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***
「と、いう訳で無事に退職して参りました!」
「シルヴィア、無事というのかしら?それ」
え、無事ですよね……?
「すごい決意と熱意で私の店へ来てくれた、という事はわかったわ。……これから、よろしくね。」
「よろしくお願いします!」
新しくお世話になるメゾンの店長兼オーナーのミアさんに、ご挨拶がてら今回の顛末を話したら、ちょっと呆れられてしまった。仕事は、仕事は頑張りますので!
「それにしても、その騎士様はそれで良かったの?」
「彼はもうすぐ伯爵になるので、きちんとしたご令嬢とご結婚される方がいいと思うんですよね」
「……ほんとに割り切ってるのね」
そうですね。いや私の相手は誰でも良かったくらいですしね……。道端で人を誘おうとしてたことは、流石に内緒にしておこう。
「その人が探しに来たりしたら、どうするの?」
「それ、困るやつです。そうだ、もし騎士様が私の様な者を探しに来たら、そんな者はいないと知らんぷりしてもらっていいですか?」
「ええ……まぁ、いいけど。ほんと変わってるわね」
ふふふ、と面白そうに笑うミアさんは、私より10歳は上のはずなのに、笑顔がとてもかわいい。
「多分、来月には彼は市中の見回り任務からは外れると思います。見かけなくなる頃には、私も店頭仕事をさせていただきますので」
「そうね。それに先ずは店と仕事内容に慣れてもらわないとだわね。よろしくお願いするわ」
***
「失礼、個人的に人を探している。最近、こちらで城で働いていた者を雇われたりはしていないだろうか?」
何とその話をした翌日、本当にリカルドが店にやってきた。幸い裏にいたので、ミアさんが接客してくれて事なきを得る。
「うちでは最近は、お針子を雇ってはおりません。残念ですが、お役に立てないかと」
「……そうですか、ありがとう」
こっそり2階から覗いていたら、見回りの途中らしかった。危なかった、気をつけなければ!
に、しても本当に探しにくるとは思っていなかった。一回きりの約束だったし、初めての相手をヤるのも面倒だったろうになぁ。
「えーちょっと!全然素敵な人じゃない、なんでダメなの?」
「素敵だからこそ、私が相手ではダメでしょう。」
ミアさんが上がってきてわぁわぁ言ってきたけど、真っ当に考えて私にリカルドは『無し』の相手だ。立場もだが、もうほんとに家族みたいで、恋愛感情になり得ない。リカルドもそうだと思っていたのだが。
「職業婦人ではなく、きちんとした御令嬢を伯爵夫人に迎えるべき人ですよ」
「うーん、それはねぇ……難しい問題よね」
「いえ、だから問題になる前の段階です」
「ひどいわね」
ミアさんは爆笑した。
「なのに、純潔はもらってもらったのねぇ」
「そこはそれ、ということで……いいじゃないですか、もう。」
私にとっては、厄介な荷物を一つ下ろしてきた。それだけの事だったのだが、どうやらリカルドには、少し違った様だ。
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「と、いう訳で無事に退職して参りました!」
「シルヴィア、無事というのかしら?それ」
え、無事ですよね……?
「すごい決意と熱意で私の店へ来てくれた、という事はわかったわ。……これから、よろしくね。」
「よろしくお願いします!」
新しくお世話になるメゾンの店長兼オーナーのミアさんに、ご挨拶がてら今回の顛末を話したら、ちょっと呆れられてしまった。仕事は、仕事は頑張りますので!
「それにしても、その騎士様はそれで良かったの?」
「彼はもうすぐ伯爵になるので、きちんとしたご令嬢とご結婚される方がいいと思うんですよね」
「……ほんとに割り切ってるのね」
そうですね。いや私の相手は誰でも良かったくらいですしね……。道端で人を誘おうとしてたことは、流石に内緒にしておこう。
「その人が探しに来たりしたら、どうするの?」
「それ、困るやつです。そうだ、もし騎士様が私の様な者を探しに来たら、そんな者はいないと知らんぷりしてもらっていいですか?」
「ええ……まぁ、いいけど。ほんと変わってるわね」
ふふふ、と面白そうに笑うミアさんは、私より10歳は上のはずなのに、笑顔がとてもかわいい。
「多分、来月には彼は市中の見回り任務からは外れると思います。見かけなくなる頃には、私も店頭仕事をさせていただきますので」
「そうね。それに先ずは店と仕事内容に慣れてもらわないとだわね。よろしくお願いするわ」
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「失礼、個人的に人を探している。最近、こちらで城で働いていた者を雇われたりはしていないだろうか?」
何とその話をした翌日、本当にリカルドが店にやってきた。幸い裏にいたので、ミアさんが接客してくれて事なきを得る。
「うちでは最近は、お針子を雇ってはおりません。残念ですが、お役に立てないかと」
「……そうですか、ありがとう」
こっそり2階から覗いていたら、見回りの途中らしかった。危なかった、気をつけなければ!
に、しても本当に探しにくるとは思っていなかった。一回きりの約束だったし、初めての相手をヤるのも面倒だったろうになぁ。
「えーちょっと!全然素敵な人じゃない、なんでダメなの?」
「素敵だからこそ、私が相手ではダメでしょう。」
ミアさんが上がってきてわぁわぁ言ってきたけど、真っ当に考えて私にリカルドは『無し』の相手だ。立場もだが、もうほんとに家族みたいで、恋愛感情になり得ない。リカルドもそうだと思っていたのだが。
「職業婦人ではなく、きちんとした御令嬢を伯爵夫人に迎えるべき人ですよ」
「うーん、それはねぇ……難しい問題よね」
「いえ、だから問題になる前の段階です」
「ひどいわね」
ミアさんは爆笑した。
「なのに、純潔はもらってもらったのねぇ」
「そこはそれ、ということで……いいじゃないですか、もう。」
私にとっては、厄介な荷物を一つ下ろしてきた。それだけの事だったのだが、どうやらリカルドには、少し違った様だ。
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