スター☆ウォッチャー

泉蒼

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第1章 ずっと忘れていた夢

1-2

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「こらーっ、ティム!」

 思わぬ邪魔が入った。

 幼馴染みのサリーが、山道からこっちを目がけて走ってくる。

 ……マズい。

 サリーはけんかをする度に目ざとく見つけ、母さんに言いつける。

 どういうわけか、おれが悪いことをするといつもサリーに見つかるんだ。

 まさか……。

 母さんから「ティムを監視して」、とでもお願いされているんだろうか。

 だったら、毎度このタイミングであらわれるのにも、うなずけるな。
 
 とにかく、絶対に二人は、陰で何かしらの秘め事を交わしているはず。

 そう考えると、ちょっと怖いぜ。

 二人が、おれのいないところで、おれについて話をしているんだもんな……。

 ――すると。

「痛ってえっ」

 マグマのように、顔を真っ赤にしたサリーが、おれに体当たりしてきた。

「またけんかっ? 何度言えば分かるのよ!」

「こいつらが葡萄畑の息子を馬鹿にするから……あっ、待て!」

 サリーと言い合う隙に、三人組が走り出す。

「ちっ……」

 サリーのせいで逃げたじゃねえか。

 サリーは、走って行った三人組を見て、フンと鼻を鳴らす。

 そして、またおれに向き直ると、

「あんな人たちは放っておけばいいのよ!」

 鼻にしわを寄せたサリーが、肩に担いだ大きな荷袋を地べたに放る。

 ――ドサッ!


「ああ、重かった。でも、ちょうどよかったわ、ティムが見つかって」

 は? 
 
 それ、どういう意味だ?

 嫌な予感がするおれに、腕を組んだサリーがきっぱりと言う。

「けんか、メイさんに告げ口されたくないでしょ。なら黙って、その荷袋を担いでついてきて」

「??」

 ちっ……。

 そういうことかよ。

 だが、おれを文句を言おうとした瞬間、

「告げ口しよっかなー、メイさんに。どう?」

 サリーがすました顔でつぶやいた。

「もちます! 荷袋でもなんでも持ちまーす!」

 おれは、母さんに告げ口されるのが嫌で、満面の笑みをつくって言った。

 ……くそっ。
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