スター☆ウォッチャー

泉蒼

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第4章 陽気なパートナー

4-1

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 あれから、ふたりで手分けして広場の本を持って帰った。家につくと、空はもう暗くなり始めていた。雨も降りそうだった。

「手紙よ」

 さきに家に入ったサリーが、リビングから呼ぶ。

「どうしてサリーが、さきにおれの家に入ってるんだよ」

 七冊本を抱えてリビングに行くとテーブルに一枚、羊皮紙が置いてあった。見ると、母さんからだ。

「どれどれ」



      ティムへ
  
      今朝は怒鳴ってしまってごめんなさい。
  あのあと、町の人からお父さんを見かけた
  という知らせがあって、迷ったものの、母
  さんは隣町に探しに行くことにしました。
  なるべく今夜中には帰りたいけど、どうや
  ら海が荒れるようで、むずかしいかもしれ
  ません。トマトソースがあるので、サリー
  と、パスタでも茹でて食べてください。
                                     
                      メイ



 父さんを、見かけた?
 
 手紙を読み、仰天しそうになる。

 ……本当か? 
 
 正直、戸惑った。おれには父さんの記憶がない。小さいとき突然、行方不明になったのだ。

「いきなり言われても……」

 ゆっくり言われても心の準備はできない。

 とにかく、手紙の内容はサリーに伝えず。

 父さんが見つかったなんて言えば、絶対にサリーは「家族再会パーティをしよう」と大騒ぎする。町の人に言い触らすだろうし、みんなを巻き込み、盛大なお祭りを始めるかもしれなかった。

 そんなの、恥ずかしすぎる。

 まだ、情報が本当かも分からない。

 ただ、本当に帰ってきたらどうする?
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