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まさかの出会いがありまして
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『今日も平和だなぁ……』
おかーさんと別れてから数日。気持ち悪い変態も森から追い出してそれなりに平穏な日々を過ごしていた。
『よいしょっと』
私は寝そべっていた木の枝から飛び降り白衣をはためかせた。おかーさんとお揃いである。なんとこの白衣、見た目は普通の白衣だが実はオートクリーン機能というものがついていて汚れてもすぐにキレイになるそうだ。さらには超合金的な素材(入手先は不明だが、なんかあったから使ったらしい)が使われているのでとても頑丈だから破けない。おかーさん曰く「カレーうどんもへっちゃらだよ!」らしい。なぜかヴィーさんには素材については内緒らしいが、やはりおかーさんはなんかスゴイのだ!(ここにヴィーがいたら『なんてもの作ってんだぁ!』とツッコんでくれそうだが、ツッコミは不在である)
さらに白衣の下に着る服は、この白衣が自動的に作り出してくれるのだ。その日の気分や天気、行動により変化する。欠点といえば白衣を脱いだら服も消えてしまうことだが、その時はスライムの姿になるだけなのでなんの問題もない。
おかーさんには「この白衣だけは食べちゃダメだよ」と念を押された。なんでもその他いろんな機能がついているそうで私の身を守ってくれるし、もしもの時はおかーさんに危険信号が送られる仕様だと聞いたからには、どんなにお腹が空いても食べたりしないに決まってる。なんだかおかーさんに守ってもらってる気がして、とても嬉しかった。
それから私は日課である森のパトロールを始めた。パトロールと言っても森の中を散歩するだけであるが。もしなにか問題が起こればリスたちが即座に知らせに来てくれるし、フリージアさんからは不審者に対する心得も教えてもらった。“まずは急所を滅多打ち”らしい。
変態への塩対応の仕方や変態の撃退方法等など、たくさん教えてくれたフリージアさんを心の中で『師匠』と呼んでいたのは内緒である。まぁ、なぜかおかーさんにはバレて「ボクも師匠って呼ばれてみたい」とか呟かれたが、おかーさんはおかーさんなので、おかーさんなのだ。
そんなこんなでパトロールをしていると、森の動物たちが集まってくる。おかーさんの翻訳機のおかげなのか今では動物たちとも意思疎通が可能になった。お昼寝に最適な場所やきれいな湧き水の場所も動物たちに教えてもらい、私は悠々自適な快適ライフを送っていたのだった。
毎日変わらぬ平穏な日々。森をパトロール(散歩)して、好きなときに寝て好きなときに食べる。そんないつもの日々が、その日変わってしまうなんて考えもしなかったのだが……。
「うわぁ~ん!」
いつも静かな森の奥で耳にしたのは、久しぶり過ぎる人間の声だった。
『誰かいるの?』
「ふぇっ……」
大きな木の根本にいたのは、蜂蜜色をした髪とマリンダークブルーの深海のような青い瞳をした人間の子供だった。
驚いたのか泣くのをやめ涙を浮かべた大きなその瞳で私を見てくるその姿は、いつもおかーさんが話してくれていたとある人物像にそっくりで、私は思わずその子供を指差して叫んでしまっていた。
『セレーネおじょーだ!』
するとその人間はふるふると体を震わせ、再び涙を溢れさせた。
「せ、セレーネは、僕のおかーさまの名前だよぉ~っ!うわぁ~ん!!」
うーん、どうやらおかーさんから聞いたおじょーではなかったようだが……これはもしや迷子ってやつ?
なんでこの森に人間の迷子がいるのぉ?
おかーさんと別れてから数日。気持ち悪い変態も森から追い出してそれなりに平穏な日々を過ごしていた。
『よいしょっと』
私は寝そべっていた木の枝から飛び降り白衣をはためかせた。おかーさんとお揃いである。なんとこの白衣、見た目は普通の白衣だが実はオートクリーン機能というものがついていて汚れてもすぐにキレイになるそうだ。さらには超合金的な素材(入手先は不明だが、なんかあったから使ったらしい)が使われているのでとても頑丈だから破けない。おかーさん曰く「カレーうどんもへっちゃらだよ!」らしい。なぜかヴィーさんには素材については内緒らしいが、やはりおかーさんはなんかスゴイのだ!(ここにヴィーがいたら『なんてもの作ってんだぁ!』とツッコんでくれそうだが、ツッコミは不在である)
さらに白衣の下に着る服は、この白衣が自動的に作り出してくれるのだ。その日の気分や天気、行動により変化する。欠点といえば白衣を脱いだら服も消えてしまうことだが、その時はスライムの姿になるだけなのでなんの問題もない。
おかーさんには「この白衣だけは食べちゃダメだよ」と念を押された。なんでもその他いろんな機能がついているそうで私の身を守ってくれるし、もしもの時はおかーさんに危険信号が送られる仕様だと聞いたからには、どんなにお腹が空いても食べたりしないに決まってる。なんだかおかーさんに守ってもらってる気がして、とても嬉しかった。
それから私は日課である森のパトロールを始めた。パトロールと言っても森の中を散歩するだけであるが。もしなにか問題が起こればリスたちが即座に知らせに来てくれるし、フリージアさんからは不審者に対する心得も教えてもらった。“まずは急所を滅多打ち”らしい。
変態への塩対応の仕方や変態の撃退方法等など、たくさん教えてくれたフリージアさんを心の中で『師匠』と呼んでいたのは内緒である。まぁ、なぜかおかーさんにはバレて「ボクも師匠って呼ばれてみたい」とか呟かれたが、おかーさんはおかーさんなので、おかーさんなのだ。
そんなこんなでパトロールをしていると、森の動物たちが集まってくる。おかーさんの翻訳機のおかげなのか今では動物たちとも意思疎通が可能になった。お昼寝に最適な場所やきれいな湧き水の場所も動物たちに教えてもらい、私は悠々自適な快適ライフを送っていたのだった。
毎日変わらぬ平穏な日々。森をパトロール(散歩)して、好きなときに寝て好きなときに食べる。そんないつもの日々が、その日変わってしまうなんて考えもしなかったのだが……。
「うわぁ~ん!」
いつも静かな森の奥で耳にしたのは、久しぶり過ぎる人間の声だった。
『誰かいるの?』
「ふぇっ……」
大きな木の根本にいたのは、蜂蜜色をした髪とマリンダークブルーの深海のような青い瞳をした人間の子供だった。
驚いたのか泣くのをやめ涙を浮かべた大きなその瞳で私を見てくるその姿は、いつもおかーさんが話してくれていたとある人物像にそっくりで、私は思わずその子供を指差して叫んでしまっていた。
『セレーネおじょーだ!』
するとその人間はふるふると体を震わせ、再び涙を溢れさせた。
「せ、セレーネは、僕のおかーさまの名前だよぉ~っ!うわぁ~ん!!」
うーん、どうやらおかーさんから聞いたおじょーではなかったようだが……これはもしや迷子ってやつ?
なんでこの森に人間の迷子がいるのぉ?
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