探偵令嬢と華麗なる謎の皇子~探偵と怪盗、共闘す!?~

卯月八花

文字の大きさ
37 / 50

第37話 女代理人を追い詰める(アステル視点)

しおりを挟む
 豪華な大会場から離れた廊下は、まるで別世界のように静寂に包まれていた。

 アステルにとっては馴染みの通路である。この城は幼い頃から歩き回ってきた生活の場であり、どの廊下がどこに繋がるのかをすべてを把握している。

 ――悪いね、ネズミの逃げ道は把握済みってわけだ。

 アステルは目を瞑り、廊下の角に背をつけて耳を澄ましていた。
 表のどよめきがかすかに聞こえるなか、たったったったっ、という軽い足音が聞こえる。それはまさに、逃げるネズミの足音のようで――。

(まだ、まだ、まだ、もうちょっと)

 逃げ道を塞がれてとって返すほどの距離ではなく、そのまま逃げ去ることもできないちょうどいい間合いを測り、タイミングを見計らって――。

(今だ!)

 アステルはその角からひょいと長躯を踊り出させ、ほとんどぶつかりそうな距離で、女性の前に立ちはだかる。

「――アステル殿下!?」

 黒髪に紅色のドレス、顔の下半分を薄紅色のベールで隠した女性が、アステルの肩の下で、驚いたように紫色の瞳を目一杯見開いていた。

 その目を見たとき、アステルは確信する。
 どんなに瞳の色を変えようと、目の形がルミナだった。

「やぁ、代理人さん。ごきげんよう」

 アステルはにっこりと笑った。

「フローレンス……だったっけ」

 彼女は挨拶でフローレンス・ラヴィエールと名乗っていたはずである。

「それともルミナのほうがいいかな?」

「なにをおっしゃていますの?」

 彼女の紫色の瞳がきょとんとした。その無垢な瞳は、アステルでさえ一瞬「勘違いかもしれない」と錯覚させるほどだった。演技としては完璧である。

「どなたかと勘違いなさっているようですけど、私はフローレンス・ラヴィエール、ナシーム様の代理人ですわ」

「じゃあ逆に聞くけど、代理人の君がなんで雇い主を置いて逃げてるんだい?」

「……それは」

 彼女の紫の瞳に焦りが浮かぶが、すぐに怯えたように身を縮こませる。

「ブラックスピネルが現れたからですわ。私、怖くて怖くて……」

「君がブラックスピネルを怖がるなんてなんだか滑稽だな。悪党度合いでいったら君だってなかなかのものだろ」

 すると、代理人フローレンスはいかにも寝耳に水というようにぽかんとしてアステルを見上げたのだった。

「なにをおっしゃっていますの? 私が悪党? 滅相もないですわ」

 やはり見事なものだ。事情を知らなければ彼女の言葉をなんの疑いもなく信じてしまうだろう。

「へぇ」

 アステルは一歩踏み込み、フローレンスとの間合いをさらに詰める。

「さすがに演技がうまいね。正直、僕でも見とれてしまうくらいだ。前々から思ってたんだけどさ、君プロだよね?」

「なにをおっしゃって……」

「しかし残念だったね、狙っていた『湖畔の愛』がブラックスピネルに横からかっ攫われてしまうなんてさ。計画は失敗だ」

「……それは確かに残念でしたわ。私どもは『湖畔の愛』を手に入れるために長らく交渉していたわけですし、それがなくなってしまったとあっては……」

「そうだね、絵がない以上ここにいるのは危険だ。いつ身から出た錆に溺れて息が出来なくなるか分からないもんな」

「私どもの身から出るのはお金だけですわ、アステル様。もちろん、きちんと合意した、絵画の代金です」

 彼女はあくまで微笑みシラを切るが、アステルは軽く鼻で笑ってみせた。

「へえ、そう言い切れるとは大したものだね。でもさ、時間を掛けすぎるとアル=ファイラの大富豪に直接確認を取る人が出てくるかもしれないよ?」

「……」

 そこで始めてフローレンスは黙り込んだ。無垢を装っていた紫色の瞳が揺れ、まるで蛇に睨まれるネズミのような怯えた色を帯びる。
 戸惑いながら開かれた彼女の口から、震えた声が囁かれた。

「本国に、連絡をとったのですか……?」

「まぁね。さっきその報告が来たんだ――確かにアル=ファイラにはナシーム・シャヒードっていう大富豪は実在した。だけど彼は今もアル=ファイラにいる。じゃあビュシェルツィオにいる『ナシーム』は誰なんだろうな……?」

 わざとらしく顎に手を当てて考え込む素振りをしたアステルは、怯えたようにアステルを見上げるフローレンスの、その神秘的なベールの向こうの口の形を読み取ろうとした。

「いくら遠国とはいえ実在の大富豪の名を騙るなんて甘いんじゃないかなぁ。バレるに決まってるよ」

「……はぁ」

 ルミナは肩を落とすと、諦めたように首を振った。顔の下半分を隠すベールがふわりと揺れる。
 一瞬で雰囲気が変わった――いつだったか垣間見た、ルミナの正体そのままだ。

「あたしだって、話を聞いたときはちょっとヤバいんじゃないかなって思ったさ。でも仕方ないだろ、もう決まってた計画なんだから……」

 言葉遣いも別人のようになっている。

「……ところで、なんであんたはあたしのこと知ってるんだ? ルミナの姿で帝国の皇子様になんか会ったことないはずだけど」

「そんなこと教えると思うかい? いったらそれを対策されるだろ」

「違いない」

 彼女はベールに手を掛け、外した。
 口元は、以前見たルミナとは明らかに違っていた。ぽってりしていたあの夜のルミナの唇とは違い、かなり薄くなっている。化粧の力だろう。

 ルミナは疲れたように、はぁ、と溜め息をついた。

「あんた、なかなか目端の利くみたいだね。皇子様にしとくのはもったいないよ」

「皇子というのは目端が利かないとやっていけない職業なんでね。――ところでさ、君の口ぶりだと、今回のことは君が単独で立てた計画じゃないみたいだね?」

 偽ナシームを立てることを、ルミナは危惧していたようである。なのに、それをせざるを得なかった――つまり、誰かから命令されたのだ。

「さて、どうだか。で? あたしがルミナだとして、あんたになんの関係があるっていうんだ。ルース殿下にでも突き出すつもりかい?」

「それもいいな、でもその前に聞いておきたいことがある。今回の計画と、君の正体についてさ。今回の計画は大がかりすぎる。なにを考えてるんだい、君の後ろにいる連中は?」

 ルミナは呆れたような眼差しでアステルを睨みつけると、それから肩をすくめて薄く笑った。

「まぁ、失敗したから言っちゃうけどさ。あの絵はなにがなんでも取り戻して大事にとっておいたほうがいいよ」

「ほう、それはどうして?」

「あの絵を描いた画家が最近死んだだろ? だから出回ってる絵を買い占めて、市場価値をつり上げようとしてるのがいるんだよ。あの画家は馬が好きで『駿馬』シリーズっていうのを描いたそうでね……。ウチ以外がそれを成功させるのは癪だ」

「『ウチ』ね。やっぱり君はどこかの組織に所属してるってことか」

「さて、なんの話やら……」

 視線を逸らしてはぐらかし続けるルミナに、アステルはにっこりと笑いかける。

「絵を買い占めるって、けっこうな財力がないと無理だよ。悪いけど、君はそこまでのお金持ちには見えないんだよな」

淑女レディに金の出所なんて聞くもんじゃないよ。夢が壊れちまうだろ」

「おっと、これは失礼した」

 アステルは、片足を下げて胸に手をやる紳士の礼ボウ・アンド・スクレープをルミナに対してこれ見よがしに恭しくとる。

「ルミナ嬢、これから君を淑女レディとして、これでもかってくらい豪華な歓待でもてなしてあげよう。覚悟するんだな」

 アステルは礼を解くとルミナの細腕を笑顔で掴んだ。彼女の腕は華奢でたおやかだったが、容赦なくその手に力を込める。
 そういえば、こうやって彼女の腕をとるのはこれで二回目だ。一回目は、衛兵に化けてルースの命令でルミナを捕らえたときだったか。

 ルミナは抵抗するでもなく、紫の瞳をキラリと輝かせた。

「……それよりいいこと教えてやるよ。あの会場にはルースがいる」

 その言葉に、アステルはハッとして動きを止めた。

 アステルの黄金の目が見開かれる。

「……何?」

 本当に? ルースがここにいる?

 ――まさか。ハルツハイムには『譲渡の儀』の招待状は送っていないはず……。

「気づいてなかったのか。ふん、あんたこそ甘いね。甘々の甘ちゃん皇子様だ」

 ルミナは腕を取られたまま、勝ち誇ったように口元を歪ませる。

「あいつ、シルヴィアのこと随分怒ってたからねぇ……。あんたも噂に聞いたことくらいはあるだろ? ハルツハイムの婚約破棄騒動」

 聞いたことがあるもなにも、アステルは衛兵に化けてあの場にいたのだ。

 だから知っている。ルースがどれだけシルヴィアをぞんざいに扱っていたかを、どれだけ逆恨みしているかを。というか、その逆恨みの原因を作ったのは自分だという自覚がアステルにはあるのだが……。
 何せ怪盗として、彼からピンクダイヤモンドの首飾りとシルヴィアを取り戻したわけだし。

 動きを止めたアステルに、ルミナは目を細めて追撃してくる。

「あいつ、なにをしでかすか分からないねぇ。あの騒動以降、シルヴィアを取り戻すんだ! って息巻いてるって話だし」

「……君が言っているだけじゃ信じられないな。僕の気を逸らすつもりなんだろ?」

「嘘じゃないってば。会場で見かけたとき、ルースの目は血走ってた。この混乱に乗じてなにかやらかすかもしれない、早く行ってやったほうがいいよ」

 ドクン、と心臓が不穏に脈打った。
 背中にひやりとした汗がにじみ出るのを感じる。

(本当に……ルース君が……?)

 腕を掴む力がわずかに緩む。その隙を突いてルミナが素早く腕を振りほどいた。

 だがそれも気に掛けず、アステルは、廊下の向こう――大会場のほうに視線を向けた。

 シルヴィア……!

「じゃあね、甘ちゃん皇子様!」

 完全に気のそれたアステルの前でルミナはドレスの裾をたくし上げると、アステルの背後に――大会場とは反対の方向へと一目散に走り出した。まさに罠から勢いよく逃げ出すネズミのように遠ざかっていく。

 しかし、アステルの心はすでにルミナから離れていた。

 大会場に、ルースがいる……。

 そんな場所に、自分は彼女を一人で残してきてしまった。

(どうして気づかなかったんだ。シルヴィア……!)

 駆け去ったルミナとは反対方向――大会場に向かって、アステルは走り出した。

 一刻も早く、シルヴィアのもとへ。



しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

【12月末日公開終了】これは裏切りですか?

たぬきち25番
恋愛
転生してすぐに婚約破棄をされたアリシアは、嫁ぎ先を失い、実家に戻ることになった。 だが、実家戻ると『婚約破棄をされた娘』と噂され、家族の迷惑になっているので出て行く必要がある。 そんな時、母から住み込みの仕事を紹介されたアリシアは……?

『二流』と言われて婚約破棄されたので、ざまぁしてやります!

志熊みゅう
恋愛
「どうして君は何をやらせても『二流』なんだ!」  皇太子レイモン殿下に、公衆の面前で婚約破棄された侯爵令嬢ソフィ。皇妃の命で地味な装いに徹し、妃教育にすべてを捧げた五年間は、あっさり否定された。それでも、ソフィはくじけない。婚約破棄をきっかけに、学生生活を楽しむと決めた彼女は、一気にイメチェン、大好きだったヴァイオリンを再開し、成績も急上昇!気づけばファンクラブまでできて、学生たちの注目の的に。  そして、音楽を通して親しくなった隣国の留学生・ジョルジュの正体は、なんと……?  『二流』と蔑まれた令嬢が、“恋”と“努力”で見返す爽快逆転ストーリー!

『有能すぎる王太子秘書官、馬鹿がいいと言われ婚約破棄されましたが、国を賢者にして去ります』

しおしお
恋愛
王太子の秘書官として、陰で国政を支えてきたアヴェンタドール。 どれほど杜撰な政策案でも整え、形にし、成果へ導いてきたのは彼女だった。 しかし王太子エリシオンは、その功績に気づくことなく、 「女は馬鹿なくらいがいい」 という傲慢な理由で婚約破棄を言い渡す。 出しゃばりすぎる女は、妃に相応しくない―― そう断じられ、王宮から追い出された彼女を待っていたのは、 さらに危険な第二王子の婚約話と、国家を揺るがす陰謀だった。 王太子は無能さを露呈し、 第二王子は野心のために手段を選ばない。 そして隣国と帝国の影が、静かに国を包囲していく。 ならば―― 関わらないために、関わるしかない。 アヴェンタドールは王国を救うため、 政治の最前線に立つことを選ぶ。 だがそれは、権力を欲したからではない。 国を“賢く”して、 自分がいなくても回るようにするため。 有能すぎたがゆえに切り捨てられた一人の女性が、 ざまぁの先で選んだのは、復讐でも栄光でもない、 静かな勝利だった。 ---

出来損ないの私がお姉様の婚約者だった王子の呪いを解いてみた結果→

AK
恋愛
「ねえミディア。王子様と結婚してみたくはないかしら?」 ある日、意地の悪い笑顔を浮かべながらお姉様は言った。 お姉様は地味な私と違って公爵家の優秀な長女として、次期国王の最有力候補であった第一王子様と婚約を結んでいた。 しかしその王子様はある日突然不治の病に倒れ、それ以降彼に触れた人は石化して死んでしまう呪いに身を侵されてしまう。 そんは王子様を押し付けるように婚約させられた私だけど、私は光の魔力を有して生まれた聖女だったので、彼のことを救うことができるかもしれないと思った。 お姉様は厄介者と化した王子を押し付けたいだけかもしれないけれど、残念ながらお姉様の思い通りの展開にはさせない。

婚約破棄された公爵令嬢エルカミーノの、神級魔法覚醒と溺愛逆ハーレム生活

ふわふわ
恋愛
公爵令嬢エルカミーノ・ヴァレンティーナは、王太子フィオリーノとの婚約を心から大切にし、完璧な王太子妃候補として日々を過ごしていた。 しかし、学園卒業パーティーの夜、突然の公開婚約破棄。 「転入生の聖女リヴォルタこそが真実の愛だ。お前は冷たい悪役令嬢だ」との言葉とともに、周囲の貴族たちも一斉に彼女を嘲笑う。 傷心と絶望の淵で、エルカミーノは自身の体内に眠っていた「神級の古代魔法」が覚醒するのを悟る。 封印されていた万能の力――治癒、攻撃、予知、魅了耐性すべてが神の領域に達するチート能力が、ついに解放された。 さらに、婚約破棄の余波で明らかになる衝撃の事実。 リヴォルタの「聖女の力」は偽物だった。 エルカミーノの領地は異常な豊作を迎え、王国の経済を支えるまでに。 フィオリーノとリヴォルタは、次々と失脚の淵へ追い込まれていく――。 一方、覚醒したエルカミーノの周りには、運命の攻略対象たちが次々と集結する。 - 幼馴染の冷徹騎士団長キャブオール(ヤンデレ溺愛) - 金髪強引隣国王子クーガ(ワイルド溺愛) - 黒髪ミステリアス魔導士グランタ(知性溺愛) - もふもふ獣人族王子コバルト(忠犬溺愛) 最初は「静かにスローライフを」と願っていたエルカミーノだったが、四人の熱烈な愛と守護に囲まれ、いつしか彼女自身も彼らを深く愛するようになる。 経済的・社会的・魔法的な「ざまぁ」を経て、 エルカミーノは新女王として即位。 異世界ルールで認められた複数婚姻により、四人と結ばれ、 愛に満ちた子宝にも恵まれる。 婚約破棄された悪役令嬢が、最強チート能力と四人の溺愛夫たちを得て、 王国を繁栄させながら永遠の幸せを手に入れる―― 爽快ざまぁ&極甘逆ハーレム・ファンタジー、完結!

死亡予定の脇役令嬢に転生したら、断罪前に裏ルートで皇帝陛下に溺愛されました!?

六角
恋愛
「え、私が…断罪?処刑?――冗談じゃないわよっ!」 前世の記憶が蘇った瞬間、私、公爵令嬢スカーレットは理解した。 ここが乙女ゲームの世界で、自分がヒロインをいじめる典型的な悪役令嬢であり、婚約者のアルフォンス王太子に断罪される未来しかないことを! その元凶であるアルフォンス王太子と聖女セレスティアは、今日も今日とて私の目の前で愛の劇場を繰り広げている。 「まあアルフォンス様! スカーレット様も本当は心優しい方のはずですわ。わたくしたちの真実の愛の力で彼女を正しい道に導いて差し上げましょう…!」 「ああセレスティア!君はなんて清らかなんだ!よし、我々の愛でスカーレットを更生させよう!」 (…………はぁ。茶番は他所でやってくれる?) 自分たちの恋路に酔いしれ、私を「救済すべき悪」と見なすめでたい頭の二人組。 あなたたちの自己満足のために私の首が飛んでたまるものですか! 絶望の淵でゲームの知識を総動員して見つけ出した唯一の活路。 それは血も涙もない「漆黒の皇帝」と万人に恐れられる若き皇帝ゼノン陛下に接触するという、あまりに危険な【裏ルート】だった。 「命惜しさにこの私に魂でも売りに来たか。愚かで滑稽で…そして実に唆る女だ、スカーレット」 氷の視線に射抜かれ覚悟を決めたその時。 冷酷非情なはずの皇帝陛下はなぜか私の悪あがきを心底面白そうに眺め、その美しい唇を歪めた。 「良いだろう。お前を私の『籠の中の真紅の鳥』として、この手ずから愛でてやろう」 その日から私の運命は激変! 「他の男にその瞳を向けるな。お前のすべては私のものだ」 皇帝陛下からの凄まじい独占欲と息もできないほどの甘い溺愛に、スカーレットの心臓は鳴りっぱなし!? その頃、王宮では――。 「今頃スカーレットも一人寂しく己の罪を反省しているだろう」 「ええアルフォンス様。わたくしたちが彼女を温かく迎え入れてあげましょうね」 などと最高にズレた会話が繰り広げられていることを、彼らはまだ知らない。 悪役(笑)たちが壮大な勘違いをしている間に、最強の庇護者(皇帝陛下)からの溺愛ルート、確定です!

悪役令嬢は調理場に左遷されましたが、激ウマご飯で氷の魔公爵様を餌付けしてしまったようです~「もう離さない」って、胃袋の話ですか?~

咲月ねむと
恋愛
「君のような地味な女は、王太子妃にふさわしくない。辺境の『魔公爵』のもとへ嫁げ!」 卒業パーティーで婚約破棄を突きつけられた悪役令嬢レティシア。 しかし、前世で日本人調理師だった彼女にとって、堅苦しい王妃教育から解放されることはご褒美でしかなかった。 ​「これで好きな料理が作れる!」 ウキウキで辺境へ向かった彼女を待っていたのは、荒れ果てた別邸と「氷の魔公爵」と恐れられるジルベール公爵。 冷酷無慈悲と噂される彼だったが――その正体は、ただの「極度の偏食家で、常に空腹で不機嫌なだけ」だった!? ​レティシアが作る『肉汁溢れるハンバーグ』『とろとろオムライス』『伝説のプリン』に公爵の胃袋は即陥落。 「君の料理なしでは生きられない」 「一生そばにいてくれ」 と求愛されるが、色気より食い気のレティシアは「最高の就職先ゲット!」と勘違いして……? ​一方、レティシアを追放した王太子たちは、王宮の食事が不味くなりすぎて絶望の淵に。今さら「戻ってきてくれ」と言われても、もう遅いです! ​美味しいご飯で幸せを掴む、空腹厳禁の異世界クッキング・ファンタジー!

【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました

いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。 子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。 「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」 冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。 しかし、マリエールには秘密があった。 ――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。 未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。 「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。 物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立! 数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。 さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。 一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて―― 「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」 これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、 ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー! ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

処理中です...