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第4章 呪われた王子の章
〈43〉防御力の大切さについて
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びしょ濡れのまま(ジルさんに殴られて)気絶した王太子を置き去りにして部屋を抜け出るとターイズさんの案内で隠し部屋へと入り込みます。
「ここから抜け道を使いますが、その前にまず聖女様は着替えをなさった方がいいかと……」
ターイズさんがこほん。と咳払いをして視線をそらすのを見て、はっ!となりました。そういえば私の着ている寝間着ってスケスケでした!いえ、隠れてますよ!一応ちゃんと隠れてますから!ただちょっとなんか透けてるんですよ!
「お、お見苦しいものをお見せしてしまって……ごめんなさい」
そうか。さっきジルさんが上着を被せてくれたのも抱き締めてくれたのも私のはしたない姿を隠すためだったんですね。何か言いかけていたような気がしてたんですが、みっともないからどうにかしろと言いたかったのかもしれません。
「クローゼットにこれしか入ってなくて……聖女用のドレスは侍女が洗濯するからと持っていってしまったし、その……他の着替えも持ってなくて……」
今さらながらすごく恥ずかしくなってきました。よく考えればこの寝間着ってば体のラインがまるわかりじゃないですか。お風呂の後は寝間着を着るというのが当たり前だと思って素直にこれを着た自分が恥ずかしい……!洗濯なんか断ってドレスをそのまま着ていればよかったと今更ながら後悔しました。いやほら、1回着たら洗濯するって流れが染み付いているもので。酒場の制服とかちゃんと毎日洗わないとお酒やおつまみの臭いが取れないんですもん!
「……それしか入ってなかったって?あいつめ最初から狙ってやがったんじゃ……踏み潰して殺ればよかった」
ジルさんがなにやらブツブツと独り言を言い始めました。やっぱり兄弟とはいえ確執があるのでしょう。
「あ、あの。こんな格好でごめんなさい……」
「えーと、その格好も似合ってるけどあんまり他では見せたくないかな。とりあえず侍女の服を着て」
「は、はい。確かにこんな薄い寝間着じゃ防御力ゼロですしね!」
「……いや、逆に攻撃力がすご……な、なんでもない!早く着替えて先に進もう!」
「?」
予備に置いてあるであろう侍女の制服を手渡し、ジルさんは壁と向き合ってなにやらブツブツ言い出しました。それをターイズさんがなぐさめるように肩をぽんぽんと叩いていますが何があったんでしょうか?
ふたりに後ろを向いてもらい手早く着替えます。やはり侍女用の制服なので動きやすそうです。これで防御力がだいぶあがりましたよ!
「お待たせしました。それで、これから行くという秘密の場所ってどこなんですか?」
「ん、あぁ……。まずは王宮の離れの屋敷に行く。どうしてもロティーナに会いたいって人がそこで待ってるんだ。その人ならきっとロティーナのことを助けてくれるよ」
ジルさんは優しく微笑み、私の手を握りしめました。
「……離れに移動しながら全部話すよ、オレのこと。もう絶対に嘘はつかないって約束するから、信じてくれる?」
「……いいですよ。約束です」
こうして私はジルさんの過去を知りました。そして、これからジルさんのお母様に会いに行くのだと……。
「ここから抜け道を使いますが、その前にまず聖女様は着替えをなさった方がいいかと……」
ターイズさんがこほん。と咳払いをして視線をそらすのを見て、はっ!となりました。そういえば私の着ている寝間着ってスケスケでした!いえ、隠れてますよ!一応ちゃんと隠れてますから!ただちょっとなんか透けてるんですよ!
「お、お見苦しいものをお見せしてしまって……ごめんなさい」
そうか。さっきジルさんが上着を被せてくれたのも抱き締めてくれたのも私のはしたない姿を隠すためだったんですね。何か言いかけていたような気がしてたんですが、みっともないからどうにかしろと言いたかったのかもしれません。
「クローゼットにこれしか入ってなくて……聖女用のドレスは侍女が洗濯するからと持っていってしまったし、その……他の着替えも持ってなくて……」
今さらながらすごく恥ずかしくなってきました。よく考えればこの寝間着ってば体のラインがまるわかりじゃないですか。お風呂の後は寝間着を着るというのが当たり前だと思って素直にこれを着た自分が恥ずかしい……!洗濯なんか断ってドレスをそのまま着ていればよかったと今更ながら後悔しました。いやほら、1回着たら洗濯するって流れが染み付いているもので。酒場の制服とかちゃんと毎日洗わないとお酒やおつまみの臭いが取れないんですもん!
「……それしか入ってなかったって?あいつめ最初から狙ってやがったんじゃ……踏み潰して殺ればよかった」
ジルさんがなにやらブツブツと独り言を言い始めました。やっぱり兄弟とはいえ確執があるのでしょう。
「あ、あの。こんな格好でごめんなさい……」
「えーと、その格好も似合ってるけどあんまり他では見せたくないかな。とりあえず侍女の服を着て」
「は、はい。確かにこんな薄い寝間着じゃ防御力ゼロですしね!」
「……いや、逆に攻撃力がすご……な、なんでもない!早く着替えて先に進もう!」
「?」
予備に置いてあるであろう侍女の制服を手渡し、ジルさんは壁と向き合ってなにやらブツブツ言い出しました。それをターイズさんがなぐさめるように肩をぽんぽんと叩いていますが何があったんでしょうか?
ふたりに後ろを向いてもらい手早く着替えます。やはり侍女用の制服なので動きやすそうです。これで防御力がだいぶあがりましたよ!
「お待たせしました。それで、これから行くという秘密の場所ってどこなんですか?」
「ん、あぁ……。まずは王宮の離れの屋敷に行く。どうしてもロティーナに会いたいって人がそこで待ってるんだ。その人ならきっとロティーナのことを助けてくれるよ」
ジルさんは優しく微笑み、私の手を握りしめました。
「……離れに移動しながら全部話すよ、オレのこと。もう絶対に嘘はつかないって約束するから、信じてくれる?」
「……いいですよ。約束です」
こうして私はジルさんの過去を知りました。そして、これからジルさんのお母様に会いに行くのだと……。
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