19 / 64
第4章 陽気なパートナー
4-1
しおりを挟む
あれから、ふたりで手分けして広場の本を持って帰った。家につくと、空はもう暗くなり始めていた。雨も降りそうだった。
「手紙よ」
さきに家に入ったサリーが、リビングから呼ぶ。
「どうしてサリーが、さきにおれの家に入ってるんだよ」
七冊本を抱えてリビングに行くとテーブルに一枚、羊皮紙が置いてあった。見ると、母さんからだ。
「どれどれ」
ティムへ
今朝は怒鳴ってしまってごめんなさい。
あのあと、町の人からお父さんを見かけた
という知らせがあって、迷ったものの、母
さんは隣町に探しに行くことにしました。
なるべく今夜中には帰りたいけど、どうや
ら海が荒れるようで、むずかしいかもしれ
ません。トマトソースがあるので、サリー
と、パスタでも茹でて食べてください。
メイ
父さんを、見かけた?
手紙を読み、仰天しそうになる。
……本当か?
正直、戸惑った。おれには父さんの記憶がない。小さいとき突然、行方不明になったのだ。
「いきなり言われても……」
ゆっくり言われても心の準備はできない。
とにかく、手紙の内容はサリーに伝えず。
父さんが見つかったなんて言えば、絶対にサリーは「家族再会パーティをしよう」と大騒ぎする。町の人に言い触らすだろうし、みんなを巻き込み、盛大なお祭りを始めるかもしれなかった。
そんなの、恥ずかしすぎる。
まだ、情報が本当かも分からない。
ただ、本当に帰ってきたらどうする?
「手紙よ」
さきに家に入ったサリーが、リビングから呼ぶ。
「どうしてサリーが、さきにおれの家に入ってるんだよ」
七冊本を抱えてリビングに行くとテーブルに一枚、羊皮紙が置いてあった。見ると、母さんからだ。
「どれどれ」
ティムへ
今朝は怒鳴ってしまってごめんなさい。
あのあと、町の人からお父さんを見かけた
という知らせがあって、迷ったものの、母
さんは隣町に探しに行くことにしました。
なるべく今夜中には帰りたいけど、どうや
ら海が荒れるようで、むずかしいかもしれ
ません。トマトソースがあるので、サリー
と、パスタでも茹でて食べてください。
メイ
父さんを、見かけた?
手紙を読み、仰天しそうになる。
……本当か?
正直、戸惑った。おれには父さんの記憶がない。小さいとき突然、行方不明になったのだ。
「いきなり言われても……」
ゆっくり言われても心の準備はできない。
とにかく、手紙の内容はサリーに伝えず。
父さんが見つかったなんて言えば、絶対にサリーは「家族再会パーティをしよう」と大騒ぎする。町の人に言い触らすだろうし、みんなを巻き込み、盛大なお祭りを始めるかもしれなかった。
そんなの、恥ずかしすぎる。
まだ、情報が本当かも分からない。
ただ、本当に帰ってきたらどうする?
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
食事届いたけど配達員のほうを食べました
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
なぜ自転車に乗る人はピチピチのエロい服を着ているのか?
そう思っていたところに、食事を届けにきたデリバリー配達員の男子大学生がピチピチのサイクルウェアを着ていた。イケメンな上に筋肉質でエロかったので、追加料金を払って、メシではなく彼を食べることにした。
少年野球で知り合ってやけに懐いてきた後輩のあえぎ声が頭から離れない
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
少年野球で知り合い、やたら懐いてきた後輩がいた。
ある日、彼にちょっとしたイタズラをした。何気なく出したちょっかいだった。
だがそのときに発せられたあえぎ声が頭から離れなくなり、俺の行為はどんどんエスカレートしていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる