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〈4〉 まさに四面楚歌ってこうゆうこと。
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“絶対に攻略なんかしない!”
隠しルートを探し出すためにもあいつらには関わらないと心に決めた翌日ーーーー。
はい、さっそく恐怖の三兄弟プラスお色気執事に呼び出されて対面しております。すでにストレスで胃が痛い。どんな圧迫面接だよ、おっふ。
「エレナ様、顔色が悪いようですがどうなさいましたか?」
「い、いえ……なにも」
顔面スレスレで輝かしいにっこり執事スマイルを披露してくるリヒトを必死にかわしながらチラリと三兄弟を見ると、いかにも不機嫌ですと言いたげな顔でイケメン面が3つ並んでいた。
なんなんだよ、ちくしょー。不機嫌になりたいのはこっちだよ。
「……お前に話がある」
暗黒冷徹鉄仮面やろ……いえ、長男・ルーファスが、さらりと金色の前髪を片手でかきあげながら私を鋭い眼差しで睨んで来た。透き通るようなブルーアイからビームでも出てきて氷付けにでもされるんじゃなかろうか。というぐらい冷たい視線だ。しかしカッコいい。見てるだけなら目の保養だわ。胃は痛いけど。
いかんいかん、やはり恐怖の根源が目の前にいると緊張する。冷静に冷静に……。
「は、はい。ルーファスお兄さm「ではエレナ様、さっそくですがこの御三人の中から生涯の伴侶をお選び下さい」どぉっふぅ?!」
被せ気味に言われた執事の発言に驚きすぎて思わず変な声が出てしまった。
「は、伴侶?!それって結婚相手……ってことですよね?私たち兄妹なのでは……」
「皆様はそれぞれ養子で誰一人血の繋がりはございません。書類上でもなんら問題はありませんし、なにより亡き旦那様のご要望でございます」
感情の読めないにっこり執事スマイルのまま、リヒトは1枚の手紙を朗読する。
「『我が愛する息子たちへ。
この手紙が読まれているということは私はすでにこの世にいないのだろう。だからこそ、リヒトにこの手紙を託す。
エレナを養女にし、正統な跡継ぎに任命したことによりお前たちは侯爵家の爵位や財産の継承権を失うことになる。だがエレナだけでは侯爵家は存続が難しいだろう。
そこでお前たちにチャンスを与える。エレナに伴侶として選ばれた者のみ侯爵の爵位を継ぐ事を許そうと思う。全ての決定権はエレナにあることを忘れるな。
これ以上私を失望させる事は許さない。父より』
これが私に託された旦那様からの最後のお言葉になります」
「……ちなみに、そこの娘に選ばれなかった者はどうなる?」
ルーファスがため息混じりに眉間を押さえた。頭痛がしそうなのはこっちだ。
「明確にはご指示頂いていませんが、エレナ様がご許可なされるのなら侯爵家に居続けるのも可能でございます。この手紙にもあるように、全ての決定権はエレナ様にございますので」
「最悪だな」
「つまり、オレたちにこの子のご機嫌取り合戦をしろってことぉ?」
「…………うげぇ」
ルーファスに続き、ジェンキンスとエリオットも悪態をついて私を睨んでくる。
「おや、ご不満ですか?
元よりなぜエレナ様が突然養女にされたのかわかっておいででしょうか?
……あなた方が旦那様を失望させ、跡継ぎに相応しくないと判断されたからです」
ずっと笑顔だったリヒトの目が鋭く光った。
「……わかった。ではエレナよ、好きに選べ」
「え?は?ちょ、ちょっと待ってください!突然そんなこと言われても……!」
ずっと頭がパニックだったが、ここでやっと気付いたのだ。
もしかしてこれって、ルート選択なんじゃ?!
実際のゲームではスタート前に攻略したいキャラを選んでポチるだけでそのルートになるが、現実ではそうもいかない。きっとここで選んだ相手を攻略しろということなのだろう。
冗談じゃないわ!誰も攻略なんかしないって決めたところなんだから!
「わ、私は誰も選びません!」
「ほぅ。では俺達を差し置いて自分が侯爵になると?今時の孤児院では侯爵家の乗っ取り方まで教えてくれているらしい」
ルーファスの鋭い視線が私を殺しそうな勢いだ。こわっ。
「ち、ちがっ……!そうだ、それなら私が相続権を放棄……」
「ちなみにエレナ様が相続を放棄された場合、侯爵家は取り潰しとなり王家に返還されます。
皆さまは一文無しとなり路頭に迷うことになりますね。もちろん、私を含む使用人も全てです。……そういえば屋敷に住み込みの侍女が先月子供を産みまして、事情があり夫とは離婚。頼る実家も無いとのことです。季節は冬、赤ん坊を抱えて路頭に迷うとなると大変でしょうねぇ。
たくさんの恨みを買う事になりますが、本当に放棄なされますか?では、この書類にサインを」
なんか怖いこと言われたーーーー!
にっこりと難しい文章の羅列がぎっしり詰まった書類とペンを渡されるが、そんなこと言われてサインできるはずもない。
「あ、う……、放棄は……しません……」
「賢明なご判断でございます」
がっくりと床に膝をつきたいのをぐっと堪え、思わずリヒトを睨む。しかしリヒトは書類を片付けると再びにっこりと微笑んだ。
「では、こうなされてはいかがでしょうか?
突然の事でエレナ様も混乱されていますし、もう少し時間をかけてお互いをよく知ってから改めてお選び頂ければいいかと。
皆様、よろしいですね?」
有無を言わさぬその言葉に全員が頷く。
なんとかルート選択の危機は先伸ばしに出来たようだが、もうこれは死刑宣告も同じだ。
誰を選んでも不幸になるとわかってるのに、選べるわけないじゃん!
早く隠しルート見つけなきゃーーーー!
隠しルートを探し出すためにもあいつらには関わらないと心に決めた翌日ーーーー。
はい、さっそく恐怖の三兄弟プラスお色気執事に呼び出されて対面しております。すでにストレスで胃が痛い。どんな圧迫面接だよ、おっふ。
「エレナ様、顔色が悪いようですがどうなさいましたか?」
「い、いえ……なにも」
顔面スレスレで輝かしいにっこり執事スマイルを披露してくるリヒトを必死にかわしながらチラリと三兄弟を見ると、いかにも不機嫌ですと言いたげな顔でイケメン面が3つ並んでいた。
なんなんだよ、ちくしょー。不機嫌になりたいのはこっちだよ。
「……お前に話がある」
暗黒冷徹鉄仮面やろ……いえ、長男・ルーファスが、さらりと金色の前髪を片手でかきあげながら私を鋭い眼差しで睨んで来た。透き通るようなブルーアイからビームでも出てきて氷付けにでもされるんじゃなかろうか。というぐらい冷たい視線だ。しかしカッコいい。見てるだけなら目の保養だわ。胃は痛いけど。
いかんいかん、やはり恐怖の根源が目の前にいると緊張する。冷静に冷静に……。
「は、はい。ルーファスお兄さm「ではエレナ様、さっそくですがこの御三人の中から生涯の伴侶をお選び下さい」どぉっふぅ?!」
被せ気味に言われた執事の発言に驚きすぎて思わず変な声が出てしまった。
「は、伴侶?!それって結婚相手……ってことですよね?私たち兄妹なのでは……」
「皆様はそれぞれ養子で誰一人血の繋がりはございません。書類上でもなんら問題はありませんし、なにより亡き旦那様のご要望でございます」
感情の読めないにっこり執事スマイルのまま、リヒトは1枚の手紙を朗読する。
「『我が愛する息子たちへ。
この手紙が読まれているということは私はすでにこの世にいないのだろう。だからこそ、リヒトにこの手紙を託す。
エレナを養女にし、正統な跡継ぎに任命したことによりお前たちは侯爵家の爵位や財産の継承権を失うことになる。だがエレナだけでは侯爵家は存続が難しいだろう。
そこでお前たちにチャンスを与える。エレナに伴侶として選ばれた者のみ侯爵の爵位を継ぐ事を許そうと思う。全ての決定権はエレナにあることを忘れるな。
これ以上私を失望させる事は許さない。父より』
これが私に託された旦那様からの最後のお言葉になります」
「……ちなみに、そこの娘に選ばれなかった者はどうなる?」
ルーファスがため息混じりに眉間を押さえた。頭痛がしそうなのはこっちだ。
「明確にはご指示頂いていませんが、エレナ様がご許可なされるのなら侯爵家に居続けるのも可能でございます。この手紙にもあるように、全ての決定権はエレナ様にございますので」
「最悪だな」
「つまり、オレたちにこの子のご機嫌取り合戦をしろってことぉ?」
「…………うげぇ」
ルーファスに続き、ジェンキンスとエリオットも悪態をついて私を睨んでくる。
「おや、ご不満ですか?
元よりなぜエレナ様が突然養女にされたのかわかっておいででしょうか?
……あなた方が旦那様を失望させ、跡継ぎに相応しくないと判断されたからです」
ずっと笑顔だったリヒトの目が鋭く光った。
「……わかった。ではエレナよ、好きに選べ」
「え?は?ちょ、ちょっと待ってください!突然そんなこと言われても……!」
ずっと頭がパニックだったが、ここでやっと気付いたのだ。
もしかしてこれって、ルート選択なんじゃ?!
実際のゲームではスタート前に攻略したいキャラを選んでポチるだけでそのルートになるが、現実ではそうもいかない。きっとここで選んだ相手を攻略しろということなのだろう。
冗談じゃないわ!誰も攻略なんかしないって決めたところなんだから!
「わ、私は誰も選びません!」
「ほぅ。では俺達を差し置いて自分が侯爵になると?今時の孤児院では侯爵家の乗っ取り方まで教えてくれているらしい」
ルーファスの鋭い視線が私を殺しそうな勢いだ。こわっ。
「ち、ちがっ……!そうだ、それなら私が相続権を放棄……」
「ちなみにエレナ様が相続を放棄された場合、侯爵家は取り潰しとなり王家に返還されます。
皆さまは一文無しとなり路頭に迷うことになりますね。もちろん、私を含む使用人も全てです。……そういえば屋敷に住み込みの侍女が先月子供を産みまして、事情があり夫とは離婚。頼る実家も無いとのことです。季節は冬、赤ん坊を抱えて路頭に迷うとなると大変でしょうねぇ。
たくさんの恨みを買う事になりますが、本当に放棄なされますか?では、この書類にサインを」
なんか怖いこと言われたーーーー!
にっこりと難しい文章の羅列がぎっしり詰まった書類とペンを渡されるが、そんなこと言われてサインできるはずもない。
「あ、う……、放棄は……しません……」
「賢明なご判断でございます」
がっくりと床に膝をつきたいのをぐっと堪え、思わずリヒトを睨む。しかしリヒトは書類を片付けると再びにっこりと微笑んだ。
「では、こうなされてはいかがでしょうか?
突然の事でエレナ様も混乱されていますし、もう少し時間をかけてお互いをよく知ってから改めてお選び頂ければいいかと。
皆様、よろしいですね?」
有無を言わさぬその言葉に全員が頷く。
なんとかルート選択の危機は先伸ばしに出来たようだが、もうこれは死刑宣告も同じだ。
誰を選んでも不幸になるとわかってるのに、選べるわけないじゃん!
早く隠しルート見つけなきゃーーーー!
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