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第1章 ずっと忘れていた夢
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「うわ、草がボーボーだ」
五年ぶりの山小屋は、草が生い茂って、扉が見えなかった。
煙突も蔦まみれ。
「やけに古びて見える。記憶より、小屋が小さく感じるな」
「行くわよ」
驚くばかりのおれとは反対にサリーは冷めた口調で言った。
二人で、半分ほど草の海に沈んだ小屋まで歩く。
草をかきわけ進み、鍵で扉を開けて中に入る。
「うわ、びしょびしょ」
小屋の床は水浸しだ。
町の人が教えてくれなければ、山小屋は使い物にならなかっただろう。
「くるぶしまで、水につかった」
「いつもハーフパンツのティムには問題ないわね、ぷぷっ。さあ、どんどん水をすくってちょうだい。私は裏の倉庫からバケツを持ってくるから」
サリーが強引にスコップを手渡してくる。
「これですくってたら日が暮れるぞ!」
さっきから、おれの扱いがひどい。
そう文句を言うと、サリーは意地悪い顔で「メイさんに告げ口しようかな」と独り言をつぶやく。
「あれ、なんだか、スコップで水をすくいたくなってきた、へへへ」
おれはとっさに口もとを緩めヘラヘラ顔でスコップを受け取った。
「あ、そう。じゃあ、ぞうきんがけもお願いね」
「なにっ?」
サリーがじっと顔を覗き込む。
目の前でぞうきんをちらつかせた。
「あれあれ、なんだか、ぞうきんがけもしたくなってきた、へへへ」
「じゃあ」
ぞうきんを押し付けられる。
したり顔のサリーは裏の倉庫へ向かった。
「くそ、ここは我慢。……母さんにけんかがバレたら、ヤバいし」
五年ぶりの山小屋は、草が生い茂って、扉が見えなかった。
煙突も蔦まみれ。
「やけに古びて見える。記憶より、小屋が小さく感じるな」
「行くわよ」
驚くばかりのおれとは反対にサリーは冷めた口調で言った。
二人で、半分ほど草の海に沈んだ小屋まで歩く。
草をかきわけ進み、鍵で扉を開けて中に入る。
「うわ、びしょびしょ」
小屋の床は水浸しだ。
町の人が教えてくれなければ、山小屋は使い物にならなかっただろう。
「くるぶしまで、水につかった」
「いつもハーフパンツのティムには問題ないわね、ぷぷっ。さあ、どんどん水をすくってちょうだい。私は裏の倉庫からバケツを持ってくるから」
サリーが強引にスコップを手渡してくる。
「これですくってたら日が暮れるぞ!」
さっきから、おれの扱いがひどい。
そう文句を言うと、サリーは意地悪い顔で「メイさんに告げ口しようかな」と独り言をつぶやく。
「あれ、なんだか、スコップで水をすくいたくなってきた、へへへ」
おれはとっさに口もとを緩めヘラヘラ顔でスコップを受け取った。
「あ、そう。じゃあ、ぞうきんがけもお願いね」
「なにっ?」
サリーがじっと顔を覗き込む。
目の前でぞうきんをちらつかせた。
「あれあれ、なんだか、ぞうきんがけもしたくなってきた、へへへ」
「じゃあ」
ぞうきんを押し付けられる。
したり顔のサリーは裏の倉庫へ向かった。
「くそ、ここは我慢。……母さんにけんかがバレたら、ヤバいし」
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