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第4章 呪われた王子の章

〈最終話〉あの日の結末③

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「う、産まれましたぁーっ!」

     ルーナ様のお墓参りもですが、レベッカ様の出産をお手伝いするつもりで今年は早めに来たとはいえ、まさか私が産婆の役目をすることになるとは思いませんでした。あの後すぐにレベッカ様は破水され一気にお産が進んでしまい、お医者様が間に合わなかったのです。

「レベッカ様、元気な男の子ですよ!」

「……う、産まれましたのね……。よかった……」

    産まれたばかりの赤ん坊を産湯できれいにし、布でくるみレベッカ様の腕の中にそっと寝かせます。あぁ、昔自分が妊娠したときに、もしものためにと『哺乳類の出産方法と育て方』という本を読んでいてよかったです!いざという時は自分のお産を自分でするつもりだったのですがそんな暇なかったのですが、ここで役に立ちました!

「まぁ、なんてしわくちゃ。お猿さんみたいですわ……でもすごく可愛い」

    レベッカ様は目元に涙を滲ませ、赤ん坊の小さな手を指で撫でます。

「これからだんだんお顔も変わってきますよ。ふふ、髪色はレベッカ様と同じですね。
    さぁ、お乳を飲ませてあげてくださいな。そしたら少しお休みになって。お産は体力を使いますからお疲れでしょう?」

「はい、ロティーナ様。ありがとうございます!これからは色々と教えて下さいね。……ふふふ、学生の頃に戻ったみたい。立場は変わってしまいましたけど」

「レベッカ様はいつまでも私の親友ですもの」

    ふたりでくすっと微笑み合い、赤ん坊のお世話をしました。ルゥナが産まれたばかりの頃を思い出します。可愛いです!


    それから部屋の外で落ち着きなくウロウロしているターイズさんに伝えると感極まったのか滝のような涙を流していました。

「せ、聖女様!ありがとうございます!」

「感謝の言葉なら、レベッカ様に言ってあげてください。誰よりも頑張ったのはレベッカ様なのですよ」

「はい!」

    私と入れ替わるように中へ入ったターイズさんの喜びと感謝の声は外にまで響いていました。

    無事に出産を手伝えて気が抜けたのか思わず壁に身を預けようとするとジルさんがそっと私の肩を支えてくれます。

「お疲れ様、ロティーナ」

「ジルさん……ありがとうございます」

    私はジルさんに身を預け、ほっと息をつくのでした。








***







    ルーナ様、見ていますか?私はとても幸せです。

    ルーナ様の眠るこの場所はとても賑やかになりましたよ。

    毎年ルーナ様のお墓参りの日には流れ者の方たちがやって来て、まるでお祭りのようです。異国は、灰眼も流れ者も、誰も差別されない国になったのです。

    レベッカ様は元占星術師の女王となり、ターイズさんは国を守る騎士となりました。ふたりが支え会う姿は共感を呼び、今ではおしどり夫婦ですもの。

    私とジルさんは領地を守りながら母国と異国の架け橋になれるようにと日々奮闘しております。

    ルゥナは元気に育ち、レベッカ様たちのお子さまをまるで弟のように可愛がっておりますよ。







    こうして、元婚約者に「2番目に好きな女だ」と言われた私は、1番好きな人と結婚して幸せを手にいれました。





終わり

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