40 / 64
第7章 まさかの仕打ち?
7-2
しおりを挟む「よし! とにかくこれを至急香港へ送るぞ! 氷川の親父さんたちなら犯人の声を聞けば誰だか分かるかも知れねえ!」
鐘崎は持って来たノートパソコンを広げると、すぐに香港の周隼の元へと録音を共有した。
汐留、周邸――。
香港からの返事が届くと、すぐに犯人が割れた。やはりファミリーの一員で、男の名は羅辰。舎弟は藩ということが分かった。また、それと共に理由も見えてきた。おそらくは次代後継者である周風のブレーンを固める人事に不満を持っての犯行ではないかというのだ。
『羅辰は問題の多い男でな。本来ならばファミリーから追放してもいいところだったのだが、温情を掛けて残したのが間違いだったということか』
兄の風は自分が原因を作ってしまったと言い、酷く悔いているようであった。
「とにかく理由は分かったんだ。後はその羅辰が氷川を拉致して何がしたいかということだ」
汐留では羅たちの目的が何であり、今現在何処に潜伏しているのかということに絞って引き続き調査を進めることとなった。
香港のファミリーの元へは鐘崎の父親の僚一も到着していて、羅辰たちが日本へ入国した時期や経路などについての詳細を調べてくれるということだった。それと同時に警視庁の丹羽にも協力を仰いで、入国後の足取りを追うようにと言われた。
パソコンで繋いだリモート画面の向こうに僚一が顔を出し、息子である鐘崎に手はずを伝える。
『いいか、遼二。おそらく羅辰たちは偽造パスポートで名前を変えて入国しているはずだ。丹羽のところの修司坊に言って科捜研で顔認証と歩容認証などを使って本人であることを突き止めるんだ。その後、日本国内でヤツらが何処に宿泊し、誰と接触したのかを追えるところまで追ってくれ。焔を連れ去る際に使った車両を手配するのに手助けした者なども含めて徹底的に割り出すんだ』
「分かった。すぐに丹羽と連携する!」
『俺の方では羅たちの企みを事前に見聞きしている者がいないかファミリーの末端まで当たるつもりだ。焔を拐った目的を絞り込む』
こうして香港と東京、二手に分かれての本格的な捜索が始まった。
鐘崎らは羅たちが日本に入国してからの足取りを詳しく追っていくことから始める。僚一から指示のあった通り丹羽に協力を仰いだ結果、やはり偽名を使って渡航していたことが分かった。周の拉致が決行されるまでに少なくとも一週間ほどはこの東京に滞在していたようだ。調べを進めていくと非常に驚かされることが分かってきた。羅の舎弟である藩が入国後すぐに九州の博多へと移動している足取りが掴めたからだ。
「博多といえば例の冰と里恵子が拉致された事件の関連か? あの時に冰を売り買いしようとしてた男にでも会いに行ったということか――」
「ってことは、そいつも今回の計画に加担してる可能性が出てくるな。まさかあの時氷川に直接叱責を食らったことを恨みに思ってるとか?」
鐘崎と紫月が首を傾げている。だが、再び香港に問い合わせたところ、その時の男なら既に組織を抜けており、故郷の実家へ帰っているはずだという回答がきて、またもや頭を捻らされることとなった。
鐘崎は持って来たノートパソコンを広げると、すぐに香港の周隼の元へと録音を共有した。
汐留、周邸――。
香港からの返事が届くと、すぐに犯人が割れた。やはりファミリーの一員で、男の名は羅辰。舎弟は藩ということが分かった。また、それと共に理由も見えてきた。おそらくは次代後継者である周風のブレーンを固める人事に不満を持っての犯行ではないかというのだ。
『羅辰は問題の多い男でな。本来ならばファミリーから追放してもいいところだったのだが、温情を掛けて残したのが間違いだったということか』
兄の風は自分が原因を作ってしまったと言い、酷く悔いているようであった。
「とにかく理由は分かったんだ。後はその羅辰が氷川を拉致して何がしたいかということだ」
汐留では羅たちの目的が何であり、今現在何処に潜伏しているのかということに絞って引き続き調査を進めることとなった。
香港のファミリーの元へは鐘崎の父親の僚一も到着していて、羅辰たちが日本へ入国した時期や経路などについての詳細を調べてくれるということだった。それと同時に警視庁の丹羽にも協力を仰いで、入国後の足取りを追うようにと言われた。
パソコンで繋いだリモート画面の向こうに僚一が顔を出し、息子である鐘崎に手はずを伝える。
『いいか、遼二。おそらく羅辰たちは偽造パスポートで名前を変えて入国しているはずだ。丹羽のところの修司坊に言って科捜研で顔認証と歩容認証などを使って本人であることを突き止めるんだ。その後、日本国内でヤツらが何処に宿泊し、誰と接触したのかを追えるところまで追ってくれ。焔を連れ去る際に使った車両を手配するのに手助けした者なども含めて徹底的に割り出すんだ』
「分かった。すぐに丹羽と連携する!」
『俺の方では羅たちの企みを事前に見聞きしている者がいないかファミリーの末端まで当たるつもりだ。焔を拐った目的を絞り込む』
こうして香港と東京、二手に分かれての本格的な捜索が始まった。
鐘崎らは羅たちが日本に入国してからの足取りを詳しく追っていくことから始める。僚一から指示のあった通り丹羽に協力を仰いだ結果、やはり偽名を使って渡航していたことが分かった。周の拉致が決行されるまでに少なくとも一週間ほどはこの東京に滞在していたようだ。調べを進めていくと非常に驚かされることが分かってきた。羅の舎弟である藩が入国後すぐに九州の博多へと移動している足取りが掴めたからだ。
「博多といえば例の冰と里恵子が拉致された事件の関連か? あの時に冰を売り買いしようとしてた男にでも会いに行ったということか――」
「ってことは、そいつも今回の計画に加担してる可能性が出てくるな。まさかあの時氷川に直接叱責を食らったことを恨みに思ってるとか?」
鐘崎と紫月が首を傾げている。だが、再び香港に問い合わせたところ、その時の男なら既に組織を抜けており、故郷の実家へ帰っているはずだという回答がきて、またもや頭を捻らされることとなった。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
荒川ハツコイ物語~宇宙から来た少女と過ごした小学生最後の夏休み~
釈 余白(しやく)
児童書・童話
今より少し前の時代には、子供らが荒川土手に集まって遊ぶのは当たり前だったらしい。野球をしたり凧揚げをしたり釣りをしたり、時には決闘したり下級生の自転車練習に付き合ったりと様々だ。
そんな話を親から聞かされながら育ったせいなのか、僕らの遊び場はもっぱら荒川土手だった。もちろん小学生最後となる六年生の夏休みもいつもと変わらず、いつものように幼馴染で集まってありきたりの遊びに精を出す毎日である。
そして今日は鯉釣りの予定だ。今まで一度も釣り上げたことのない鯉を小学生のうちに釣り上げるのが僕、田口暦(たぐち こよみ)の目標だった。
今日こそはと強い意気込みで釣りを始めた僕だったが、初めての鯉と出会う前に自分を宇宙人だと言う女子、ミクに出会い一目で恋に落ちてしまった。だが夏休みが終わるころには自分の星へ帰ってしまうと言う。
かくして小学生最後の夏休みは、彼女が帰る前に何でもいいから忘れられないくらいの思い出を作り、特別なものにするという目的が最優先となったのだった。
はたして初めての鯉と初めての恋の両方を成就させることができるのだろうか。
児童絵本館のオオカミ
火隆丸
児童書・童話
閉鎖した児童絵本館に放置されたオオカミの着ぐるみが語る、数々の思い出。ボロボロの着ぐるみの中には、たくさんの人の想いが詰まっています。着ぐるみと人との間に生まれた、切なくも美しい物語です。
【総集編】日本昔話 パロディ短編集
Grisly
児童書・童話
❤️⭐️お願いします。
今まで発表した
日本昔ばなしの短編集を、再放送致します。
朝ドラの総集編のような物です笑
読みやすくなっているので、
⭐️して、何度もお読み下さい。
読んだ方も、読んでない方も、
新しい発見があるはず!
是非お楽しみ下さい😄
⭐︎登録、コメント待ってます。
フラストレーションれっしゃ
もちっぱち
児童書・童話
ゆうくんのれっしゃは
いつでも フラストレーション
ろせんへんこうは なんかいでも
やります!
ゆうくんとゆうくんのおかあさんとの
れっしゃの たび?!
すこし ファンタジーな ものがたり。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/children_book.png?id=95b13a1c459348cd18a1)
見習い錬金術士ミミリの冒険の記録〜討伐も採集もお任せください!ご依頼達成の報酬は、情報でお願いできますか?〜
うさみち
児童書・童話
【見習い錬金術士とうさぎのぬいぐるみたちが描く、スパイス混じりのゆるふわ冒険!情報収集のために、お仕事のご依頼も承ります!】
「……襲われてる! 助けなきゃ!」
錬成アイテムの採集作業中に訪れた、モンスターに襲われている少年との突然の出会い。
人里離れた山陵の中で、慎ましやかに暮らしていた見習い錬金術士ミミリと彼女の家族、機械人形(オートマタ)とうさぎのぬいぐるみ。彼女たちの運命は、少年との出会いで大きく動き出す。
「俺は、ある人たちから頼まれて預かり物を渡すためにここに来たんだ」
少年から渡された物は、いくつかの錬成アイテムと一枚の手紙。
「……この手紙、私宛てなの?」
少年との出会いをキッカケに、ミミリはある人、あるアイテムを探すために冒険を始めることに。
――冒険の舞台は、まだ見ぬ世界へ。
新たな地で、右も左もわからないミミリたちの人探し。その方法は……。
「討伐、採集何でもします!ご依頼達成の報酬は、情報でお願いできますか?」
見習い錬金術士ミミリの冒険の記録は、今、ここから綴られ始める。
《この小説の見どころ》
①可愛いらしい登場人物
見習い錬金術士のゆるふわ少女×しっかり者だけど寂しがり屋の凄腕美少女剣士の機械人形(オートマタ)×ツンデレ魔法使いのうさぎのぬいぐるみ×コシヌカシの少年⁉︎
②ほのぼのほんわか世界観
可愛いらしいに囲まれ、ゆったり流れる物語。読了後、「ほわっとした気持ち」になってもらいたいをコンセプトに。
③時々スパイスきいてます!
ゆるふわの中に時折現れるスパイシーな展開。そして時々ミステリー。
④魅力ある錬成アイテム
錬金術士の醍醐味!それは錬成アイテムにあり。魅力あるアイテムを活用して冒険していきます。
◾️第3章完結!現在第4章執筆中です。
◾️この小説は小説家になろう、カクヨムでも連載しています。
◾️作者以外による小説の無断転載を禁止しています。
◾️挿絵はなんでも書いちゃうヨギリ酔客様からご寄贈いただいたものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる