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第1章 ずっと忘れていた夢
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「こらーっ、ティム!」
思わぬ邪魔が入った。
幼馴染みのサリーが、山道からこっちを目がけて走ってくる。
……マズい。
サリーはけんかをする度に目ざとく見つけ、母さんに言いつける。
どういうわけか、おれが悪いことをするといつもサリーに見つかるんだ。
まさか……。
母さんから「ティムを監視して」、とでもお願いされているんだろうか。
だったら、毎度このタイミングであらわれるのにも、うなずけるな。
とにかく、絶対に二人は、陰で何かしらの秘め事を交わしているはず。
そう考えると、ちょっと怖いぜ。
二人が、おれのいないところで、おれについて話をしているんだもんな……。
――すると。
「痛ってえっ」
マグマのように、顔を真っ赤にしたサリーが、おれに体当たりしてきた。
「またけんかっ? 何度言えば分かるのよ!」
「こいつらが葡萄畑の息子を馬鹿にするから……あっ、待て!」
サリーと言い合う隙に、三人組が走り出す。
「ちっ……」
サリーのせいで逃げたじゃねえか。
サリーは、走って行った三人組を見て、フンと鼻を鳴らす。
そして、またおれに向き直ると、
「あんな人たちは放っておけばいいのよ!」
鼻にしわを寄せたサリーが、肩に担いだ大きな荷袋を地べたに放る。
――ドサッ!
「ああ、重かった。でも、ちょうどよかったわ、ティムが見つかって」
は?
それ、どういう意味だ?
嫌な予感がするおれに、腕を組んだサリーがきっぱりと言う。
「けんか、メイさんに告げ口されたくないでしょ。なら黙って、その荷袋を担いでついてきて」
「??」
ちっ……。
そういうことかよ。
だが、おれを文句を言おうとした瞬間、
「告げ口しよっかなー、メイさんに。どう?」
サリーがすました顔でつぶやいた。
「もちます! 荷袋でもなんでも持ちまーす!」
おれは、母さんに告げ口されるのが嫌で、満面の笑みをつくって言った。
……くそっ。
思わぬ邪魔が入った。
幼馴染みのサリーが、山道からこっちを目がけて走ってくる。
……マズい。
サリーはけんかをする度に目ざとく見つけ、母さんに言いつける。
どういうわけか、おれが悪いことをするといつもサリーに見つかるんだ。
まさか……。
母さんから「ティムを監視して」、とでもお願いされているんだろうか。
だったら、毎度このタイミングであらわれるのにも、うなずけるな。
とにかく、絶対に二人は、陰で何かしらの秘め事を交わしているはず。
そう考えると、ちょっと怖いぜ。
二人が、おれのいないところで、おれについて話をしているんだもんな……。
――すると。
「痛ってえっ」
マグマのように、顔を真っ赤にしたサリーが、おれに体当たりしてきた。
「またけんかっ? 何度言えば分かるのよ!」
「こいつらが葡萄畑の息子を馬鹿にするから……あっ、待て!」
サリーと言い合う隙に、三人組が走り出す。
「ちっ……」
サリーのせいで逃げたじゃねえか。
サリーは、走って行った三人組を見て、フンと鼻を鳴らす。
そして、またおれに向き直ると、
「あんな人たちは放っておけばいいのよ!」
鼻にしわを寄せたサリーが、肩に担いだ大きな荷袋を地べたに放る。
――ドサッ!
「ああ、重かった。でも、ちょうどよかったわ、ティムが見つかって」
は?
それ、どういう意味だ?
嫌な予感がするおれに、腕を組んだサリーがきっぱりと言う。
「けんか、メイさんに告げ口されたくないでしょ。なら黙って、その荷袋を担いでついてきて」
「??」
ちっ……。
そういうことかよ。
だが、おれを文句を言おうとした瞬間、
「告げ口しよっかなー、メイさんに。どう?」
サリーがすました顔でつぶやいた。
「もちます! 荷袋でもなんでも持ちまーす!」
おれは、母さんに告げ口されるのが嫌で、満面の笑みをつくって言った。
……くそっ。
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