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第5章 ピンチの後のビッグチャンス?
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おれがポカンとすると、ヘンリが観測部屋の暖炉を指差した。
「外を飛び回って、ハッとしたなり! 煙突に遠眼鏡を装着すれば、望遠鏡になるかもって! 上手くいけば、これで惑星フェニックスが観測できるかもなりよっ」
「ちょ、ちょっと待ってくれよ……1回、落ち着いて考えさせてくれ……」
おれは、ヘンリのアイデアを頭の中で整理してみる――煙突にレンズを装着し、マジカルメガネをかけたおれが、星を見上げて観測する。
「つまり、山小屋が望遠鏡に?」
そのイメージがリアルに見えた瞬間、おれは、大声で叫んでいた。
「い、イケるかもしんねえっ!」
「もう、やるしかないなりよ。さあティム、ついてきてください!」
ヘンリはそう言い、おれの手をすり抜け、暖炉の中へ飛んでいった。
「……でも、本当に大丈夫なのか? 煙突を望遠鏡にするなんて、そんな話は聞いたこと
がない。……もしハリスじいちゃんが聞いたら、絶対に腰を抜かすぞ……」
ただ、これは自分で蒔いた種だ。おれはもう、ダメもとで何でもやるしかないんだ。おれは頭を抱えたくなるのをグッとこらえ、ヘンリを追い煙突の中へ入っていった。不安もあるが、不思議なことにおれの心はなぜかわくわくしている。もし煙突が望遠鏡になればと考えると、興奮するのだ。それに、フィッチの望遠鏡にだって負ける気がしない。
カンカンカンカン!
おれは片手に本と万年筆を持ち、煙突内のハシゴを登って、煙突の先まで進んだ。そこから覗くと、青い空が見えた。ヘンリはすでに煙突の先(出口部分)に、透明のガラスを装着していた。
「こんなデケえ遠眼鏡も、シルクハットから取り出せるのか……すげえ。つまり、煙突の先につけた遠眼鏡が、望遠鏡でいうところの、対物レンズってことか?」
「そうなり。あとはもう1枚、煙突の下部にも遠眼鏡を装着するなりよ」
「ええっと、それはつまり、望遠鏡でいえば、接眼レンズってことか?」
「そうなり。この接眼レンズをティムが覗いて、惑星フェニックスを観測するんです」
「たしかにこれで、煙突は、望遠鏡と同じ仕組みになってる。すごいぜ」
これで、新しい望遠鏡が手に入った。おれは嬉しくなって思わず拳を握る。あとは観測するだけ。煙突望遠鏡なら、インモビリアール社の望遠鏡にも勝てそうな気がしてきた。
「ティム、再チャレンジするなりっ」
「よおーしっ、やってやるぜ!」
おれたちは何とかアイデアを見つけ、ピンチをチャンスに変えた。上手くいくかは分からないが、思わぬどんでん返しだ。おれの胸は「これが正解だ!」と言わんばかりにわくわくしている。
「準備はいいなりか?」
観測の準備を始めたヘンリが、ハシゴの段に広げた本に立ってそうたずねる。おれは接眼レンズに近いハシゴに立ち、「こっちも準備オーケーだ!」と、万年筆を身体で支えるヘンリを見下ろし、力強く答えたんだ。そして、おれはマジカルメガネを装着。
「さあ、今から世界に1つの煙突望遠鏡で、惑星フェニックスの観測開始だ!」
「外を飛び回って、ハッとしたなり! 煙突に遠眼鏡を装着すれば、望遠鏡になるかもって! 上手くいけば、これで惑星フェニックスが観測できるかもなりよっ」
「ちょ、ちょっと待ってくれよ……1回、落ち着いて考えさせてくれ……」
おれは、ヘンリのアイデアを頭の中で整理してみる――煙突にレンズを装着し、マジカルメガネをかけたおれが、星を見上げて観測する。
「つまり、山小屋が望遠鏡に?」
そのイメージがリアルに見えた瞬間、おれは、大声で叫んでいた。
「い、イケるかもしんねえっ!」
「もう、やるしかないなりよ。さあティム、ついてきてください!」
ヘンリはそう言い、おれの手をすり抜け、暖炉の中へ飛んでいった。
「……でも、本当に大丈夫なのか? 煙突を望遠鏡にするなんて、そんな話は聞いたこと
がない。……もしハリスじいちゃんが聞いたら、絶対に腰を抜かすぞ……」
ただ、これは自分で蒔いた種だ。おれはもう、ダメもとで何でもやるしかないんだ。おれは頭を抱えたくなるのをグッとこらえ、ヘンリを追い煙突の中へ入っていった。不安もあるが、不思議なことにおれの心はなぜかわくわくしている。もし煙突が望遠鏡になればと考えると、興奮するのだ。それに、フィッチの望遠鏡にだって負ける気がしない。
カンカンカンカン!
おれは片手に本と万年筆を持ち、煙突内のハシゴを登って、煙突の先まで進んだ。そこから覗くと、青い空が見えた。ヘンリはすでに煙突の先(出口部分)に、透明のガラスを装着していた。
「こんなデケえ遠眼鏡も、シルクハットから取り出せるのか……すげえ。つまり、煙突の先につけた遠眼鏡が、望遠鏡でいうところの、対物レンズってことか?」
「そうなり。あとはもう1枚、煙突の下部にも遠眼鏡を装着するなりよ」
「ええっと、それはつまり、望遠鏡でいえば、接眼レンズってことか?」
「そうなり。この接眼レンズをティムが覗いて、惑星フェニックスを観測するんです」
「たしかにこれで、煙突は、望遠鏡と同じ仕組みになってる。すごいぜ」
これで、新しい望遠鏡が手に入った。おれは嬉しくなって思わず拳を握る。あとは観測するだけ。煙突望遠鏡なら、インモビリアール社の望遠鏡にも勝てそうな気がしてきた。
「ティム、再チャレンジするなりっ」
「よおーしっ、やってやるぜ!」
おれたちは何とかアイデアを見つけ、ピンチをチャンスに変えた。上手くいくかは分からないが、思わぬどんでん返しだ。おれの胸は「これが正解だ!」と言わんばかりにわくわくしている。
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「さあ、今から世界に1つの煙突望遠鏡で、惑星フェニックスの観測開始だ!」
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