スター☆ウォッチャー

第11章 バケモノ望遠鏡を見破れ！

11-3

　ヴィトは、手に持つ丸いレンズの正体を知っているようだった。

「これは再生鏡だろ」

（……再生鏡って？）

　初めて聞くそのレンズに、おれはその場でキョトンと立ち尽くした。

　けれどすぐ、インモビリアール社がインチキをしていたんだと気付いたおれは、四つん這いのまま微動だにしないフィッチのもとへ全力で駆けて行く。

「インチキしやがって！」

　おれは、フィッチのひだ襟のついたシャツをつかみ、耳元で叫んでやった。

「ち、ちちち、違うっ！」

「どうせ、このわけの分かんねえレンズを使って、みんなをだましてたんだろっ」

「ひっ、ひぃぃ……」

　おれの気迫に、なんとあのフィッチが、その場で頭を抱えて悲鳴をあげた。

「まるでダンゴムシだな」

　おれの隣でそうつぶやいたヴィトが立ち上がり、口もとに笑みを浮かべる。

　そして、どこかおどおどしている町人たちに、

「みんな、ひさしぶりだな」

　ヴィトがいきなり、目深に被ったフードを取っ払った。

「……」

　一瞬、幽霊でも見たようにみんなが驚き目を丸くする。

　けれど、ヴィトの顔をまじまじと見つめた町人たちが、

「ふ、フランシスっ！？　生きていたのかっ、フランシスっ」

　あっ気にとられながらも、次々にそう叫んだのだった。

（……フランシスだって？）

　もちろんおれも、あっ気にとられる以上のパニックで、恐る恐るヴィトを見上げる。

　すると、ブロンドの髪をかきあげたヴィトが「ティム、だまっていて悪かったな」と、おれを見下ろし微笑んだ。

（……そ、それじゃあっ）

　ゴロゴロッ、ドドーンッ！

　まさに頭に雷が落っこちるほどの衝撃が走った。