魔樹の子

クラゲEX

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ユメノアリカ

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小さい。その上魔術が使えるのかも分からない。
魔術を使う方法は知ってる。

でも、枝が有ればの話で、枝が有れば魔術に必要な大気中の魔素が見えるらしいが……

____…枝持ってるのにな、
何も見えないんだよな。

見え無ければ魔素を吸っても意味がなく、
視覚で認識しなければ絶対に使えない。


「ツカエナイジャン…」

持ってるのに持ってない同然…
それなら貰えなかった方がよっぽど…



「おーい、アレーン。」

「アレンだから。お前が伸ばして呼ぶから、俺いっつもアレーンて呼ばれてるんだぞ。ルーク。」

ルーク。
飯を食いに、脚繁く通っている教会に住んでいる。
親がおらず見つからず、
村に孤児院が存在しないため、身寄りのない彼を
教会が引き取っている。

抜けてる所が多々ある癖して、何故か頭が良い。

色々苦手な所が多くて、あまり好きではない。
でも____今のこの状態から抜け出すには…

「な、なあ、俺の枝見てくれないか?小さいし、魔素見えないしで困ってるんだ。」

もしかしたら、何か改善策を知っているかも。
あまり頼りたくはなかったが、止む終えない。
 
「本当だー、アレーンの枝、
すっごく小さいねー」

「そう小さいんだ。何か知ってるか?」

「んー、枝って人の夢で動くらしいよー。
もしかしたら、
アレーンの夢が、動かすに足りないものだったんじゃないかなー。」

足りない?じゃあ何か?
魔法使いになりたいだと足りないのか?

パン屋を馬鹿にするわけじゃ無いが、
お前の夢パン屋で、枝立派じゃん…

もしかして、あんまり叶えるべき夢じゃ無い?
え、何でだろ。

「____。」

「大丈夫ー?
魔法使いになるってだけじゃ駄目なら、
他の夢を見つけて、
同時に追えばいいんじゃないー?
魔術は便利なんだから
他にも見つけた方が良いよー。」

他…他…ほか…

「分からないな。ないかも。」

「諦めないでよー。」





10分後。

「んー」

15分後。

「えー?」

30分後。

「戴枝式に遅れるとは、どういう事だ!」

「す、すみません…」



1時間後。


「全く浮かばん。」

「途中怒られてたねー。」
 
結局一時間(約三十分は説教)を費やしても答えが出ない。
__このままずっと魔術が使えないのか?

「」


「んー、
一から新しく考えなくてもいいんじゃないー?」


呆然とする俺に間伸びした助言が、
勢いよく飛んできた。



新しく考えなくていい?



今までのをベースに考えるってコト!?


ワ……

「ワ………湧かない。魔法使い以外浮かばない。魔法使いをベースに考えられる夢って何があるんだ…」

これから、何も目標なく、村から出るだけになってしまう。

「村から出るだけに…村から…」

「!それだよー。出るだけじゃなくて、
折角なら世界中を旅するとか。
そういうのを夢にすれば良いんじゃないー。」

!、それだ!

確かに興味あるし、
これからを全く考えていなかった
俺にとって丁度いい!

「いいな!それ!それで行こう!」

盛り上がっていると、
手の中の枝がメキメキ音を立て、
ハリスの枝同等の長さに変化した。

「結構悩んだ割に、解決はあっさりだねー。」

「確かにな。旅もしたい、
けど旅と魔法使いを比べると、
魔法使いの方が夢として叶えたいのに、何故。」

「まあ、これでアレーンも魔術が使えるねー。」



ふわふわと緑の粒子が空を漂っている。

「これが魔素か。」

「そうだねー。
僕も見えたのは一時間とちょっと前だけど。」

「付き合わせてごめんな。助かった。」

「いいよー。
飯友のお役に立てて良かったよー。」



こいつ、思ってたよりいい奴だな。そ
去っていく背中をお辞儀で送った。



こうして、
少し遅くなったものの、魔術と枝をゲットした。



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