10 / 44
なにがどうしてそうなった?
しおりを挟む
「ねぇねぇ、あなたが“ルージュココ・ヴォルティス公爵令嬢”でしょう?」
カレーの臭いをプンプンさせながら(なんなら歩く度にカレーが飛び散っているが)ヒロインがなぜか私の名前を口にした。
「昨日会いましたよね?あたし、ラースタニア・フルーレって言います!これでも男爵令嬢なんですよ!」
知ってます。それはもう、よーく知ってます。あのゲームはヒロインの名前が固定されていたし、可愛い名前だなって思っていたもの。
えっへん。と胸を張るヒロインだが、その間もカレーがぽたりぽたりと床に落ちていた。ヒロインがなにか動く度に漂うカレー臭がかなりヤバい。周りのクラスメイトたちもざわつきが半端なかったがみんな黙ったままヒロインから距離を取っているようにも見えた。
うん、まぁ……カレーを滴らせながら笑顔で近づいてくるヒロインの姿は軽くホラーだ。
どうしよう、ロックオンされている気がする。できればヒロインには関り合いになりたくないのだが、どんどん近づいてくるではないか。
「や、やめ……!」
ほっぺの肉をプルンと揺らし、思わず身を固くしたその瞬間。
「コォーーーーコォーーーーっ!!」
バーン!と効果音を背負ったハインリヒト殿下が教室に乗り込んできたのだ。
「……ハインリヒト殿下?」
私が殿下の名前を口にすると、それに反応したヒロインの目がキラキラ3割増しに輝き出す。
「あたしの王子様!」
そしてくるりと方向転換しハインリヒト殿下に向かって突進し出した。
「お前は……!」
ヒロインの姿を確認したハインリヒト殿下は顔を強張らせ両手を広げた。もしかしたらヒロインのカレーまみれな姿に私がヒロインを虐めていると思われたのかもしれない。朝からカレーライスとなれば、たぶん他の攻略対象者……教師との出会いイベントがあっただけなのだがハインリヒト殿下がそんなことを知るはずもないのだ。(と言うか、王子ルートだけでなく教師ルートまで発動してるなんてどうなっているのだろう?)
きっとこの後、ハインリヒト殿下はヒロインを抱き締めて悪役令嬢である私を責め立てる。こうして健気な男爵令嬢を虐める酷い公爵令嬢の図がーーーー
「うおりゃあっっっ!「ぶふぅ?!」よし、捕らえたぞ!」
……えーと?
私は目の前で起きた事が現実かどうかわからなくて首を傾げた。もしかして白昼夢でも見ているのだろうか?なんでーーーー。
なんでハインリヒト殿下は両手に投網を拡げてヒロインを捕獲しているのだろう?
網の中で「いやーん☆o(><;)(;><)o」とジタバタしているヒロインにビシッ!と指をさして「この虚言癖女め!訴えてやる!!」と怒りに声を震わせていた。
え?なに?どうなってるの?頭が混乱した私はとにかく何か言わなくちゃ!と腰を浮かせた。
「ハインリヒト殿下!人を指差してはいけません!」
……あれ?なんか間違えた?
カレーの臭いをプンプンさせながら(なんなら歩く度にカレーが飛び散っているが)ヒロインがなぜか私の名前を口にした。
「昨日会いましたよね?あたし、ラースタニア・フルーレって言います!これでも男爵令嬢なんですよ!」
知ってます。それはもう、よーく知ってます。あのゲームはヒロインの名前が固定されていたし、可愛い名前だなって思っていたもの。
えっへん。と胸を張るヒロインだが、その間もカレーがぽたりぽたりと床に落ちていた。ヒロインがなにか動く度に漂うカレー臭がかなりヤバい。周りのクラスメイトたちもざわつきが半端なかったがみんな黙ったままヒロインから距離を取っているようにも見えた。
うん、まぁ……カレーを滴らせながら笑顔で近づいてくるヒロインの姿は軽くホラーだ。
どうしよう、ロックオンされている気がする。できればヒロインには関り合いになりたくないのだが、どんどん近づいてくるではないか。
「や、やめ……!」
ほっぺの肉をプルンと揺らし、思わず身を固くしたその瞬間。
「コォーーーーコォーーーーっ!!」
バーン!と効果音を背負ったハインリヒト殿下が教室に乗り込んできたのだ。
「……ハインリヒト殿下?」
私が殿下の名前を口にすると、それに反応したヒロインの目がキラキラ3割増しに輝き出す。
「あたしの王子様!」
そしてくるりと方向転換しハインリヒト殿下に向かって突進し出した。
「お前は……!」
ヒロインの姿を確認したハインリヒト殿下は顔を強張らせ両手を広げた。もしかしたらヒロインのカレーまみれな姿に私がヒロインを虐めていると思われたのかもしれない。朝からカレーライスとなれば、たぶん他の攻略対象者……教師との出会いイベントがあっただけなのだがハインリヒト殿下がそんなことを知るはずもないのだ。(と言うか、王子ルートだけでなく教師ルートまで発動してるなんてどうなっているのだろう?)
きっとこの後、ハインリヒト殿下はヒロインを抱き締めて悪役令嬢である私を責め立てる。こうして健気な男爵令嬢を虐める酷い公爵令嬢の図がーーーー
「うおりゃあっっっ!「ぶふぅ?!」よし、捕らえたぞ!」
……えーと?
私は目の前で起きた事が現実かどうかわからなくて首を傾げた。もしかして白昼夢でも見ているのだろうか?なんでーーーー。
なんでハインリヒト殿下は両手に投網を拡げてヒロインを捕獲しているのだろう?
網の中で「いやーん☆o(><;)(;><)o」とジタバタしているヒロインにビシッ!と指をさして「この虚言癖女め!訴えてやる!!」と怒りに声を震わせていた。
え?なに?どうなってるの?頭が混乱した私はとにかく何か言わなくちゃ!と腰を浮かせた。
「ハインリヒト殿下!人を指差してはいけません!」
……あれ?なんか間違えた?
応援ありがとうございます!
1
お気に入りに追加
177
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる