スター☆ウォッチャー

第3章 大馬鹿者

3-1

「朝ご飯よ」

　母さんの声で目を覚ます。

　太陽の光がカーテン越しに顔を照らしていた。

　しばらくベッドの上でぼーっとしていると、

「えっ？　私服？」

　おれは思わずつぶやいた。

「どうしてパジャマに着替えずに？　……うわっ、しかもシャツに泥まで……あっ！」

　ふと昨日の出来事を思い出す。

　そう、インモビリアール社だ。

「フィッチとかいう、ふざけた野郎のせいで……」

　昨夜は悔しくて悲しくて風呂も入らずそのまま寝てしまったようだ。

　グウウウ！

　お腹が盛大に鳴る。

「……晩飯も食ってなかった」

　ベッドを飛び起き走って洗面所に行った。

　顔に勢いよく水をかけあわてて歯を磨く。

「……あいつらのせいで、なんでおれが、腹を……空かせなきゃいけないんだ！」

　怒りに身を任せ、奥歯をゴシゴシ磨く。

　頭に黒光りするバケモノ望遠鏡が甦る。

「あの胡散臭い……望遠鏡のせいで……昨日は散々だったんだ！」

　歯磨きを終え、腹ごしらえをしたら、

「まだ鎮座しているのか？　そんなの、おれは許さねえ」　

おれは、町の広場へ偵察に行こうと思った。