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なんとか仕事をこなして、一段落した頃。
「これで終わりましたね……!」
あの無茶振りだらけだった依頼書を全て捌き、最後の案件に判子を押した。
それにしても、このギルドの在庫管理のすごさをひしひしと感じてしまう。痒い所に手が届くとはこうゆうことなのかと思うくらいに商品が豊富だった。……なんであんなものまで取り扱ってるのかしら?と思う物もあったのだが。
「お疲れ様です、ボス!」
「ボス!お茶をお持ちしました!」
「ありがとうございます、ボス!!」
なぜか私のことを「ボス」と呼ぶギルドの方々。特に私が助けた(?)事になっている3人が騒がしくしながら私の周りに近寄ってきた。
というか、私が粛清とやらをしないだけでちゃんと罰は受けてもらいますよ?後でアーノルド様に相談しなければ。
「お礼やおべっかはいりませんから、これからはちゃんとギルドのルールをまもっ「全てボスのおかげです!肩をお揉みしましょうか?!それとも全身マッサージでも……!!」や、やめっ……!」
なぜか私の話を聞かずに手を伸ばしてくる3人の表情がなんとも醜悪なものに見えてしまい、思わず身を縮めてしまった。感謝の言葉を口にしながら鼻の下を伸ばしてニヤニヤしているその顔が気持ち悪いと感じてしまう。アーノルド様が触れようとしてくる時はこんなことなかったのに……。
も、もしかして最近はアーノルド様のお姿ばかり近くで見ていたから違う種類の男性には拒否反応を起こしてしまっているのかしら?!
「「「さぁ、ボス……!!」」」
助けを求めようと思ったが、ナイジェルはちょうど仕事の最終確認の為に席を外していた。他のギルド員たちも忙しそうにしていて私の状況に気付いていないようだった。
ど、どうしよう……!
差別的なことは失礼だと思うが、どうしても受け入れられなくて目をギュッとつむった。こんな時はどう対応するのが正解なのだろうか───。
「「「ほぎゃっ?!」」」
視界を塞いだその瞬間。私の体に触れそうだった3人の手は届かず、代わりに優しい腕に包まれていた。
「ご無事ですか?エトランゼ嬢……」
「ア、アーノルド様……?」
そこにいたのはアーノルド様で、私はいつの間にかアーノルド様の胸に抱き締められていたのだ。一瞬幻かと思ったが、この温もりと匂いはアーノルド様そのものだった。
「お迎えが遅くなってしまい申し訳ありません。まさかこんな事態になっているとは────」
そう言ってアーノルド様は私に手を伸ばしていた3人に視線を向けた。
あれ?そういえば、あの人たちはどうしたんだろう?と、私もアーノルド様と同じ方向に視線を向けた……うん。なんか、ボッコボコにされているわ────スノーデン伯爵夫妻とアーシャ様の手によって。
「よくもエトランゼ様に邪な感情を向けましたわね?!万死に値しますわぁ!!」
「こんな奴らをギルドで雇っていたなんてご先祖様に顔向け出来ないよぉぉぉ!もうヤッちゃう?!」
「あらあら、ほんとに死刑にいたしましょう!それともいっそ死んだほうがマシな目にあわせた方がいいかしらぁ?!」
……みんな笑顔なのに、目だけが笑っていない。
なんだか発言が恐ろしいモノになっているが止めなくてもいいのだろうか?と周りの人間に目を向けるも、止めようとする者はいなかった。
「この家族を怒らせるなんて、命知らずだなー」と、いつの間にか部屋に戻ってきていたナイジェルが笑っていた。
「これで終わりましたね……!」
あの無茶振りだらけだった依頼書を全て捌き、最後の案件に判子を押した。
それにしても、このギルドの在庫管理のすごさをひしひしと感じてしまう。痒い所に手が届くとはこうゆうことなのかと思うくらいに商品が豊富だった。……なんであんなものまで取り扱ってるのかしら?と思う物もあったのだが。
「お疲れ様です、ボス!」
「ボス!お茶をお持ちしました!」
「ありがとうございます、ボス!!」
なぜか私のことを「ボス」と呼ぶギルドの方々。特に私が助けた(?)事になっている3人が騒がしくしながら私の周りに近寄ってきた。
というか、私が粛清とやらをしないだけでちゃんと罰は受けてもらいますよ?後でアーノルド様に相談しなければ。
「お礼やおべっかはいりませんから、これからはちゃんとギルドのルールをまもっ「全てボスのおかげです!肩をお揉みしましょうか?!それとも全身マッサージでも……!!」や、やめっ……!」
なぜか私の話を聞かずに手を伸ばしてくる3人の表情がなんとも醜悪なものに見えてしまい、思わず身を縮めてしまった。感謝の言葉を口にしながら鼻の下を伸ばしてニヤニヤしているその顔が気持ち悪いと感じてしまう。アーノルド様が触れようとしてくる時はこんなことなかったのに……。
も、もしかして最近はアーノルド様のお姿ばかり近くで見ていたから違う種類の男性には拒否反応を起こしてしまっているのかしら?!
「「「さぁ、ボス……!!」」」
助けを求めようと思ったが、ナイジェルはちょうど仕事の最終確認の為に席を外していた。他のギルド員たちも忙しそうにしていて私の状況に気付いていないようだった。
ど、どうしよう……!
差別的なことは失礼だと思うが、どうしても受け入れられなくて目をギュッとつむった。こんな時はどう対応するのが正解なのだろうか───。
「「「ほぎゃっ?!」」」
視界を塞いだその瞬間。私の体に触れそうだった3人の手は届かず、代わりに優しい腕に包まれていた。
「ご無事ですか?エトランゼ嬢……」
「ア、アーノルド様……?」
そこにいたのはアーノルド様で、私はいつの間にかアーノルド様の胸に抱き締められていたのだ。一瞬幻かと思ったが、この温もりと匂いはアーノルド様そのものだった。
「お迎えが遅くなってしまい申し訳ありません。まさかこんな事態になっているとは────」
そう言ってアーノルド様は私に手を伸ばしていた3人に視線を向けた。
あれ?そういえば、あの人たちはどうしたんだろう?と、私もアーノルド様と同じ方向に視線を向けた……うん。なんか、ボッコボコにされているわ────スノーデン伯爵夫妻とアーシャ様の手によって。
「よくもエトランゼ様に邪な感情を向けましたわね?!万死に値しますわぁ!!」
「こんな奴らをギルドで雇っていたなんてご先祖様に顔向け出来ないよぉぉぉ!もうヤッちゃう?!」
「あらあら、ほんとに死刑にいたしましょう!それともいっそ死んだほうがマシな目にあわせた方がいいかしらぁ?!」
……みんな笑顔なのに、目だけが笑っていない。
なんだか発言が恐ろしいモノになっているが止めなくてもいいのだろうか?と周りの人間に目を向けるも、止めようとする者はいなかった。
「この家族を怒らせるなんて、命知らずだなー」と、いつの間にか部屋に戻ってきていたナイジェルが笑っていた。
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