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第12章 真実を見ろ!
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あれから、父さんことヴィトは、町でみんなと久しぶりの再会を楽しんでいた。おれとサリーとヘンリは、家に戻ろうとしていた――けれど、おれは気になることがあって、「先に帰ってくれ」と言い、やっぱりひとりで広場に戻ってきたんだ。
どうしても、あの望遠鏡が気になってしまう。
広場につくともう町人の姿はなく、もちろんインモビリアール社の社員もいなかった。おれは、広場に置いてきぼりを食ったバケモノ望遠鏡を見てため息をつく。
「大丈夫だ、おまえに罪はねえしよ。だれも、分解したり破壊したりなんかしねえよ」
親に見捨てられたこの憐れな望遠鏡を、おれは何とか守ってやろうと考えていた。たしかに、生みの親には置いていかれたかもしれないが、こいつは優秀な望遠鏡なんだ。
(それに、おれにチャンスをくれた、救世主だもんな)
このバケモノ望遠鏡で惑星フェニックスを観測したとき、おれは今までで一番わくわくしている自分に気がついたんだ。
きっとこいつも、嘘をでっち上げた再生鏡の映像なんか、映したくはなかっただろう。
「おまえも、真実が見たかったんだろ?」
おれが望遠鏡にそう語りかけたとき、いきなり背後から肩をつかまれた。
「真実か」
「あ……」
ふり返ると、父さんが立っていた。
まだどうも慣れない父さんが、おれを見て、口もとに笑みを浮かべている。
「ティム、スターウォッチャーへの第一歩を、ようやく踏み出せたようだな」
「いや、まあ……」
やっぱりまだ、おれにはどうリアクションしていいのか分からない。
だからおれは、照れ隠しなんかじゃなくて、ヴィトから顔を逸らせながらもこうつぶやいた。
「たとえおれの父さんでも、許せねえ」
「ん?」
ヴィトが初めて、驚くように聞いた。
おれは、真剣な目でヴィトをじっと見つめる。
「あのとき、あんたは、惑星フェニックスを破壊しようとしたんだ! そうだろっ!?」
おれに「一歩を踏み出せ」と勇気をくれたヴィトが、今度は惑星フェニックスに現れ、呪いのふくろうを解き放ったんだ――これだけは、絶対に許せない!
「あんたのせいでっ、ケイティとナバービが大変な目に遭ったんだ!」
「アッハッハッハ!」
けれど、ヴィトは突然に笑いだした。
「何が可笑しいんだっ」
「いやあ、悪い。つい思い出してしまってな。私もいつか、父のハリスに、今のティムと同じようなことを言っていたんだ」
「えっ……、ハリスじいちゃんに」
「いいか、ティム――」
そうしてヴィトがおれに語り始めたのは、まさに驚くべき真実だった。
おれは、本当に目が飛び出るほど、ヴィトの話に驚くことになるのだ。
どうしても、あの望遠鏡が気になってしまう。
広場につくともう町人の姿はなく、もちろんインモビリアール社の社員もいなかった。おれは、広場に置いてきぼりを食ったバケモノ望遠鏡を見てため息をつく。
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親に見捨てられたこの憐れな望遠鏡を、おれは何とか守ってやろうと考えていた。たしかに、生みの親には置いていかれたかもしれないが、こいつは優秀な望遠鏡なんだ。
(それに、おれにチャンスをくれた、救世主だもんな)
このバケモノ望遠鏡で惑星フェニックスを観測したとき、おれは今までで一番わくわくしている自分に気がついたんだ。
きっとこいつも、嘘をでっち上げた再生鏡の映像なんか、映したくはなかっただろう。
「おまえも、真実が見たかったんだろ?」
おれが望遠鏡にそう語りかけたとき、いきなり背後から肩をつかまれた。
「真実か」
「あ……」
ふり返ると、父さんが立っていた。
まだどうも慣れない父さんが、おれを見て、口もとに笑みを浮かべている。
「ティム、スターウォッチャーへの第一歩を、ようやく踏み出せたようだな」
「いや、まあ……」
やっぱりまだ、おれにはどうリアクションしていいのか分からない。
だからおれは、照れ隠しなんかじゃなくて、ヴィトから顔を逸らせながらもこうつぶやいた。
「たとえおれの父さんでも、許せねえ」
「ん?」
ヴィトが初めて、驚くように聞いた。
おれは、真剣な目でヴィトをじっと見つめる。
「あのとき、あんたは、惑星フェニックスを破壊しようとしたんだ! そうだろっ!?」
おれに「一歩を踏み出せ」と勇気をくれたヴィトが、今度は惑星フェニックスに現れ、呪いのふくろうを解き放ったんだ――これだけは、絶対に許せない!
「あんたのせいでっ、ケイティとナバービが大変な目に遭ったんだ!」
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けれど、ヴィトは突然に笑いだした。
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「いやあ、悪い。つい思い出してしまってな。私もいつか、父のハリスに、今のティムと同じようなことを言っていたんだ」
「えっ……、ハリスじいちゃんに」
「いいか、ティム――」
そうしてヴィトがおれに語り始めたのは、まさに驚くべき真実だった。
おれは、本当に目が飛び出るほど、ヴィトの話に驚くことになるのだ。
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