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第5章 ピンチの後のビッグチャンス?
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「目撃情報は見間違いだったのかも。ごめんなさいねえ」
朝食のとき、母さんは申し訳なさそうにおれに謝った。
おれも、いちおう残念そうな顔をしたけど、内心はホッとしている。今さら父さんに会うなんて……。ただ、それを顔に出すのも何だか違う気がして、とりあえず落ち込んだフリをした。
「うっわあ、超おいしい! ティムもどんどん食べなさないよ~」
サリーは、そんな気まずい空気を感じ取ってか、本当におれが落ち込んでいると思ってか、その真意は分からないが、とにかく場を和ませようと朝食をバクバクと食べ始めた。
バクバクっ、ガツガツっ、ズズズゥゥ!
「メイさんのご飯は、いつ食べても絶品ね」
そんなサリーに、おれは感謝だ。
父さんの話は、もうこれ以上したくない。考えれば考えるほど、罪悪感みたいなものが胸に押し寄せてくる。だって、おれもスターウォッチャーを目指しているんだから。
「ねえ、本当に風邪を引いてない?」
母さんが、サリーの体調を心配して聞いた。テーブルで、一夜を過ごしたせいだ。
ところが、サリーは目の前で2枚めのトーストを食べ、スープを豪快に飲み干す。
「私、すごく健康体なんですの、おほほ。親には、たまに風邪を引くぐらいのほうが、可愛げがあるって言われますのよ、おほほ」
「何だよ、いきなり変なしゃべり方して」
おれが言うと、サリーと目が合った。
「……何だよ」
「おっほほほ」
満面の笑みを向けてくるサリーに、おれは気持ちが悪くなって、パッと顔をそむけた。
「ティムが、毛布をかけてあげたおかげね。サリーから聞いて、母さん、嬉しかったわ」
突然、母さんもおれに向かってにっこりする。
「お嫁さんは、旦那様に愛されてこそ、幸せになりますからねえ、おっほほほ!」
(べつに……そういうつもりじゃ、ねえし)
だからサリーは、さっきから機嫌が良かったのか。おれは何となく気まずくなって、下を向いてズズズと音を立ててスープを飲んだ。
そのとき、
パリンッ、ガッシャーン!
「きゃあっ」
なんだっ?
突然リビングの窓ガラスが、粉々になった。
朝食のとき、母さんは申し訳なさそうにおれに謝った。
おれも、いちおう残念そうな顔をしたけど、内心はホッとしている。今さら父さんに会うなんて……。ただ、それを顔に出すのも何だか違う気がして、とりあえず落ち込んだフリをした。
「うっわあ、超おいしい! ティムもどんどん食べなさないよ~」
サリーは、そんな気まずい空気を感じ取ってか、本当におれが落ち込んでいると思ってか、その真意は分からないが、とにかく場を和ませようと朝食をバクバクと食べ始めた。
バクバクっ、ガツガツっ、ズズズゥゥ!
「メイさんのご飯は、いつ食べても絶品ね」
そんなサリーに、おれは感謝だ。
父さんの話は、もうこれ以上したくない。考えれば考えるほど、罪悪感みたいなものが胸に押し寄せてくる。だって、おれもスターウォッチャーを目指しているんだから。
「ねえ、本当に風邪を引いてない?」
母さんが、サリーの体調を心配して聞いた。テーブルで、一夜を過ごしたせいだ。
ところが、サリーは目の前で2枚めのトーストを食べ、スープを豪快に飲み干す。
「私、すごく健康体なんですの、おほほ。親には、たまに風邪を引くぐらいのほうが、可愛げがあるって言われますのよ、おほほ」
「何だよ、いきなり変なしゃべり方して」
おれが言うと、サリーと目が合った。
「……何だよ」
「おっほほほ」
満面の笑みを向けてくるサリーに、おれは気持ちが悪くなって、パッと顔をそむけた。
「ティムが、毛布をかけてあげたおかげね。サリーから聞いて、母さん、嬉しかったわ」
突然、母さんもおれに向かってにっこりする。
「お嫁さんは、旦那様に愛されてこそ、幸せになりますからねえ、おっほほほ!」
(べつに……そういうつもりじゃ、ねえし)
だからサリーは、さっきから機嫌が良かったのか。おれは何となく気まずくなって、下を向いてズズズと音を立ててスープを飲んだ。
そのとき、
パリンッ、ガッシャーン!
「きゃあっ」
なんだっ?
突然リビングの窓ガラスが、粉々になった。
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