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その4
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その日、私は真実を確かめるべく王子を呼び出したーーーー。
「おぉ、愛しのオリヴィア。君から俺に会いたいと言ってくれるなんてとても嬉しいよ」
いつもの王子スマイルで甘いセリフを吐くアレックス様の姿になんだかゲンナリしてしまう。これまではやる気も気力も無かったのでどうでもよかったけれど、改めて見てみるとやっぱりちょっとウザい気がしてきた。それに余裕ぶった顔をしているが妙にソワソワしているし、一度気になりだすとやたらと癇に障る。
妹は本当にこんな王子が好きなのだろうか……いえ、人の好みはそれぞれなのだ。私は例えあの子がゲテモノ好きだとしても心から祝福するわ!
とにかく、王家と公爵家の婚約破棄となれば大事になってくる。ましてや婚約者を姉から妹に変更なんて、そう簡単に出来るものではない。アレックス様だって言い出しにくいはずだわ。どうにか私はふたりの味方だとわかってもらわねば上手くいく方法も考えられないだろう。
「突然お呼びたてしてしまい申し訳ございません。でも、どうしてもアレックス様にお聞きしたいことがあったのですわ」
「なんだ?何でも聞いてくれ」
今度は少し前のめりになってくる王子。なにかを期待しているようだが、微妙に鼻が膨らんでいるのが気持ち悪い。あぁ、ダメよ。これは可愛い妹の好きな人なんだから嫌悪感を顔に出してはいけないわ。
私は気を取り直してこほんと咳払いをしアレックス様を真っ直ぐに見た。
「アレックス様、正直にお答えください。もう私にはわかっているのです。アレックス様とヴァーマナがどんな関係か(本当はふたりが想いあっている事)を……!」
「えっ……知っていたのか?!俺とヴァーマナの関係(君を守るために俺がヴァーマナと敵対していること)を……!い、いつから?!」
「お恥ずかしい話、ごく最近でございます。私が鈍感だった為にいらぬお気遣いをさせてしまいました……。アレックス様がどんなにお心を痛めているかも(ヴァーマナを好きな気持ちを我慢しているかも)知らずに、のうのうと暮らしていたなんて申し訳なく思っております」
「そんな……!オリヴィアのせいなんかじゃない!君は悪くないんだ、全部俺が不甲斐ないばかりにツラい目に(悪役令嬢に虐められる目に)合わせてしまってこちらこそ申し訳ない……」
アレックス様が私に向かって頭を下げる。まさか、ヴァーマナの為とはいえいつも独りよがりでワガママ気質なアレックス様が私に頭を下げるなんて心底驚いた。それだけヴァーマナとのことを本気だと示してくれているのだろう。
「頭を上げて下さい、アレックス様!私は怒ってなんかいません。むしろ嬉しいのです。(アレックス様とヴァーマナの)真実の愛はとても尊いと思います」
「本当か、オリヴィア……!俺のしたこと(いくら悪役令嬢とは言えオリヴィアの妹と敵対したこと)を許してくれるのか。しかも、(俺とオリヴィアが)真実の愛だと認めてくれるなんて……今までオリヴィアは素っ気ない態度が多かったから実は嫌われているんじゃないかと心配してたんだ……」
「そんな、だって私たち(アレックス様とヴァーマナが結婚したら)家族になるんですもの。これからはもっと私を(義姉として)頼って下さいませ。どうにか穏便に事が運べるように一緒に考えましょう」
「オリヴィア、君がそこまで考えてくれていたなんて……!俺も穏便に(ヴァーマナの断罪を)済ますにはどうしたらいいか悩んでいたんだ」
「まずは落ち着いて、最初にやらねばならないこと(私達の婚約破棄)がありますでしょう?」
「あぁ、わかっている。それは俺に任せてくれ!」
こうしてアレックス様との面会は無事に終わった。どうやらアレックス様はヴァーマナをとても大切に想ってくれているようで一安心だ。
ヴァーマナ、幸せになってね!
「おぉ、愛しのオリヴィア。君から俺に会いたいと言ってくれるなんてとても嬉しいよ」
いつもの王子スマイルで甘いセリフを吐くアレックス様の姿になんだかゲンナリしてしまう。これまではやる気も気力も無かったのでどうでもよかったけれど、改めて見てみるとやっぱりちょっとウザい気がしてきた。それに余裕ぶった顔をしているが妙にソワソワしているし、一度気になりだすとやたらと癇に障る。
妹は本当にこんな王子が好きなのだろうか……いえ、人の好みはそれぞれなのだ。私は例えあの子がゲテモノ好きだとしても心から祝福するわ!
とにかく、王家と公爵家の婚約破棄となれば大事になってくる。ましてや婚約者を姉から妹に変更なんて、そう簡単に出来るものではない。アレックス様だって言い出しにくいはずだわ。どうにか私はふたりの味方だとわかってもらわねば上手くいく方法も考えられないだろう。
「突然お呼びたてしてしまい申し訳ございません。でも、どうしてもアレックス様にお聞きしたいことがあったのですわ」
「なんだ?何でも聞いてくれ」
今度は少し前のめりになってくる王子。なにかを期待しているようだが、微妙に鼻が膨らんでいるのが気持ち悪い。あぁ、ダメよ。これは可愛い妹の好きな人なんだから嫌悪感を顔に出してはいけないわ。
私は気を取り直してこほんと咳払いをしアレックス様を真っ直ぐに見た。
「アレックス様、正直にお答えください。もう私にはわかっているのです。アレックス様とヴァーマナがどんな関係か(本当はふたりが想いあっている事)を……!」
「えっ……知っていたのか?!俺とヴァーマナの関係(君を守るために俺がヴァーマナと敵対していること)を……!い、いつから?!」
「お恥ずかしい話、ごく最近でございます。私が鈍感だった為にいらぬお気遣いをさせてしまいました……。アレックス様がどんなにお心を痛めているかも(ヴァーマナを好きな気持ちを我慢しているかも)知らずに、のうのうと暮らしていたなんて申し訳なく思っております」
「そんな……!オリヴィアのせいなんかじゃない!君は悪くないんだ、全部俺が不甲斐ないばかりにツラい目に(悪役令嬢に虐められる目に)合わせてしまってこちらこそ申し訳ない……」
アレックス様が私に向かって頭を下げる。まさか、ヴァーマナの為とはいえいつも独りよがりでワガママ気質なアレックス様が私に頭を下げるなんて心底驚いた。それだけヴァーマナとのことを本気だと示してくれているのだろう。
「頭を上げて下さい、アレックス様!私は怒ってなんかいません。むしろ嬉しいのです。(アレックス様とヴァーマナの)真実の愛はとても尊いと思います」
「本当か、オリヴィア……!俺のしたこと(いくら悪役令嬢とは言えオリヴィアの妹と敵対したこと)を許してくれるのか。しかも、(俺とオリヴィアが)真実の愛だと認めてくれるなんて……今までオリヴィアは素っ気ない態度が多かったから実は嫌われているんじゃないかと心配してたんだ……」
「そんな、だって私たち(アレックス様とヴァーマナが結婚したら)家族になるんですもの。これからはもっと私を(義姉として)頼って下さいませ。どうにか穏便に事が運べるように一緒に考えましょう」
「オリヴィア、君がそこまで考えてくれていたなんて……!俺も穏便に(ヴァーマナの断罪を)済ますにはどうしたらいいか悩んでいたんだ」
「まずは落ち着いて、最初にやらねばならないこと(私達の婚約破棄)がありますでしょう?」
「あぁ、わかっている。それは俺に任せてくれ!」
こうしてアレックス様との面会は無事に終わった。どうやらアレックス様はヴァーマナをとても大切に想ってくれているようで一安心だ。
ヴァーマナ、幸せになってね!
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