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第六話

助けに来てくれたのは…………!誰だっ、お前っ!?

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優一は初めて誘拐された。しかも“人身売買”でだ。

ーう、嘘だろ?俺がまさかの売られると?………ふふ、ふふ、まさかぁー、だって俺だよ?モブの俺が?冗談だろ?………だよ、な………

「………………」

ーあ、そうだ!現実逃避しようっ!

優一は現実逃避をし始めた、あの頃のことを思い返しながら………

[ ○○会社クリモス ]

「今日からこの会社の営業課に着く、葉山 秋宏 と申します!これから宜しくお願いします!」
「おお、頑張れよ!新人!」
「はいっ!」

ー皆、よくあんなに元気だよな~、今日は先輩達との挨拶あるし。普通馴れて無かったらそんなに笑顔で居られないだろ。

その頃の優一は友達が居なかった。居なかったと言っても皆バラバラの所に就職。そして優一は一人この会社に就職した。

ー………やっぱりアイツらと同じ所が良かったな………

※無理です。就職先はここしかありませんでした。

「次~、…………?おい、キミだよ?」
「えっ?あ、はい!」
「はははっ!緊張してたのかい?」
「あ、はい………」
「そうかそうか、まぁ、気軽に挨拶しなよ、な?」
「は、はぁ。」

「えっと、田中 優一と申します。足手まといにならないよう精一杯頑張ります。これから宜しくお願いします。」
「ふふ、そんな硬くならなくても大丈夫よ。これから宜しくね、田中さん。」
「あ、よ、宜しくお願いします。」

優一は資料や金融、記録を書く“記録課”に入ることになった。記録課は新しく作られた課で、最近はここが会社の情報元になっている。

[ 昼休み ]
ーきつい………流石にこんなにもキツイとは思わなかった。

「……ふぅー、」

優一は疲れにつられため息をした。

「……おいっ!」
「えっ?……あ!な、何してっ!」

突然優一の頭に触れ、まるで犬を可愛がるように髪の毛をワサワサした。

「そんなにため息ついてると幸せ逃げるぞ!な?」
「まぁね、そうですよ、えーっと、たなべさん?」
「たなかです。」
「あ、すみません………」

ー初めてたなべさんって間違えられた……
髪の毛をグシャグシャにしたのが佐藤 叶斗(さとう かなと)、優一の名字を間違えた眼鏡をかけた人、鈴木 飛鳥 (すずき あすか)。

この会社で初めての友達ができた日だった。



ーーーーー
ーあの時はまさか友達になるだなんて思わなかったな~、まぁ、もう終わりになりそうだけど……さらば、俺の第二の人生………

『………ヒヒィーーン』

「?おい、何か聞こえなかったか?」
「ああ?んなもん聞こえるわけないだろ?日が沈んでいるんだ。」
「そうだよな………」

『パカラッパカラッ!』

「お、おいっ!何か来てるぞっ!」
「馬っ!?日が沈んでいるのに…….まさかっ!」
「追ってかっ!」

ー追って?

馬の声に気付いた優一は馬の声が聞こえる方向に頭を向けた。だが日が沈んだせいか顔が見えない。かろうじて見えるのが月の光に照らされた白い馬だった。

ー俺を助けに来たのかな?………いや、考えすぎだな…………

「早くできないのかっ!」
「これが最高だっ!」
「ちっ!」

『パカラッパカラッパカラッ!』
『ヒヒィーーンッ!』

段々近づいてくる馬。

「おいっ!ヤバいぞこれはっ!」
「クソッ!」

「ユーイチっ!」

「えっ!?」

ー優一って呼ばれた?………もしかして……レイン王子?……なのか?

だが人が乗る姿しか見えない。

「…………マジで誰っ!?」






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