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謎人物が現れまして(他作品とリンクあり)

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    さて、新たなスライム生を手に入れた私はどうしてるかと言うと……。

『自由だーっ!』

    夢にまで見た自由ライフを満喫している最中である。スライム最高!

    まず、どこかに体をぶつけても痛くない。スライムだからぽよんと跳ね返るだけ。そして、なんでも食べれる。味とかわからないんだけど、とりあえず草とか木の実を体内に取り込むと「じゅわっ」と音を立てて溶けてしまうのだ。そして栄養が体中をかけめぐるのである。う~ん、快感!

    まぁ、まだ食べ物っぽい物しか取り込んで無いんだけどね。どうにも人間だった頃の感覚が勝ってしまい見た目がよろしくないものはあんまり食指が動かないのだ。でも、毒とかは分解?してるのかなぁ。とにかくベジタリアンスライムなのさ。

    スライムだから好きなときに食べて、好きなときに寝ても許される。そしてなぜか森の動物たちに懐かれております。謎。

    動物たちは何かを色々と訴えてくるのだが言葉がわからないのだ。私も自分ではちゃんとしゃべってるつもりなのだが私が言葉を発しようとすると『○□☆◇▽!』と全く言葉として成り立っていない発音が響くだけなのである。

    懐かれているのはとても嬉しい。わざわざ私のために木の実を持ってきてくれる動物もいるし、なんか崇められてる?感じもした。しかし、なんとなく雰囲気を察して行動しているがそろそろ限界だ。一体何を求められているのかがわからねば実行のしようがないではないか。

    そんな、体をクネクネとさせながら悩んでいた時……。

    バサッ!と乾いた音と共に私は網に捕らわれ捕まってしまったのだ。

「わぁ、ぽよんぽよんしてますね!」

    私を捕らえた白銀色の髪と紅い瞳をした女の子は網の中でもがく私をじーっとみた後「……美味しそうですね?」と首を傾げた。

    た、食べられちゃう?!あんた、可愛い顔してなんて恐ろしい事を言うのさ?!つぶらな瞳をキラキラさせるなーっ!

    やだやだ、せっかく前世と前前世の分もとスライム生を満喫しようと思っているのに、こんなところで補食されてまた死ぬのは嫌だーーーーっ!

    しかし、所詮はしがないスライム。そのまま連れていかれましたとさ。……あぁ、やっと手に入れた自由も終わりか。短い三周目の人生だった……。










「ユーキ様、なんだかぽよんぽよんした生き物がいました!これって食べられますか?」

     無情にもスライムを食べようとしている恐怖の捕食者は私を網ごと高々と掲げた。その視線の先にいたのはボサボサの黒髪に分厚い眼鏡をしたなぜか白衣を着ている謎の人物がいたのだ。

    その謎の人物は私を見て「うーん?」と首を傾げた。またもや先ほどと同じく美味しそうかどうかの判断をされているのかとビクついたが、どうやらこの人物の反応は違うようであった。

 「なんだいそれは……もしかしてスライムじゃないか?まさかこの世界にドラ○エ要素があったなんて驚きだよ。フリージア、たぶんそれはモンスターと言うやつだ。毒があるかもしれないから食べるのはオススメしないね」

    と、言ったのだ。

    え?ド○クエ?それってもしかしてもしかしなくても、前前世の私がどうしても欲しくてなんとか手に入れた途端に親にみつかって「そんなくだらないゲームなんかやってる暇があったらもっと勉強しろ!」とハンマーで壊された例のアレの事ですか?!

    うそっ……!まさかこの人……?!

「残念ですぅ……。ちょっと美味しそうだなって思ったのに」

    やべっ!マジで食べられる所だった。ド○クエ情報も気になるけどこの子の食への探求心を止めてくれて本当にありがとう!

    でも、ドラ○エを知っている事も気になるぅ!

『○□☆◇▽!?』

    思わず「あなたもしや、転生者だったりします!?」と興奮気味に聞いてしまったが、やはり私の言葉は通じていないようだ。ぐねぐねと体を動かしてジェスチャーなんかもしてみたがこのまん丸スライムボディでは到底伝わるわけもない。すると、白衣の謎人物は「ふーむ……」と悩んだ後「そうだ、アレを試してみるか」と、ポケットからなにやら輪っか状の物を取り出したのだ。

「なんですか?その首輪」

「ん?これは動物の言葉がわかる翻訳機だよ。ボクのいた世界でこうゆうのが流行ってた事があってね、面白いかなーって思ったんだけど最近は友好的な獣人族があちこちの国にもたくさんいるからこんなの使わなくてもすぐ通訳してくれるんだよね。だからお蔵入りしたやつさ」

ほ    ん    や    く    き

    え、なにそれ!興味津々なんですけど!

「もしかしたらモンスターにも使えるかも……スライムの首ってどこだろう?
    ほら、食べないから暴れるなよ?」

    そう言って私を網から助け出してくれたのである。そんな興味津々な物をつけてくれると言うならば大人しくするしかあるまい。食べられないなら全然オッケーですから!

    ちょこんと座る私の頭をナデナデしたり、体をポヨポヨと触る謎人物。ちょっ!そこセクハラ!しかしその輪っか……まぁ首輪だね。をどうやってつけるかを悩んでいるようなので私から行動に出る事にした。

むにっ。ちゅぽん。じゅわっ。

    手(?)を差し出してそれを受け取り……体内に取り込んでみたのだ。するといつもの「じゅわっ」音が聞こえ、溶けた首輪の栄養が体内に駆け巡ったのだ。

     あ、金属?も食べられるんだー。しかもいつもなら何を食べてもなんの味もしないのに、なんだこのまろやかで甘くてスッキリしててそれでいてさわやかな味……。うまぁっ!激うまぁっ!

    なんと、あまりの美味しさに感動した私の体はプルン!プルルン!と上下左右に激しく揺れピカッと一瞬光ったのである。

    その瞬間、私は私の体に起こった奇跡を理解し、感激して大きくジャンプしたのである。

『……は、話せるーっ!言葉が話せるどーっ!この首輪すごっ!あなた、どこぞの青い猫型ロボットみたいな代物を持ってますね?!
    おぉーっ、しかもすごい魔力!ん?これは神力?まぁどっちでもいいや!み・な・ぎ・るーーーーっ!』

    なんとこの人がくれた首輪を取り込んだ途端、人間の言葉を話せるようになったのである。すげーっ!
    しかも、なんかものすごい力を感じる。一応スライムはモンスターだから「魔力」と感じるが、まるで神様の力……「神力しんりょく」みたいな美味しい力がこの首輪からあふれでてきたのだ。

    はて?なぜそんな魔力とか神力とか知っているんだろうか?とは思ったが今はそれどころではない。とにかく今なら動物たちの言葉も絶対わかる!と確信出来た。

「なんでスライムが未来の猫型ロボットを知って……?まさかこのスライムーーーー」

『ユーキさん大変なんですぅ!!なんかこの世界に特異性モンスターがしゅつげn ……?!』

 私が喜びのあまり小躍りしていると、鳥?みたいなちっさい白いのが謎人物に向かって猛スピードで飛んできたのだ。そしてその白いのは私を見てあんぐりと口を開けた。

「やぁ、ヴィー。もしかしなくてそのモンスターって言うのはこのスライムのことかい?」

    謎人物が私を指差せば、その白いのはまるで油の切れた機械のようにギチギチと首を動かした。なんだあの生物?モンスター仲間?

『……なっ、なんでスライムからユーキさんの力の反応があるんですかーっ?!あんた今度はなにしたんだぁ!!?』

「ん?このスライムがボクの作った翻訳機を食べた?だけだよ」

『それじゃーいっ!』

   あれ?なんかもめてる?





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