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第12章 真実を見ろ!
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白馬の問いかけに、しばらく黙り込んでいたバーンズが、静かに口を開いた。
「くっくっ、いいだろう。おまえが望みを叶えれば、この愚かな魔女も、そして雲の牢屋に閉じ込められた妖精
も、必ず必ず後悔するだろう。ぐへへ、友情などを選んだ、自分たちを呪えばいいのさ、ぐへへへっ」
すると白馬が、キラキラと輝く瞳をバーンズに向ける。
「私だけの望み、それは翼をもらうことです。私の背中に、立派な翼を与えてください」
「ぐへへっ! これでっ、これでもう二度と歌声と魔法は戻らないぞ、くっくっ! たやすいこと、白馬の背に見
事な翼を与えてやろう、ぐへへへっ」
次の瞬間、ピカピカっと、バーンズの目が光った。
白馬が紫色の煙に包まれてしまう。
「フハハハっ、これで終わりだ! 後悔しても、もう遅いっ、ぐへへへっ! おまえたちから、歌声と魔法を奪い
取ってやったぞ、フハハハっ――」
そうしてバーンズは、満足げに笑ったまま、こつ然と姿を消してしまった。
すると、ずっと真っ赤に染まっていた空が、元の黄色い空へと戻っていく。
「――ふぅ。どうやらこれで、ふくろうの呪いが解けたようね」
空を見上げたナバービが、ホッと肩をなでおろす。そのとき、煙の中から出てきた白馬を見て、ナバービと二頭
の馬が「まあっ!」と、驚きの声をあげた。
「あなたは、ペガサスだったのね!」
白馬はバーンズに望みを叶えてもらい、純白の毛のペガサスに変身していたのだ。
「あなたのおかげで、私は完全な姿に戻れました。そうです。私の正体は、宇宙を旅するペガサスだったのです
――」
ペガサスは立派な両翼を動かしながら言う。
「さあ、次はあなたの番です。ナバービさんが望む場所へ、私がお連れしましょう!」
ナバービの瞳がキラキラと輝いた。そして、ナバービが喜んで叫ぶ。
「雲の上よ! あたしの望みは、ケイティのいる雲の上へ行くことっ!」
「フフフ、たやすいこと。さあ、みなさんと大空へ飛んでいきましょう」
そうしてペガサスの背に乗ったナバービたちは、大空へと飛び立っていったのだ。
「ナバービっ」
「ケイティ!」
呪いのふくろうが消え、雲の上の牢屋はもうなくなっていた。ようやく再会を果たした妖精と魔女は、雲の上で
何度も抱き合った。そこには歌声と魔法を失った妖精と魔女の姿があったが、それでも彼女たちは、今まで以上に
幸せそうだった。なぜなら、雲の上にはたくさんの友だちがいたからだ。
ふたりのかたわらで、くるみ割り人形が歌い、二頭の馬が元気に物語っている。こうして惑星フェニックスは、
まさに不死鳥のように強く美しく甦ったのだった。
ティム・フェルディナンド&ヘンリ
★ ★ ★
「やったぜ!」
おれが観測を終えた瞬間、広場に歓声と拍手が沸き起こる。
町のみんなが、「ハリスさんの本は本当だったんだ!」「やっぱり宇宙は怖い場所なんかじゃない!」と、口々に叫んだ。
「くっくっ、いいだろう。おまえが望みを叶えれば、この愚かな魔女も、そして雲の牢屋に閉じ込められた妖精
も、必ず必ず後悔するだろう。ぐへへ、友情などを選んだ、自分たちを呪えばいいのさ、ぐへへへっ」
すると白馬が、キラキラと輝く瞳をバーンズに向ける。
「私だけの望み、それは翼をもらうことです。私の背中に、立派な翼を与えてください」
「ぐへへっ! これでっ、これでもう二度と歌声と魔法は戻らないぞ、くっくっ! たやすいこと、白馬の背に見
事な翼を与えてやろう、ぐへへへっ」
次の瞬間、ピカピカっと、バーンズの目が光った。
白馬が紫色の煙に包まれてしまう。
「フハハハっ、これで終わりだ! 後悔しても、もう遅いっ、ぐへへへっ! おまえたちから、歌声と魔法を奪い
取ってやったぞ、フハハハっ――」
そうしてバーンズは、満足げに笑ったまま、こつ然と姿を消してしまった。
すると、ずっと真っ赤に染まっていた空が、元の黄色い空へと戻っていく。
「――ふぅ。どうやらこれで、ふくろうの呪いが解けたようね」
空を見上げたナバービが、ホッと肩をなでおろす。そのとき、煙の中から出てきた白馬を見て、ナバービと二頭
の馬が「まあっ!」と、驚きの声をあげた。
「あなたは、ペガサスだったのね!」
白馬はバーンズに望みを叶えてもらい、純白の毛のペガサスに変身していたのだ。
「あなたのおかげで、私は完全な姿に戻れました。そうです。私の正体は、宇宙を旅するペガサスだったのです
――」
ペガサスは立派な両翼を動かしながら言う。
「さあ、次はあなたの番です。ナバービさんが望む場所へ、私がお連れしましょう!」
ナバービの瞳がキラキラと輝いた。そして、ナバービが喜んで叫ぶ。
「雲の上よ! あたしの望みは、ケイティのいる雲の上へ行くことっ!」
「フフフ、たやすいこと。さあ、みなさんと大空へ飛んでいきましょう」
そうしてペガサスの背に乗ったナバービたちは、大空へと飛び立っていったのだ。
「ナバービっ」
「ケイティ!」
呪いのふくろうが消え、雲の上の牢屋はもうなくなっていた。ようやく再会を果たした妖精と魔女は、雲の上で
何度も抱き合った。そこには歌声と魔法を失った妖精と魔女の姿があったが、それでも彼女たちは、今まで以上に
幸せそうだった。なぜなら、雲の上にはたくさんの友だちがいたからだ。
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まさに不死鳥のように強く美しく甦ったのだった。
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おれが観測を終えた瞬間、広場に歓声と拍手が沸き起こる。
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