スター☆ウォッチャー

泉蒼

文字の大きさ
上 下
36 / 64
第6章 惑星フェニックスの訪問者

6-3

しおりを挟む
     ★     ★     ★

  孤島の草原を、さわやかな風が吹き抜けていく。
  
  小屋から出てきた魔女のナバービが、伸びをした。

 「うーん、いい気持ち。今日も黄色い空が、キラキラと輝いてるわ」
  
  そうしてナバービは、手のほうきを海にかざした。
  
  パンパパンッ、シュルッ!
  
  たちまちエメラルドグリーンの海が、赤い海へと変化する。色の変わった海を確認したナバービが、持ってきた 
 木筒に海水を汲み入れた。

  手についた海水をなめると「まあ、おいしい」と、ナバービは満足そうに微笑んだのだ。

 「このイチジクのスープなら、きっとケイティも、喜んでくれそうね」


  そのころ、妖精のケイティは雲の上で、元気に発声練習に励んでいた。

 「ララン……あっ、あー。タララ~ン。うん、今日もわたしの声は絶好調!」

  そんなケイティのもとに、たくさんの小鳥たちが集まってくる。

 「あら、あなたたちも、わたしの歌をききたいの?」

  するとケイティは、さっそく小鳥たちに自慢の歌声を披露した。そのうっとりするような妖精の声に、小鳥たち
 もさえずり始め、雲の上が愉快な音楽に包まれていく。

 「よし! これならきっと、ナバービも喜んでくれるわね」

  この星はとっても小さいけれど、幸せに満ちていた――だが、そこへ、惑星フェニックスに、訪問者がやってき
 たのだ……、そしてこの惑星は、たいへんな危機におちいってしまうことになるの……だった――。

 「この星が不死鳥のように強くて美しいのなら、ぜひ見せてもらおう、ふふ」

  そのとき雲の間から、ものすごい速さで飛来するなにかが見えてきた。それは平べったい円盤のような形をした
 乗物で、その上には紫のローブを羽織る男が立っていた。

  肩の上には赤毛のオウム――男はブロンドの髪をなびかせ、惑星フェニックスの空で円盤を華麗な足さばきで操
 る。上空でピタッと円盤を止めると、肩のオウムがくちばしを動かした。

 「ヴィトっ、ココっ、ヴィトっ、ココっ!」

  孤島を見つめた男は、肩のオウムをなでながら、口もとに笑みを浮かべている。

 「ここか、ふふふ。これから、おもしろいショーを見せてもらおうか、ハハハっ!」

     ★     ★     ★
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

児童絵本館のオオカミ

火隆丸
児童書・童話
閉鎖した児童絵本館に放置されたオオカミの着ぐるみが語る、数々の思い出。ボロボロの着ぐるみの中には、たくさんの人の想いが詰まっています。着ぐるみと人との間に生まれた、切なくも美しい物語です。

【総集編】童話パロディ短編集

Grisly
児童書・童話
❤️⭐️お願いします。童話パロディ短編集

【総集編】日本昔話 パロディ短編集

Grisly
児童書・童話
❤️⭐️お願いします。  今まで発表した 日本昔ばなしの短編集を、再放送致します。 朝ドラの総集編のような物です笑 読みやすくなっているので、 ⭐️して、何度もお読み下さい。 読んだ方も、読んでない方も、 新しい発見があるはず! 是非お楽しみ下さい😄 ⭐︎登録、コメント待ってます。

参上! 怪盗イタッチ

ピラフドリア
児童書・童話
参上! 怪盗イタッチ  イタチの怪盗イタッチが、あらゆるお宝を狙って大冒険!? 折り紙を使った怪盗テクニックで、どんなお宝も盗み出す!! ⭐︎詳細⭐︎ 以下のサイトでも投稿してます。 ・小説家になろう ・エブリスタ ・カクヨム ・ハーメルン ・pixiv ・ノベルアップ+ ・アルファポリス ・note ・ノベリズム ・魔法ランド ・ノベルピア ・YouTube

おっとりドンの童歌

花田 一劫
児童書・童話
いつもおっとりしているドン(道明寺僚) が、通学途中で暴走車に引かれてしまった。 意識を失い気が付くと、この世では見たことのない奇妙な部屋の中。 「どこ。どこ。ここはどこ?」と自問していたら、こっちに雀が近づいて来た。 なんと、その雀は歌をうたい狂ったように踊って(跳ねて)いた。 「チュン。チュン。はあ~。らっせーら。らっせいら。らせらせ、らせーら。」と。 その雀が言うことには、ドンが死んだことを(津軽弁や古いギャグを交えて)伝えに来た者だという。 道明寺が下の世界を覗くと、テレビのドラマで観た昔話の風景のようだった。 その中には、自分と瓜二つのドン助や同級生の瓜二つのハナちゃん、ヤーミ、イート、ヨウカイ、カトッぺがいた。 みんながいる村では、ヌエという妖怪がいた。 ヌエとは、顔は鬼、身体は熊、虎の手や足をもち、何とシッポの先に大蛇の頭がついてあり、人を食べる恐ろしい妖怪のことだった。 ある時、ハナちゃんがヌエに攫われて、ドン助とヤーミがヌエを退治に行くことになるが、天界からドラマを観るように楽しんで鑑賞していた道明寺だったが、道明寺の体は消え、意識はドン助の体と同化していった。 ドン助とヤーミは、ハナちゃんを救出できたのか?恐ろしいヌエは退治できたのか?

忠犬ハジッコ

SoftCareer
児童書・童話
もうすぐ天寿を全うするはずだった老犬ハジッコでしたが、飼い主である高校生・澄子の魂が、偶然出会った付喪神(つくもがみ)の「夜桜」に抜き去られてしまいます。 「夜桜」と戦い力尽きたハジッコの魂は、犬の転生神によって、抜け殻になってしまった澄子の身体に転生し、奪われた澄子の魂を取り戻すべく、仲間達の力を借りながら奮闘努力する……というお話です。 ※今まで、オトナ向けの小説ばかり書いておりましたが、  今回は中学生位を読者対象と想定してチャレンジしてみました。  お楽しみいただければうれしいです。

ミズルチと〈竜骨の化石〉

珠邑ミト
児童書・童話
カイトは家族とバラバラに暮らしている〈音読みの一族〉という〈族《うから》〉の少年。彼の一族は、数多ある〈族〉から魂の〈音〉を「読み」、なんの〈族〉か「読みわける」。彼は飛びぬけて「読め」る少年だ。十歳のある日、その力でイトミミズの姿をしている〈族〉を見つけ保護する。ばあちゃんによると、その子は〈出世ミミズ族〉という〈族《うから》〉で、四年かけてミミズから蛇、竜、人と進化し〈竜の一族〉になるという。カイトはこの子にミズルチと名づけ育てることになり……。  一方、世間では怨墨《えんぼく》と呼ばれる、人の負の感情から生まれる墨の化物が活発化していた。これは人に憑りつき操る。これを浄化する墨狩《すみが》りという存在がある。  ミズルチを保護してから三年半後、ミズルチは竜になり、カイトとミズルチは怨墨に知人が憑りつかれたところに遭遇する。これを墨狩りだったばあちゃんと、担任の湯葉《ゆば》先生が狩るのを見て怨墨を知ることに。 カイトとミズルチのルーツをたどる冒険がはじまる。

石集め

早乙女純章
児童書・童話
ゆうくんは、不思議なおじさんから見たことのないきれいな石をもらいます。 けれど、もらった石はおじさんの家でしか見ることはできませんでした。なので、石を見るためには毎日おじさんの家に行かなければなりませんでした。おじさんの家に毎日通えば、その度にきれいな石を一個もらえました。 おじさんの家にはゆうくん以外にもたくさんの子供たちが遊びに来ていて、石をもらったり、おもちゃで遊んだりしていました。

処理中です...