか?いや、そこでしか獣人には会ってない。思い出せ、…………っ!!
そこであることを思い出した。それは約三十年前のこと。
─────
獣人の村が魔物に襲われ、その後の傷付いた獣人達の傷を癒す仕事をナリスは受けていた。
そこには重症患者であった赤黒い毛並みをした獣人がいた。その獣人はまだ幼く、血を流し過ぎたせいか顔が少々青くなっていたのだ。ナリスはこのままでは死んでしまう!、と思い自らの血を分け与えた。
エルフの血は綺麗で不純物は無く、戦では、血が足りなくなり危篤状態に陥った兵士に血を飲ませる事によって危篤状態から復活すると話には聞いていたが、ハーフエルフである自分がやっていいことなのか、と迷っていた。しかしやらずに見殺しにするよりはっ!と覚悟を決め、腕にナイフを突き立てた。
腕からはポタポタと血が垂れて、青ざめていた子供の獣人の口元に流し込まれていく。
─頼むっ!!
すると赤黒の獣人はみるみるうちに顔色が元に戻っていった。ナリスは良かった、良かった!と思う、しかし目の前が白くなり、ナリスは倒れこんでしまった。
倒たナリスを何者かが、派遣されていた神官の元へ運んでくれたらしい。
らしい、と言うのはナリス自身が倒れてからの事をよく覚えていないからだ。神官の話によるとエルフは血が鮮血であるが血を流し過ぎると逆に倒れたり、出血量が多ければ死に至ると言う。
人や獣人などは血が多少出たとしてもなんとかなるらしいのだが、エルフやマルル族などは血の流し過ぎが命に関わるとのこと、その事実にナリスはゾッとした。一歩間違えれば自分のほうが命を落としていたかもしれないのだ。
神官には感謝してもしきれない気持ちが込み上げてくる。
自分の知識の過ちが自分を殺すのだと思い知らされる事だった。その後、無事に治療した赤黒の獣人が回復したと聞いた時は安堵した。あぁ、救えたのか、と。
だがしかし、もうあのような事はしないでくれ、と神官からは鬼の形相で言われてしまった。その神官は命を大切に、と日々祈っているらしい。その為か命の事になると熱血的になる。今知った、と言うか命の事を長々と語られた。
ーーーーー
「ここからは作者から」
えぇ、皆様まさかの数ヵ月ぶりでございます。大変長らくお待たせしました。ヤバいヤバいと思いながらもちまちまやっていたんです、なのに………なのにっ………と油断は禁物と言う言葉に当てはまるような自堕落すぎる生活をしてしまいました。ですがルビの振り方等の上達?やもっとこう!みたいなネタを考えたり、まぁ、物語事態が違くなるのですがね(笑)
そうこうしているうちに早数ヵ月。うん、ヤバい。そろそろ干されそう……てかわすれさられるな!と今も少し焦ってるんですが、なんとか書き終わりました!
と、いうところでそろそろおいとまします。これ以上書くと本編より長いんですが!と言われてしまう………それでは、今月2本(少なくない?)上げられるように頑張ります!以上、作者でした。
アスカは唇をツンっとさせ、まるでツンデレにあるツンを表しているかのようだった。ナリスはアスカの態度など知らぬと言わんばかりに、アスカに自身が思っている事を言葉として叫ぶように言い放つ。
「はぁ?!なんなんだよお前!何様のつもりだ!!俺はお前の事なんか知らないし、いきなり、き、き、キス………して、くるし!意味分かんないよ!!!」
─オウ………自分が知っているナリスのイメージがことごとく壊れていく…………
ナリスは自身が思っている事を言い放ち、ハァハァと息を切らしていたが、ナリスの顔は心なしか楽になっているようだった。
しかし、一人、いや一匹の獣人アスカだけは顔面を蒼白にし、まるで絶望しているかのようだった。そのとたん、アスカはナリスにではなく優一の胸ぐらを掴み、勢い良く優一を押し倒した。
「うわっっ!!」
「お前………ナリスの記憶を魔術で阻害したのか?じゃなきゃあんなに優しいナリスが怒るわけっ!………怒る………わけ………」
目元には大粒の涙を溜め込み必死でその涙を流さないようにとしている。だがそんなことは長くは続かず、アスカはとうとう、うっ、うぅっ、と男らしい泣きかたで泣いてしまった。
「ふざけんなよ………ふざけ……んな」
「あ、アスカ?」
優一はアスカの名を呼んだが、ギラッとしたその獣の瞳は殺気をおびており、その眼差しだけで人を何人も殺せてしまうかのような威圧感があった。
その姿にナリスも動揺し始めた。自身が言ったことが地雷だったのか?あるいは自身が忘れているだけでアスカと言う獣人を知っているのか?ナリスは優一の為にも一刻も早く思い出さなければと思い、記憶を辿っていく。その間アスカが優一にキズを付けないかと神経をとがらさて。
─獣人………確か、三十年前に獣人の村を訪れた事があったな。けれど狼の獣人なんていたか?いや、そこでしか獣人には会ってない。思い出せ、…………っ!!
そこであることを思い出した。それは約三十年前のこと。
─────
獣人の村が魔物に襲われ、その後の傷付いた獣人達の傷を癒す仕事をナリスは受けていた。
そこには重症患者であった赤黒い毛並みをした獣人がいた。その獣人はまだ幼く、血を流し過ぎたせいか顔が少々青くなっていたのだ。ナリスはこのままでは死んでしまう!、と思い自らの血を分け与えた。
エルフの血は綺麗で不純物は無く、戦では、血が足りなくなり危篤状態に陥った兵士に血を飲ませる事によって危篤状態から復活すると話には聞いていたが、ハーフエルフである自分がやっていいことなのか、と迷っていた。しかしやらずに見殺しにするよりはっ!と覚悟を決め、腕にナイフを突き立てた。
腕からはポタポタと血が垂れて、青ざめていた子供の獣人の口元に流し込まれていく。
─頼むっ!!
すると赤黒の獣人はみるみるうちに顔色が元に戻っていった。ナリスは良かった、良かった!と思う、しかし目の前が白くなり、ナリスは倒れこんでしまった。
倒たナリスを何者かが、派遣されていた神官の元へ運んでくれたらしい。
らしい、と言うのはナリス自身が倒れてからの事をよく覚えていないからだ。神官の話によるとエルフは血が鮮血であるが血を流し過ぎると逆に倒れたり、出血量が多ければ死に至ると言う。
人や獣人などは血が多少出たとしてもなんとかなるらしいのだが、エルフやマルル族などは血の流し過ぎが命に関わるとのこと、その事実にナリスはゾッとした。一歩間違えれば自分のほうが命を落としていたかもしれないのだ。
神官には感謝してもしきれない気持ちが込み上げてくる。
自分の知識の過ちが自分を殺すのだと思い知らされる事だった。その後、無事に治療した赤黒の獣人が回復したと聞いた時は安堵した。あぁ、救えたのか、と。
だがしかし、もうあのような事はしないでくれ、と神官からは鬼の形相で言われてしまった。その神官は命を大切に、と日々祈っているらしい。その為か命の事になると熱血的になる。今知った、と言うか命の事を長々と語られた。
ーーーーー
「ここからは作者から」
えぇ、皆様まさかの数ヵ月ぶりでございます。大変長らくお待たせしました。ヤバいヤバいと思いながらもちまちまやっていたんです、なのに………なのにっ………と油断は禁物と言う言葉に当てはまるような自堕落すぎる生活をしてしまいました。ですがルビの振り方等の上達?やもっとこう!みたいなネタを考えたり、まぁ、物語事態が違くなるのですがね(笑)
そうこうしているうちに早数ヵ月。うん、ヤバい。そろそろ干されそう……てかわすれさられるな!と今も少し焦ってるんですが、なんとか書き終わりました!
と、いうところでそろそろおいとまします。これ以上書くと本編より長いんですが!と言われてしまう………それでは、今月2本(少なくない?)上げられるように頑張ります!以上、作者でした。
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