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第十話

盗み聞きして悪いけど、良いっ!!

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 優一が下心丸出しでナリスを捜しに行った頃、ナリスは狼達を出来るだけ自分をマークするように仕向けていた。本来術士であるナリスは、マークされないようにするのが基本だが今はそれどころではない。

「ハァ、ハァ、ハァ………」

 とにかく優一がいる所まで行かない様に仕向ける。今はそれしか考えていなかった。

「みーつけた。」
「なっ!?」

 不意に誰かがナリスを抱き締めた。誰なのかはこの状況では分かるだろう。

「ア、アスカ…………」
「ふふ♪あー、良い匂いだな~ナリスは。」

 アスカはナリスの首筋の匂いを嗅いだ。ナリスの背筋には凍るような寒気を感じた。

「や、止めろっ!!」
「っ!?…………そんなにアイツが良いのかよっ!」
「はぁ!?」

 アスカは激怒する様に自身が思っていることを口走った。

「俺は!お前が好きなんだよ!!あんなへなっちょい奴みたいな子供なんかより俺を選べよ!よりによって、何で人間なんだよっ!」
「えっ?な、何を言って…………」
「お前が来なくなってから二年間ずっとここでなら会えると思って待って、やっと会えたと思ったら男なんか作りやがってっ!!試してんのかっ!」

 涙を目に浮かべながら自身の気持ちを言葉にしながら、ナリスに訴えかける。

「早く、俺を選んでよ…………」
「えっ…………」


ーーーーー
 その数十分前、優一はナリスと一緒に通ったであろう道にたどり着いた。

「や、やっとここまで来たよ。狼に服千切られるし最悪だな。」

 だが優一はイキイキしている。理由はリアルBLを見れるっ!からだそうだ。

「はぁ~、ナリスかアスカ、どっちが受け攻め何だろう~。俺的にはナリスが受けでも攻めでもどっちでも良いんだけど………アスカって人は細身だけど無駄な脂肪ないし筋肉もありそう…………やべー、攻めかもしんねぇー。」

 優一は草木を通り抜けるとナリスの声が聞こえた。

「おっ!この辺にいるのかな?…………今さらながら怒られそうだな………」

 もう少し進むとナリス達の姿が見えて来た。ここら辺で隠れるのも良いがさらに少し進む。

『お、いたいた。』

 その時はアスカがナリスを後ろから抱き締めていた。

ーきゃーーっ!そのシーン好きだよ!俺!!

 アスカは潤んだ目をしながらこう言っていた。

「早く、俺を選んでよ…………」
「えっ………」

 即答で答えられます。これはナリス×アスカですね!そうですよねっ!!

ーやべーーっ!!ナリス×アスカだってこれっ!俺にはそう見える、見えるぞっ!!

 優一の中では腐だけが渦巻いていた。………腐ったら、もう、止まんないよ…………




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