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1.騎士はやり逃げされる。※
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***
「あ、やぁ……っ、ん」
「うわすっげ……なんだこれ、くっそ……」
「んんっ」
「は、まだ、絡み付いてくる……最っ高」
「あっ」
どちゅ、と大きく穿たれてそれは悲鳴に変わる。
「きゃ、あ……んんっ」
「オマエも気持ちよさそうだな」
「あ、あっ、は、あん」
「やらかくて、あったかい……いいな……」
律動に合わせて漏れる吐息と涙に、快感を追う事しかできない。最初で最後だと思いながら、彼に縋り付いてしまいそうだった。
***
ふ、と自分が寝入っていたことに彼女は気づいた。背後から聞こえる寝息にほっとして、そうっとベッドから降りる。彼は身じろぎをしたが、まだ起きる気配はない。
急いで身支度をして、朝の近い、薄明るくなりつつある宿の部屋をそっと抜け出す。
「はぁ、これで終わりだわ」
白んでくる空を見上げ、ため息をつく。早くここを離れなくてはと、急ぎ足で人目につかないように、朝の街に逃げ込んだ。
***
「……あぁ?なんでいねーんだよ、もう」
彼女がベッドを抜け出して数時間後、明るくなってきた部屋でようやくリカルドは目を覚ました。一緒に寝た痕跡はあるものの、彼女の姿も気配もどこにも無い。床には自分が脱ぎ散らかした騎士服だけが落ちている。
「ちぇっ、朝もやりたかったのになぁ。あー、まさかあいつが、あんなの持ってたとはな……」
ガシガシと頭をかきながら、昨夜を思い出す。初めて抱いたのに、その具合の良さが忘れられなくてニヤニヤとしてしまう。彼女が初めてじゃなければ、きっと抱き潰していただろう。
ベッドに広がった特徴的な赤茶の髪や、自身に纏わりつくような温かな胎の中と白い身体を思い出し、その昂りを見れば、既にパンパンに膨らんでいる。
「しょーがねぇ、起きるか……あいつは後で説教だな」
彼女は3つ歳下の幼馴染だ。先日、切羽詰まったように話があると言われ、相談に乗ったら『一度だけでいい、純潔をもらって欲しい』と懇願されてしまった。
正直、妹を抱くようで気乗りはしなかったのだが、始まってしまえばお互い大人だ、驚くほど素直にその行為を楽しめた。何より、経験した事のないほど良い具合だったのだ。
「それにしても、なんで一回だけなんだ?」
終わってから考える事ではないが、基本的に肉欲優先のリカルドには、心配が後からやってくる事はよくある。もっと話を聞く必要があるな、と浴室でアレを抜きながらようやく考えていた。もちろん昨夜のことを思い出し、今夜のことを夢想しながら。
昼から騎士団の演習だけ参加して、それから彼女の寮へと向かった。彼女は王城でお針子として働いている。しかし会えると思っていたその期待は、裏切られた。
「彼女は昨日で退職し、そのまま退寮されましたよ?」
「は?」
「あら、ご存じないですか?なんでも、自領へ戻られるとかで……」
「そ、うですか……。ありがとう、ございます……」
退職?自領?子爵家の自領って、国境近くのあそこ?え、なんで?帰らないんじゃなかったのか?昨日何も言ってなかったよな?
ぐるぐると巡る考えに混乱しながら、礼を言ってそこを離れる。
彼女は忽然と、彼の前から姿を消した。
「シルヴィア、あいつ……やり逃げとかマジか?!」
***
「あ、やぁ……っ、ん」
「うわすっげ……なんだこれ、くっそ……」
「んんっ」
「は、まだ、絡み付いてくる……最っ高」
「あっ」
どちゅ、と大きく穿たれてそれは悲鳴に変わる。
「きゃ、あ……んんっ」
「オマエも気持ちよさそうだな」
「あ、あっ、は、あん」
「やらかくて、あったかい……いいな……」
律動に合わせて漏れる吐息と涙に、快感を追う事しかできない。最初で最後だと思いながら、彼に縋り付いてしまいそうだった。
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ふ、と自分が寝入っていたことに彼女は気づいた。背後から聞こえる寝息にほっとして、そうっとベッドから降りる。彼は身じろぎをしたが、まだ起きる気配はない。
急いで身支度をして、朝の近い、薄明るくなりつつある宿の部屋をそっと抜け出す。
「はぁ、これで終わりだわ」
白んでくる空を見上げ、ため息をつく。早くここを離れなくてはと、急ぎ足で人目につかないように、朝の街に逃げ込んだ。
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「……あぁ?なんでいねーんだよ、もう」
彼女がベッドを抜け出して数時間後、明るくなってきた部屋でようやくリカルドは目を覚ました。一緒に寝た痕跡はあるものの、彼女の姿も気配もどこにも無い。床には自分が脱ぎ散らかした騎士服だけが落ちている。
「ちぇっ、朝もやりたかったのになぁ。あー、まさかあいつが、あんなの持ってたとはな……」
ガシガシと頭をかきながら、昨夜を思い出す。初めて抱いたのに、その具合の良さが忘れられなくてニヤニヤとしてしまう。彼女が初めてじゃなければ、きっと抱き潰していただろう。
ベッドに広がった特徴的な赤茶の髪や、自身に纏わりつくような温かな胎の中と白い身体を思い出し、その昂りを見れば、既にパンパンに膨らんでいる。
「しょーがねぇ、起きるか……あいつは後で説教だな」
彼女は3つ歳下の幼馴染だ。先日、切羽詰まったように話があると言われ、相談に乗ったら『一度だけでいい、純潔をもらって欲しい』と懇願されてしまった。
正直、妹を抱くようで気乗りはしなかったのだが、始まってしまえばお互い大人だ、驚くほど素直にその行為を楽しめた。何より、経験した事のないほど良い具合だったのだ。
「それにしても、なんで一回だけなんだ?」
終わってから考える事ではないが、基本的に肉欲優先のリカルドには、心配が後からやってくる事はよくある。もっと話を聞く必要があるな、と浴室でアレを抜きながらようやく考えていた。もちろん昨夜のことを思い出し、今夜のことを夢想しながら。
昼から騎士団の演習だけ参加して、それから彼女の寮へと向かった。彼女は王城でお針子として働いている。しかし会えると思っていたその期待は、裏切られた。
「彼女は昨日で退職し、そのまま退寮されましたよ?」
「は?」
「あら、ご存じないですか?なんでも、自領へ戻られるとかで……」
「そ、うですか……。ありがとう、ございます……」
退職?自領?子爵家の自領って、国境近くのあそこ?え、なんで?帰らないんじゃなかったのか?昨日何も言ってなかったよな?
ぐるぐると巡る考えに混乱しながら、礼を言ってそこを離れる。
彼女は忽然と、彼の前から姿を消した。
「シルヴィア、あいつ……やり逃げとかマジか?!」
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