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夢のようでした

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    それからの数日は夢心地というか、現実なのか疑う程に幸せで穏やかな日々が続いていた。


    私たちの新居だと案内されたのはなにやら立派なお屋敷で、その中でも1番大きな部屋は白と淡いピンクで彩られていた。可愛らしいふんわりとしたレースで飾られている。そしてふかふかのベッドに寝かされ額に唇を落とされたのだ。

「ここには君を脅かすものは何もない。安心しておやすみ……」

    そうして私は睡魔に負けてしまいベッドに身を沈めた。だってこんなに安心した気持ちで眠りにつくなんて初めてだったからだ。

    いくら魂の時代に見初められていたとはいえ会ったばかりの男性に心を許すなんてはしたないと思われるかもしれないが、それでも私は彼に心を開けたしまったのだ。

    なんというか……こんなに甘やかされたのは初めての経験で戸惑うばかりなのだが、どうしていいかわからずにいる私に優しく手を取ってくる彼にどんどん惹かれていくのがわかった。

    そして目が覚めたら……。







    なんと私は一晩中ウィル様の手を握ったまま眠っていた事が発覚してしまったのだ。ウィル様はベッドの脇で座ったままの体勢で目覚めた私を見てにっこりと微笑む。

「おはよう、可愛いラメルーシェ」

    どうやら眠りにつくときにウィル様の袖を掴んで離さなかったらしいのだがーーーーそのまま寝惚けて手に頬擦りしたなんて……思わず手で顔を覆ってしまった。もう、恥ずかしすぎて顔があげられない。

「ご、ごめんなさい……!」

「ふふ、何を謝っているんだい?俺からしたらご褒美だ。一晩中君の寝顔を独り占め出来るなんて夢のようだった……これからもずっと見せてくれたらとても嬉しいな。ほら、こっちを向いて?」

「ウィル様……」

    涙の私の目尻に唇を落とし、羞恥で赤く染まっているであろう頬にウィル様の手が添えられた。

「もしかしたら昨夜の事は全て夢で、ラメルーシェは幻だったらどうしようかと思っていた。でも、こうして触れられる……君のぬくもりが感じられてこんなに幸せなことなどあるだろうか」

    ウィル様の唇が私の指先に当てられ、伝わってくる感触とぬくもりに涙も引っ込んでしまった。

「ウィ、ウィル様……恥ずかし……」

「あぁ、ラメルーシェ。君が可愛い過ぎて俺はおかしくなりそうだ……」

    楽しそうに笑うウィル様の姿に余計に恥ずかしくなったが、その周りをふよふよと飛ぶ妖精たちが微笑ましいと云わんばかりに漂っているのを知り今までの事を全て見られていたとわかった時はさらに恥ずかしすぎて爆発しそうになった。

    それからというもの、ウィル様は食事の時も散歩の時ももちろん就寝時もずっと一緒にいてくれた。

    まるで宝物かのように大切にされ、嫌な事を無理強いされることも暴言を吐かれる事もなく。私の方こそ夢のような日々が1週間程続いた頃……。

    そんな幸せな夢が、悪夢に変わるのだった。
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