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五章 那伽羅闍の落胤
OVER KILL THE PSYCHO
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奴隷商人が突き出た腹を撫でながら商品の値踏みをしている。
獣人のペティ・リンクス族の若い個体が、互いの手首が連なるように縛られ砦の広間の片隅に一塊となっていた。
辺境に小規模集落を形成して暮らすペティ・リンクス族は、猫のような瞳と尻尾、大きな耳が特徴の愛らしい容姿から人気が高く高値で売れた。
繁殖力の高さから絶滅の危惧もなく、その穏やかな気質ゆえの狩りやすさから雇われ兵士にとっては遠征ついでの割の良い小遣い稼ぎになった。
王国軍なら捕虜の規約の制限を受けるが、金目当ての傭兵にとっては単なる戦利品だ。
奴隷商人がペティ・リンクス族を眺め回し大袈裟なジェスチャーで調停官に訴えかけている。
より有利な条件で商談をまとめようと必死だ。
ネスタロフと新人の若者は、そんな奴隷商人と対照的な調停官に視線を投げた。
「で、おまえが狙っていた子猫ちゃんをロイド・ユーゲンバルト司令官殿に取られたわけか」
ネスタロフは若者の肩に腕を回したまま尋ねた。
「まぁ……そうです……。でもすぐに返してくれるはずです」
若者はおずおずと答えた。
ネスタロフと三人の兵士は同時にどっと笑い出した。
「おい、新人。おまえにひとつアドバイスをしてやるよ。もし気に入った女がいたら、ロイド司令官殿には絶対に見せるな!」
そう言ってまた笑った。
広間の最奥にある司令官が使う部屋からロイドが出てきた。
兵士でごった返した広間を裏口へ向かって足早に歩いて行く。
ネスタロフと若者は同時に首を巡らせた。
たむろする兵士の間をすり抜けるように歩き去るロイドの表情は、その距離からではよく見えなかった。
「どうやら、終わったみたいだぜ」
ネスタロフはロイドの後ろ姿を顎でしゃくると若者の肩を叩いた。
††
ダジェンカ要砦の裏手にある三日月型の湖が血のような夕陽の残照をうけて閃光のように煌めいている。
湖畔で翼を休めるグラファイトのそばで、ロイドは服を脱ぎ裸になった。
身体中にこびりついた不快な返り血を、一刻も早く洗い流したかった。
冷たい湖に腰まで浸かると顔を洗い、両手を顔にかざした。
全身を覆う蜘蛛の巣のような禍々しいタトゥーが指先から潮が引くように消えていく。
湖面に映る顔を見ると、真紅の瞳と銀色に輝く髪は漆黒へと色を変えた。
自分が何をしていたのか、もうよく覚えていなかった。
ただ断片的な記憶がフラッシュのように脳裏に浮かぶのみで、それもまたじきに消え失せるだろう。
不愉快だとか、気味が悪いとか、得体が知れぬ恐怖、あるいは罪悪感などの負の感情は皆無だった。
むしろこの解離性遁走にも似た感覚に心地よさを感じた。
難があるとするならば、昼夜を分かたずふいに沸き起こるユノアへの思いの淵が、実際に心臓が鷲づかみにされたような鋭い痛みを感じさせ、恍惚とした精神状態から一瞬で奈落へ突き落とされることだった。
だから、考えないようにしていた。
考えないようにすることは容易ではなかったが、自分の精神的領域から彼女を切り離すことに慣れなければいけない。
――慣れたら何かが変わるのか?
ロイドが胸の内で自分自身へ問いかけたその時、ダジェンカ要砦から空気を引き裂くヒステリックな叫び声が聞こえた。
ロイドとグラファイトはさっとそちらへ顔を向けたが、どちらも動きはしなかった。
「……忘れてた」
ロイドはそう呟くと、髪に付いた血を流すために深く潜った。
††
頭部と四肢が切断され、胴体は鎖骨の間から恥骨までを一直線に切り裂かれた、少し前までは獣人のペティ・リンクス族であった娘がベッドの上に仰向けに横たわっている。
無表情に固まった顔面はまるで二つのガラス玉が嵌まった白い仮面のようだ。
原型をとどめぬ肉塊と化した胴体は、はみ出た細切れの内臓が四方に飛び散り、真っ白なシーツには赤黒い血溜まりができていた。
ひとしきり叫び声を上げ終えた新米騎士の若者は、今度は身体をくの字に曲げて嘔吐した。
「おいおい、これ以上汚すなよ」
背後で見ていたネスタロフは注意した。
「さっさと片付けろ。司令官殿が戻ってくる前にな」
「どういう事です? これは!?」
狼狽える若者にネスタロフは冷静に答えた。
「司令官殿は少々過激なプレイがお好みなんだよ。そして、時には度を越して殺りすぎる。今回は格別に楽しまれたようだな」
「どうしてこんな……。尋常じゃない! 司令官は頭がどうかしているんですか!?」
“頭がどうかしている”
ネスタロフは若者の言葉に反応して自然と目から口元にかけて冷笑が浮かんだ。
「この国は常に戦争をしている。おれたちは常に命を懸けて戦っている。そういう意味では戦争に参加している奴等などみんな頭がおかしい。それに頭がおかしい方が生き延びやすい。いちいち倫理に囚われ道理に迷わされていては明日を生きられない。それに……」
軍司令官であるロイドの指揮下にある傭兵たちは、みなこの上官の狂った性嗜好に慣れている。
まるで便所掃除のやり方でも教えるようにネスタロフは手振りで指示を出した。
若者はぎこちない動作で損壊した屍体をシーツで包みながら彼の言葉の続きを待った。
「ロイド司令官殿の狂った頭のおかげでおれたちは先陣を切って真っ先に死ぬ運命を免れている。あのお方はほとんどOVER KILLだからな」
若者はもちろんロイドが狂戦士の気質があることは知っていたが、未だ変異した姿を見たことがなかった。
ネスタロフの歪んだ理屈に一片の理解の余地もないという風に眼を閉じると、首を左右に振った。
「内臓も肉塊もまとめて塀の外へ投げ捨てろ。ヒポグリフが始末してくれる。やつらは人肉が大好物だからな」
若者は、シーツに包まれた肉塊から滲み出る血を見つめながら思わず呟いた。
「サイコキラー……」
††
夕闇の広がる空は水底のように蒼い。
鷲の翼と上半身、獅子の下半身を持つグリフォンは、抵抗力のある重い空気に阻まれながらも高度と速度を保ちながら飛んでいた。
ユーゴは単騎、北方辺境の湿地帯にあるダジェンカ要砦へ向かっていた。
前線を退いて久しい彼は、自身の率いる第一弓騎兵師団を国家へ返上していた。
召集をかければ、分隊を組むこともできたが、時間がかかるうえに何人で事に当たろうともそれにはあまり意味がなかった。
尒天彪がすでに現れ、ダジェンカ要砦は阿鼻叫喚の地獄と化している可能性も否めない。
――とにかく、急がなければ……。
騎獣であるグリフォンはドラゴンのように高空域を、ましてや高速では飛翔できない。
その能力において、守護神グラファイトには遠く及ばないのだ。
遠く山間から姿を見せた蒼白く膨れ上がった月輪の光が、この僻地の氾濫原を渡っていく雲に影を作る。
――満月。
ティアには、“できる限り早く戻る”と言ってキスを交わした。
貴重な満月の日に、愛する女性をこの腕に抱けないもどかしさを振り払うように、ユーゴは騎獣の腹を蹴った。
大きなカルデラの上空に差しかかろうとした時、その縁に沿ってトコトコと歩いている白いポニーが視界に入った。
騎り手は、丈の長い釣鐘型のシルエットをした赤いクロークを身体に巻き付けるようにして着ている。
そのあり得ない光景にユーゴは目をみはった。
泥炭の堆積した湿地帯をポニーで横断するなど無茶にもほどがある。
しかもその騎り手はサイドサドルに横乗りをしていた。
――女性。
カルデラを飛び過ぎたユーゴは瞬時にグリフォンを旋回させると、空を滑るように高度を落としながらポニーに接近した。
ラビッシュ・ワームの気配をいち早く察知したのはユーゴの騎乗するグリフォンだった。
カルデラの縁の反対側の斜面から大きなミミズが地獄の穴から這い出るかのようにぬっと現れ、その巨大な体躯を蒼月に向かってそびえ立たせた。
グリフォンは羽ばたきをやめ、翼をいっぱいに広げて空気の抵抗を大きくし四肢を前方へ投げ出してブレーキをかけた。
このまま白いポニーに近づけば、丸呑みの運命を共にしてしまう。
「ひるむな!」
ユーゴは騎獣の腹に拍車を当てて進ませようとしたがグリフォンは首を左右に振り、ホバリングで立ち往生した。
――ラビッシュ(ごみ)・ワームごときでひるむとは……!
やはり守護神グラファイトのようにはいかない。
彼の吐く雷の息吹があればごみなど一瞬で灰塵と化すものを。
ポニーは恐怖のあまり立ち止まり、ぶるぶると震え上がった。
騎り手の女は血の気の引いた顔をラビッシュ・ワームのバキュームのような口腔へ向け、ただただ硬直している。
ユーゴは鎧を蹴ると、グリフォンの背から地上へ飛び降りた。
獣人のペティ・リンクス族の若い個体が、互いの手首が連なるように縛られ砦の広間の片隅に一塊となっていた。
辺境に小規模集落を形成して暮らすペティ・リンクス族は、猫のような瞳と尻尾、大きな耳が特徴の愛らしい容姿から人気が高く高値で売れた。
繁殖力の高さから絶滅の危惧もなく、その穏やかな気質ゆえの狩りやすさから雇われ兵士にとっては遠征ついでの割の良い小遣い稼ぎになった。
王国軍なら捕虜の規約の制限を受けるが、金目当ての傭兵にとっては単なる戦利品だ。
奴隷商人がペティ・リンクス族を眺め回し大袈裟なジェスチャーで調停官に訴えかけている。
より有利な条件で商談をまとめようと必死だ。
ネスタロフと新人の若者は、そんな奴隷商人と対照的な調停官に視線を投げた。
「で、おまえが狙っていた子猫ちゃんをロイド・ユーゲンバルト司令官殿に取られたわけか」
ネスタロフは若者の肩に腕を回したまま尋ねた。
「まぁ……そうです……。でもすぐに返してくれるはずです」
若者はおずおずと答えた。
ネスタロフと三人の兵士は同時にどっと笑い出した。
「おい、新人。おまえにひとつアドバイスをしてやるよ。もし気に入った女がいたら、ロイド司令官殿には絶対に見せるな!」
そう言ってまた笑った。
広間の最奥にある司令官が使う部屋からロイドが出てきた。
兵士でごった返した広間を裏口へ向かって足早に歩いて行く。
ネスタロフと若者は同時に首を巡らせた。
たむろする兵士の間をすり抜けるように歩き去るロイドの表情は、その距離からではよく見えなかった。
「どうやら、終わったみたいだぜ」
ネスタロフはロイドの後ろ姿を顎でしゃくると若者の肩を叩いた。
††
ダジェンカ要砦の裏手にある三日月型の湖が血のような夕陽の残照をうけて閃光のように煌めいている。
湖畔で翼を休めるグラファイトのそばで、ロイドは服を脱ぎ裸になった。
身体中にこびりついた不快な返り血を、一刻も早く洗い流したかった。
冷たい湖に腰まで浸かると顔を洗い、両手を顔にかざした。
全身を覆う蜘蛛の巣のような禍々しいタトゥーが指先から潮が引くように消えていく。
湖面に映る顔を見ると、真紅の瞳と銀色に輝く髪は漆黒へと色を変えた。
自分が何をしていたのか、もうよく覚えていなかった。
ただ断片的な記憶がフラッシュのように脳裏に浮かぶのみで、それもまたじきに消え失せるだろう。
不愉快だとか、気味が悪いとか、得体が知れぬ恐怖、あるいは罪悪感などの負の感情は皆無だった。
むしろこの解離性遁走にも似た感覚に心地よさを感じた。
難があるとするならば、昼夜を分かたずふいに沸き起こるユノアへの思いの淵が、実際に心臓が鷲づかみにされたような鋭い痛みを感じさせ、恍惚とした精神状態から一瞬で奈落へ突き落とされることだった。
だから、考えないようにしていた。
考えないようにすることは容易ではなかったが、自分の精神的領域から彼女を切り離すことに慣れなければいけない。
――慣れたら何かが変わるのか?
ロイドが胸の内で自分自身へ問いかけたその時、ダジェンカ要砦から空気を引き裂くヒステリックな叫び声が聞こえた。
ロイドとグラファイトはさっとそちらへ顔を向けたが、どちらも動きはしなかった。
「……忘れてた」
ロイドはそう呟くと、髪に付いた血を流すために深く潜った。
††
頭部と四肢が切断され、胴体は鎖骨の間から恥骨までを一直線に切り裂かれた、少し前までは獣人のペティ・リンクス族であった娘がベッドの上に仰向けに横たわっている。
無表情に固まった顔面はまるで二つのガラス玉が嵌まった白い仮面のようだ。
原型をとどめぬ肉塊と化した胴体は、はみ出た細切れの内臓が四方に飛び散り、真っ白なシーツには赤黒い血溜まりができていた。
ひとしきり叫び声を上げ終えた新米騎士の若者は、今度は身体をくの字に曲げて嘔吐した。
「おいおい、これ以上汚すなよ」
背後で見ていたネスタロフは注意した。
「さっさと片付けろ。司令官殿が戻ってくる前にな」
「どういう事です? これは!?」
狼狽える若者にネスタロフは冷静に答えた。
「司令官殿は少々過激なプレイがお好みなんだよ。そして、時には度を越して殺りすぎる。今回は格別に楽しまれたようだな」
「どうしてこんな……。尋常じゃない! 司令官は頭がどうかしているんですか!?」
“頭がどうかしている”
ネスタロフは若者の言葉に反応して自然と目から口元にかけて冷笑が浮かんだ。
「この国は常に戦争をしている。おれたちは常に命を懸けて戦っている。そういう意味では戦争に参加している奴等などみんな頭がおかしい。それに頭がおかしい方が生き延びやすい。いちいち倫理に囚われ道理に迷わされていては明日を生きられない。それに……」
軍司令官であるロイドの指揮下にある傭兵たちは、みなこの上官の狂った性嗜好に慣れている。
まるで便所掃除のやり方でも教えるようにネスタロフは手振りで指示を出した。
若者はぎこちない動作で損壊した屍体をシーツで包みながら彼の言葉の続きを待った。
「ロイド司令官殿の狂った頭のおかげでおれたちは先陣を切って真っ先に死ぬ運命を免れている。あのお方はほとんどOVER KILLだからな」
若者はもちろんロイドが狂戦士の気質があることは知っていたが、未だ変異した姿を見たことがなかった。
ネスタロフの歪んだ理屈に一片の理解の余地もないという風に眼を閉じると、首を左右に振った。
「内臓も肉塊もまとめて塀の外へ投げ捨てろ。ヒポグリフが始末してくれる。やつらは人肉が大好物だからな」
若者は、シーツに包まれた肉塊から滲み出る血を見つめながら思わず呟いた。
「サイコキラー……」
††
夕闇の広がる空は水底のように蒼い。
鷲の翼と上半身、獅子の下半身を持つグリフォンは、抵抗力のある重い空気に阻まれながらも高度と速度を保ちながら飛んでいた。
ユーゴは単騎、北方辺境の湿地帯にあるダジェンカ要砦へ向かっていた。
前線を退いて久しい彼は、自身の率いる第一弓騎兵師団を国家へ返上していた。
召集をかければ、分隊を組むこともできたが、時間がかかるうえに何人で事に当たろうともそれにはあまり意味がなかった。
尒天彪がすでに現れ、ダジェンカ要砦は阿鼻叫喚の地獄と化している可能性も否めない。
――とにかく、急がなければ……。
騎獣であるグリフォンはドラゴンのように高空域を、ましてや高速では飛翔できない。
その能力において、守護神グラファイトには遠く及ばないのだ。
遠く山間から姿を見せた蒼白く膨れ上がった月輪の光が、この僻地の氾濫原を渡っていく雲に影を作る。
――満月。
ティアには、“できる限り早く戻る”と言ってキスを交わした。
貴重な満月の日に、愛する女性をこの腕に抱けないもどかしさを振り払うように、ユーゴは騎獣の腹を蹴った。
大きなカルデラの上空に差しかかろうとした時、その縁に沿ってトコトコと歩いている白いポニーが視界に入った。
騎り手は、丈の長い釣鐘型のシルエットをした赤いクロークを身体に巻き付けるようにして着ている。
そのあり得ない光景にユーゴは目をみはった。
泥炭の堆積した湿地帯をポニーで横断するなど無茶にもほどがある。
しかもその騎り手はサイドサドルに横乗りをしていた。
――女性。
カルデラを飛び過ぎたユーゴは瞬時にグリフォンを旋回させると、空を滑るように高度を落としながらポニーに接近した。
ラビッシュ・ワームの気配をいち早く察知したのはユーゴの騎乗するグリフォンだった。
カルデラの縁の反対側の斜面から大きなミミズが地獄の穴から這い出るかのようにぬっと現れ、その巨大な体躯を蒼月に向かってそびえ立たせた。
グリフォンは羽ばたきをやめ、翼をいっぱいに広げて空気の抵抗を大きくし四肢を前方へ投げ出してブレーキをかけた。
このまま白いポニーに近づけば、丸呑みの運命を共にしてしまう。
「ひるむな!」
ユーゴは騎獣の腹に拍車を当てて進ませようとしたがグリフォンは首を左右に振り、ホバリングで立ち往生した。
――ラビッシュ(ごみ)・ワームごときでひるむとは……!
やはり守護神グラファイトのようにはいかない。
彼の吐く雷の息吹があればごみなど一瞬で灰塵と化すものを。
ポニーは恐怖のあまり立ち止まり、ぶるぶると震え上がった。
騎り手の女は血の気の引いた顔をラビッシュ・ワームのバキュームのような口腔へ向け、ただただ硬直している。
ユーゴは鎧を蹴ると、グリフォンの背から地上へ飛び降りた。
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