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第十話

番外編、天国にいるミシェルの話。Ⅰ

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 天国に行ったミシェル、彼は今山積みになった書類達と戦っていた。

ーもう、やだ…………なんなの?なんでこんなにもあるの?意味分からん………

『ミシェイル様、机に顔をくっつけても、仕事は無くなりませんよ?』
『う、うるさい!!今は休憩中なんだっ!!』

 はぁ、とため息をつく六羽の天使は持ってきていた新たな書類を積み上げる。

『えっ!?』
『あともう少しですよ、ちゃんとやってください。』
『うえーーーーー!!』

 ミシェルはぐったりとした素振りをしながら、次の紙を手元に持っていく。書類を見ている姿はまるで天使長のようだが、頭脳は神様だ。一秒も満たない間で書類を見通し、書き始める。

ーあの姿は神様らしいのですがね…………

 そう思いながら六羽の天使、マフィエルは現世で手に入れたであろう紅茶を作り始める。

『…………ねぇ、マフィ神の俺でもさ子供って出来るのかな?』
『…………いま、ナント?』
『だから、子供が欲しいって言ってんの!』

 マフィエルはカップに注いでいたお湯を盛大に溢しながら、絶句していた。

ーあの、ミシェイル様が子供!?確かに愛と純情の神と唱われる神ですが、そんな素振り見せた事すら無かったあのミシェイル様が、こ、ここ、子供!?

 マフィエルは咳を一つし、その応えに答える。

『それは、人間との、ですか?』
『そうだよ。』
『………例は地球側の方で神とのハーフが生まれていたこともあるそうですが、歴史の筋道が改変される可能性があります。』
『結局は大丈夫なの?』
『ええ、男同士となれば分かりませんが。』
『えっ!!』
『はい?』

ーなぜ、男同士の所で驚くのだろう………

 この時は分かっていなかったマフィエル。いや、薄々勘づいていたのですが、まさか愛したのがよりにもよって“ 男同士 ”だとは………
 なぜ知ったのかと言うと、天界にある過去と未来を写し出す“ 鏡 ”を使い、ミシェルの行動を詳しく見ていた。

ーえーと………ここ、ぐらい、かな?

 持ち手のダイヤを上手に扱い、ミシェルが管理している“男性だけの世界”からミシェルの行動を確かめる。

『ブブン……ブン----------』

ーお、きたきた…………

『リクたん~っ!何してるの?』
『あっ!ミシェル~』

 リクと呼ばれた少年はミシェルに抱きついてくる。

ーチッ、私ですらかわされるのに………羨まし、じゃなかった、神々しい神になんと言う行為っ!!

 マフィエルさん、心駄々漏れ出すよ………

『俺、俺………成人する年になったら婚約することになってしまったんす』
『…………はえ?』
『二十になったらって事だったんすけど、相手側の事情で、あと、一年に………』
『…………』

 ミシェルはその話を静かに聞いていた。いや、強いて言うなら聞くことしか出来なかった、と言うことだろう。

ーこれが、ミシェイル様を恋に落とした者?ただのガキじゃねぇーか。

 こらこら、マフィエルさん。口調が天使ではないですよ?

『………俺は、後悔したくないんだ。だからこれだけは言わせて欲しい………』

ーあ?なんだよ?婚約する前に好きとか言うつもりか?

『本当は、ミシェルが好きなんだ!!』
『っ!!』

ーまじかーーーッッッ!!

 案の定マフィエルが思った通りリクは、ミシェルに告白をした。
 心の中では、アァ、頼むからその先は無くなってくれ!!と懇願するマフィエルであった。





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