スター☆ウォッチャー

泉蒼

文字の大きさ
上 下
24 / 64
第4章 陽気なパートナー

4-6

しおりを挟む
 ところが、ヘンリはきっぱりと言う。

「未経験、上等なり! そんなの、経験を積めばいいだけですからね。だから、恥ずかしがる必要なんてありません。それに、おいらがティムのパートナーになりますから」

「えっ?」

「そうですよ。だから、おいらは月からやってきたんです。――ただし!」

 テーブルのヘンリが、おれの顔に、人差し指を向ける。

「今のままだと、いくら頑張っても、星を観測することはできません」

「そ、そうなのか? 望遠鏡を覗けば、惑星フェニックスが見れるんじゃ?!」

 だが、ヘンリは人差し指をふった。

「いいですか、ティム。物事には順序、ってもんがあるんですよ。何を始めるにしても、そこには、とっーても大事な順番ってものがあるんです」

「順序? 順番?」

 意気込みだけは1人前だが、おれは、スターウォッチャーのことを何も知らなかったんだと痛感した。

 おれがヘンリなら、きっとガッカリするだろうな……。

「落ち込む必要なんてありませんよ。誰だって、初めはみーんな初心者ですからね」

 そう励ましたヘンリが、テーブルから望遠鏡へ飛び移る。鏡筒に座って、足を組んだ。

「それでは、特別授業を開始するなり。いいですか、ティム。じつは、このガリレオ式望遠鏡の対物レンズは、『遠眼鏡』という特殊なレンズが使われているんです」

「ええっ? そ、……そうだったのか」

「ですが、これだけじゃ、星は見えてもその中までは見えません。もっぱら物語を書くなんて、無理な話でしょう。だから、次に必要になるのが、これなんですねえ」

 ヘンリが、どこかもったいぶるような口調で言い、シルクハットを脱いだ。

 そこから、ヘンリが取り出したのは、なんと虹色に光るメガネだった。

「レンズが、7色に光ってる! そのメガネは何なんだっ?」

「その前に、おいらのシルクハットは、時空トンネルになってるんですよ。月にあるおいらの観測部屋とつながっていて、時空トンネルを使えば、そこにある物を何でも取り出せるんですよ」

「すっげえ」

「それで、このメガネは『マジカルメガネ』って言います。じつは、スターウォッチャーの必須アイテムなんです、これ」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ロリっ子がおじさんに種付けされる話

オニオン太郎
大衆娯楽
なろうにも投稿した奴です

ドレスを着たら…

奈落
SF
TSFの短い話です

♡蜜壺に指を滑り込ませて蜜をクチュクチュ♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショート♡年末まで毎日5本投稿中!!

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

意味がわかると下ネタにしかならない話

黒猫
ホラー
意味がわかると怖い話に影響されて作成した作品意味がわかると下ネタにしかならない話(ちなみに作者ががんばって考えているの更新遅れるっす)

ねぇ、お母さん。

有箱
児童書・童話
幸せな時間がずっと続いていた。それはこれからも続くものだと思っていた。 けれど、違ったみたい。 ※ジャンル不明にて、カテゴリーは仮設定です^^;

堕ちた父は最愛の息子を欲に任せ犯し抜く

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

食事届いたけど配達員のほうを食べました

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
なぜ自転車に乗る人はピチピチのエロい服を着ているのか? そう思っていたところに、食事を届けにきたデリバリー配達員の男子大学生がピチピチのサイクルウェアを着ていた。イケメンな上に筋肉質でエロかったので、追加料金を払って、メシではなく彼を食べることにした。

処理中です...