スター☆ウォッチャー

泉蒼

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第13章 これから始まる、スターウォッチャーの大冒険!

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 目の前にいるヴィトは、惑星フェニックスに危機を作った張本人だった。

 父親っていいもんだな、なんてせっかく思い始めたときだったのに、くそ。

 でも、たとえおれの父さんだとしても、あんなひどい仕打ちは許せるはずがない。

「バカっ!」

 するとちょうど、夜空の彼方からジョバンニが飛んできた。

 ヴィトの肩に止まったジョバンニが、くちばしにさした木の実をバクバク食べながらおれをにらみつけたんだ。

「オマエっ、バカっ!」

「なんだとっ! それにどこの民家から、アカシアの実をかっぱらってきやがった!」

 思わずおれが叫ぶと、ヴィトがジョバンニの身体をゆっくりとなで始めた。

「許してやってくれ、ティム。ひと段落して、こいつも、腹が減ってしまったのさ」

「オマエっ、ホントバカっ!」

「ぐぅぅ……、ジョバンニめ」

 こっちが真剣に怒っているのに、邪魔しやがって。ジョバンニのせいで、拍子抜けだ。

「私はな、呪いの星をみたんだ」

 おれがジョバンニをにらんでいると、ヴィトがふいに話し始める。

「呪いの星を見た代償は大きく、私は大宇宙に仕える身となった。理解するにはまだ難しいかもしれないが、リーラ星賊団は、宇宙の呼吸を促進させる義務があるんだ」

 おれには、ヴィトのむずかしい説明の意味が、さっぱり分からない。

「だからって、星を破壊することが宇宙の呼吸だって言うのかよっ?」

「――オマエ、マダマダ、バカっ!」

 突然、ジョバンニがおれの頭に飛び移って、くちばしで頭をさしてくる。

「てめえっ! ……こらっ、痛てえだろ! あっち行けっ」

 思わず立ち上がってオウムと格闘するおれに、ヴィトは真剣な顔で続けた。

「ふくろうを放ち、惑星フェニックスは生まれ変わった。ティム、そうだろ?」

「……ええっ? でも、それは運が良かったっていうか……こらっ、オウムっ」

「魔女も妖精も、互いの友情を確かめるきっかけになったんじゃないか?」

「友情を確かめる……、それは、そうだけど」

「腹が立つかもしれないが、宇宙はそうやって呼吸をし、進化していくんだ」

 ヴィトは、宇宙は破壊と再生を繰り返して進化していくと、そう説明した。

 おれは、何となくヴィトが伝えたいことが分かって、落ち着いてたずねる。

「それが、必要なサイクル?」

「そうだ。ピンチがチャンスに変わる、それは人間が、宇宙の真実を分かりやすく言い表した言葉なんだ。宇宙は必ずいつか、その人にとって大切なことを突きつけてくるのさ」

 おれは、ピーンときた。

(そっか。たしかに、アルダーニャはインモビリアール社がやってきたおかげで、町のみんなも、自分たちを信じ直すことができた……)

 おれも、そうだ。もしもフィッチが来ていなければ、おれはスターウォッチャーを目指していただろうか? いや、自分の夢にも気付いていなかっただろう。

(……きっと、ヘンリや父さんとも出会っていなかったはずだ)

 そう考えたおれは、妙に納得してしまう。
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