スター☆ウォッチャー

泉蒼

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第5章 ピンチの後のビッグチャンス?

5-2

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「目撃情報は見間違いだったのかも。ごめんなさいねえ」

 朝食のとき、母さんは申し訳なさそうにおれに謝った。

 おれも、いちおう残念そうな顔をしたけど、内心はホッとしている。今さら父さんに会うなんて……。ただ、それを顔に出すのも何だか違う気がして、とりあえず落ち込んだフリをした。

「うっわあ、超おいしい! ティムもどんどん食べなさないよ~」

 サリーは、そんな気まずい空気を感じ取ってか、本当におれが落ち込んでいると思ってか、その真意は分からないが、とにかく場を和ませようと朝食をバクバクと食べ始めた。

 バクバクっ、ガツガツっ、ズズズゥゥ!

「メイさんのご飯は、いつ食べても絶品ね」

 そんなサリーに、おれは感謝だ。

 父さんの話は、もうこれ以上したくない。考えれば考えるほど、罪悪感みたいなものが胸に押し寄せてくる。だって、おれもスターウォッチャーを目指しているんだから。

「ねえ、本当に風邪を引いてない?」

 母さんが、サリーの体調を心配して聞いた。テーブルで、一夜を過ごしたせいだ。

 ところが、サリーは目の前で2枚めのトーストを食べ、スープを豪快に飲み干す。

「私、すごく健康体なんですの、おほほ。親には、たまに風邪を引くぐらいのほうが、可愛げがあるって言われますのよ、おほほ」

「何だよ、いきなり変なしゃべり方して」

 おれが言うと、サリーと目が合った。

「……何だよ」

「おっほほほ」

 満面の笑みを向けてくるサリーに、おれは気持ちが悪くなって、パッと顔をそむけた。

「ティムが、毛布をかけてあげたおかげね。サリーから聞いて、母さん、嬉しかったわ」

 突然、母さんもおれに向かってにっこりする。

「お嫁さんは、旦那様に愛されてこそ、幸せになりますからねえ、おっほほほ!」

(べつに……そういうつもりじゃ、ねえし)

 だからサリーは、さっきから機嫌が良かったのか。おれは何となく気まずくなって、下を向いてズズズと音を立ててスープを飲んだ。

 そのとき、

 パリンッ、ガッシャーン!

「きゃあっ」

 なんだっ?

 突然リビングの窓ガラスが、粉々になった。
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