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13 ど近眼薬師は過保護を脱却したい
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森を騒がした(騒いでいたのは主にアリアだけだが)コハクの家出騒動を終え、コハクが森に戻ってきて無事にアリアと仲直りしてからの事……。
アリアは恥ずかしさと後悔などの様々な念により身悶えしていた。
情けなくもショックにより発熱で倒れた後、いつの間にか戻ってきてくれたコハクに看病されてやっと回復した私は師匠であるライラにこってり叱られて、コハクへの態度を反省した。いつまでも赤ちゃん扱いは逆にコハクに失礼だと思い知らされた私は態度を改めると約束し、実年齢は別として思春期の男の子にする態度ではなかったと猛省したのだ。
これからは布団にもぐりこんだり風呂場に突入はしないと誓うとやっとコハクが許してくれて、いつも通りの関係になれた事に胸を撫でおろした。
それにしても。まさか、そんなにコハクを怒らしていたなんて……私ってなんて馬鹿なの!と本当に後悔した。思春期を侮っていたわ。思春期の男の子が異性との触れ合いにここまで神経質になるものだなんて思わなかったのだ。私なんて親戚のおばちゃんくらいの存在だし大丈夫だろうとたかをくくっていた。
まさかーーーー母親以外の異性を全拒否するほどだなんて……。
コハクってばマザコンだったのね。
何かの書物で子供とは成長過程で家族以外の異性を拒否する時期があるとは書いてあったけれど、拒否されたということは私は家族として認められていないということなのだ。その事実がズーンと重くのしかかるが、絶交から仲直りしてもらえただけでありがたいと思わなければならない。
ただ、家族とまでいかなくても……親戚とか、近所の親しいおねえさんとか……もう少しくらい親近感持ってくれててもいいのに!と、私との触れ合いを拒否するコハクを逆怨みもした。
それからというもの……たまに水遊びには誘うがお手製の水遊び着を身に付けることもやめたし、せいぜい裾を捲って足をさらすくらいにしている。これくらいならコハクは苦笑いはするが特に何も言わなかった。許してくれたんだと思ったら嬉しくてちょっぴりはしゃいでしまったのはナイショである。だってコハクは昔、私の顔の刺激の強さで熱を出したこともあるのだ。あのまま嫌われていてもおかしくない状況で色々と譲歩してくれたのはありがたすぎる。だが、それでもいつかちゃんと家族として認識されたいと願うばかりであった。
***
別の話として、コハクからしたら水遊びすらも(アリアの生足)やや刺激が強いのだが、これ以上言うとそれこそ本当の理由を話さなければならなくなってしまう可能性が出てくるのでコハクは口が裂けても言えなかった。
この辺はコハクの心情を察して欲しいが、さすがに「アリア様のことを性的対象に見てます」なんて口が裂けたとしても言えるわけがない。という事だろうか。そんなことを言おうものならアリアがどんな反応をするかを考えるだけでコハクは身震いするくらい恐ろしかったからだ。……もし「コハクったら不潔よ!」とか「そんな風に見てたなんて……もう嫌い!」なんて言われたら……。よし、地中に埋まろう。そして永遠に冬眠しよう。と結論を出すコハクはいたって真剣だ。その前に実の母の手によって葬られる可能性もあるが。だからこそコハクは何も言わなかったのだが、それにアリアが気づくはずもない。
それに……なんだかんだ言ってもコハクの体と精神は立派な思春期の少年である。たまにはそんなご褒美(生足チラ見え)があってもいいとも思っていた。まぁ、それ以上の刺激は強すぎるのでなにかと危険なのだが……。(赤面)
魔力に目覚めた時は爆発的な力を見せたコハクだがそれ以降は特別な才能の開花もなく、それまで増加ばかりしていて魔力も安定したのか急激な成長も徐々に落ち着きを見せ、いまでは13歳くらいで止まっている。“森の魔女”がこれなら今後は通常の子供と同じように成長していくだろうと告げると、あからさまにガッカリした様子のコハクにアリアは不思議そうに首を傾げていた。
特別な才能の開花については個人差があるというが、もしかして期待していたのかな。と思うと慰めたくはなるが、こればかりは個人差があるので致し方ないものだ。と、ガックリと肩を落としていたコハクを見守るしかなかった。
しかし、コハクの悩みは別のところにある。
アリアはこの時18歳。実年齢はさておき、見た目年齢が5歳差というのはコハクにとって残念でしかなかった。本音を言えばもう少し成長したかったと顔に書いてあるがアリアには伝わらない。
「良かったわね、コハク。これで急に大きくなって服が破けたりしなくて済むわよ!それにあんまり成長し過ぎてコハクが朝になって急にお爺さんになってたら困るもの」
確かに成長を通りすぎて老化は困る。と、コハクは無理矢理自分を納得させるしかなかった。
結局アリアがコハクの事を男性として意識するはずもなく、“年の離れた思春期の弟”くらいの感覚なのだろう。反抗期と思春期がいっぺんにきた弟とは、異性との触れ合いを恥ずかしがるお年頃なのだ……と、すっかりものわかりのよい姉気分に浸っているアリアにはその弟の複雑な心理などわかるはずもなかった。
「一応コハクの魔力も目覚めたし、これからどんな秘めた才能があるのかが楽しみね」
この世界では“魔力持ち”とは秘めた才能を持っていると言われている。それは一般的な人間には到底出来ない事。と言う意味なのだが、それは“森の魔女”やアリアがやっているように、薬を調合するときに自分の魔力を混ぜ合わせることにより飛躍的な効果を出す。などである。魔力には目覚めたものの、その才能の開花には未だ至らないコハクをアリアは見守ろうと誓っていた。いつ何時どんなきっかけで目覚めるかなんて、誰にもわからないのだから。と。
各“魔力持ち”の魔力の質やその量によって秘められた才能とは様々だと言われている。なにせその“魔力持ち”自体が希少な存在なので研究はあまり進まないまま何百年と過ぎている結果、“魔力持ち”イコール王家に保護と言う名の献上される存在だと言われているが……そんなことなど知ったこっちゃない“魔力持ち”が多数この森にいることなど国王は知らないだろう。(王妃が魔力持ちだと言うことも気づいていないみたいだし)
残念な国王とコハクの複雑な心情はさておき、それからしばらくは平穏な時間が過ぎてきた。
***
だが、そんなある日。
「師匠?!」
“森の魔女”ことライラが、ぎっくり腰で倒れたのだ。
「うぅ……今日は街には行こうと思ってたんだけとねぇ……」
いくら自給自足が基本の“森の魔女”とはいえ、森の中ではどうしても手に入らない品物だって出てくる。
今までそうゆう物は、師匠自身が時折だが森から出て街へ買い物へ行ってきたのだ。ちなみにお金はどうしてたかというと、街へ出た時に手持ちの薬を売って手に入れていた。街には師匠が“森の魔女”だとは知られていないが、“時々やってくる薬師のおばあさん”としてはそれなりに有名らしい。だからなのか、師匠の持っていく軟膏は安いのによく効くからと重宝されていた。
そして、まさかのぎっくり腰で苦しむ師匠の姿にアリアは決意する。
「私が買い物に行きます!」
もちろん慌てた。主にコハクとシロが。
「アリア様が街へ行って買い物だなんて危険過ぎます!」
「ピィ!」
断固反対する従者と専属聖霊の姿に、アリアは思わずカチンときてしまった。確かに自分は世間に疎いかもしれないが買い物すらマトモに出来ないと思われているとなると反論せざる負えない。私だって、もう大人なんだからね!
「師匠印の軟膏を売って、そのお金で必要な物を買うぐらい出来ます!!」
なぜかかたくなに譲らないアリアに、コハクとシロも渋々納得する。過保護が過ぎると言われても、コハクとシロのアリアに対する過保護が留まることはないだろう。
そして、コハクが付き添うのを条件にアリアが街へ行くのを許可されるが……久々の街でまたもや騒動が起きるなど思いもしなかったのだ。
「ァ、アリアーティア?!本当にアリアーティアなのか!」
「へ?」
まさか、一番会いたくない人物に出会う事になるなんて思いもしなかった。
なんで王子が下町なんかにいるのよ~っ?!
アリアは恥ずかしさと後悔などの様々な念により身悶えしていた。
情けなくもショックにより発熱で倒れた後、いつの間にか戻ってきてくれたコハクに看病されてやっと回復した私は師匠であるライラにこってり叱られて、コハクへの態度を反省した。いつまでも赤ちゃん扱いは逆にコハクに失礼だと思い知らされた私は態度を改めると約束し、実年齢は別として思春期の男の子にする態度ではなかったと猛省したのだ。
これからは布団にもぐりこんだり風呂場に突入はしないと誓うとやっとコハクが許してくれて、いつも通りの関係になれた事に胸を撫でおろした。
それにしても。まさか、そんなにコハクを怒らしていたなんて……私ってなんて馬鹿なの!と本当に後悔した。思春期を侮っていたわ。思春期の男の子が異性との触れ合いにここまで神経質になるものだなんて思わなかったのだ。私なんて親戚のおばちゃんくらいの存在だし大丈夫だろうとたかをくくっていた。
まさかーーーー母親以外の異性を全拒否するほどだなんて……。
コハクってばマザコンだったのね。
何かの書物で子供とは成長過程で家族以外の異性を拒否する時期があるとは書いてあったけれど、拒否されたということは私は家族として認められていないということなのだ。その事実がズーンと重くのしかかるが、絶交から仲直りしてもらえただけでありがたいと思わなければならない。
ただ、家族とまでいかなくても……親戚とか、近所の親しいおねえさんとか……もう少しくらい親近感持ってくれててもいいのに!と、私との触れ合いを拒否するコハクを逆怨みもした。
それからというもの……たまに水遊びには誘うがお手製の水遊び着を身に付けることもやめたし、せいぜい裾を捲って足をさらすくらいにしている。これくらいならコハクは苦笑いはするが特に何も言わなかった。許してくれたんだと思ったら嬉しくてちょっぴりはしゃいでしまったのはナイショである。だってコハクは昔、私の顔の刺激の強さで熱を出したこともあるのだ。あのまま嫌われていてもおかしくない状況で色々と譲歩してくれたのはありがたすぎる。だが、それでもいつかちゃんと家族として認識されたいと願うばかりであった。
***
別の話として、コハクからしたら水遊びすらも(アリアの生足)やや刺激が強いのだが、これ以上言うとそれこそ本当の理由を話さなければならなくなってしまう可能性が出てくるのでコハクは口が裂けても言えなかった。
この辺はコハクの心情を察して欲しいが、さすがに「アリア様のことを性的対象に見てます」なんて口が裂けたとしても言えるわけがない。という事だろうか。そんなことを言おうものならアリアがどんな反応をするかを考えるだけでコハクは身震いするくらい恐ろしかったからだ。……もし「コハクったら不潔よ!」とか「そんな風に見てたなんて……もう嫌い!」なんて言われたら……。よし、地中に埋まろう。そして永遠に冬眠しよう。と結論を出すコハクはいたって真剣だ。その前に実の母の手によって葬られる可能性もあるが。だからこそコハクは何も言わなかったのだが、それにアリアが気づくはずもない。
それに……なんだかんだ言ってもコハクの体と精神は立派な思春期の少年である。たまにはそんなご褒美(生足チラ見え)があってもいいとも思っていた。まぁ、それ以上の刺激は強すぎるのでなにかと危険なのだが……。(赤面)
魔力に目覚めた時は爆発的な力を見せたコハクだがそれ以降は特別な才能の開花もなく、それまで増加ばかりしていて魔力も安定したのか急激な成長も徐々に落ち着きを見せ、いまでは13歳くらいで止まっている。“森の魔女”がこれなら今後は通常の子供と同じように成長していくだろうと告げると、あからさまにガッカリした様子のコハクにアリアは不思議そうに首を傾げていた。
特別な才能の開花については個人差があるというが、もしかして期待していたのかな。と思うと慰めたくはなるが、こればかりは個人差があるので致し方ないものだ。と、ガックリと肩を落としていたコハクを見守るしかなかった。
しかし、コハクの悩みは別のところにある。
アリアはこの時18歳。実年齢はさておき、見た目年齢が5歳差というのはコハクにとって残念でしかなかった。本音を言えばもう少し成長したかったと顔に書いてあるがアリアには伝わらない。
「良かったわね、コハク。これで急に大きくなって服が破けたりしなくて済むわよ!それにあんまり成長し過ぎてコハクが朝になって急にお爺さんになってたら困るもの」
確かに成長を通りすぎて老化は困る。と、コハクは無理矢理自分を納得させるしかなかった。
結局アリアがコハクの事を男性として意識するはずもなく、“年の離れた思春期の弟”くらいの感覚なのだろう。反抗期と思春期がいっぺんにきた弟とは、異性との触れ合いを恥ずかしがるお年頃なのだ……と、すっかりものわかりのよい姉気分に浸っているアリアにはその弟の複雑な心理などわかるはずもなかった。
「一応コハクの魔力も目覚めたし、これからどんな秘めた才能があるのかが楽しみね」
この世界では“魔力持ち”とは秘めた才能を持っていると言われている。それは一般的な人間には到底出来ない事。と言う意味なのだが、それは“森の魔女”やアリアがやっているように、薬を調合するときに自分の魔力を混ぜ合わせることにより飛躍的な効果を出す。などである。魔力には目覚めたものの、その才能の開花には未だ至らないコハクをアリアは見守ろうと誓っていた。いつ何時どんなきっかけで目覚めるかなんて、誰にもわからないのだから。と。
各“魔力持ち”の魔力の質やその量によって秘められた才能とは様々だと言われている。なにせその“魔力持ち”自体が希少な存在なので研究はあまり進まないまま何百年と過ぎている結果、“魔力持ち”イコール王家に保護と言う名の献上される存在だと言われているが……そんなことなど知ったこっちゃない“魔力持ち”が多数この森にいることなど国王は知らないだろう。(王妃が魔力持ちだと言うことも気づいていないみたいだし)
残念な国王とコハクの複雑な心情はさておき、それからしばらくは平穏な時間が過ぎてきた。
***
だが、そんなある日。
「師匠?!」
“森の魔女”ことライラが、ぎっくり腰で倒れたのだ。
「うぅ……今日は街には行こうと思ってたんだけとねぇ……」
いくら自給自足が基本の“森の魔女”とはいえ、森の中ではどうしても手に入らない品物だって出てくる。
今までそうゆう物は、師匠自身が時折だが森から出て街へ買い物へ行ってきたのだ。ちなみにお金はどうしてたかというと、街へ出た時に手持ちの薬を売って手に入れていた。街には師匠が“森の魔女”だとは知られていないが、“時々やってくる薬師のおばあさん”としてはそれなりに有名らしい。だからなのか、師匠の持っていく軟膏は安いのによく効くからと重宝されていた。
そして、まさかのぎっくり腰で苦しむ師匠の姿にアリアは決意する。
「私が買い物に行きます!」
もちろん慌てた。主にコハクとシロが。
「アリア様が街へ行って買い物だなんて危険過ぎます!」
「ピィ!」
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「師匠印の軟膏を売って、そのお金で必要な物を買うぐらい出来ます!!」
なぜかかたくなに譲らないアリアに、コハクとシロも渋々納得する。過保護が過ぎると言われても、コハクとシロのアリアに対する過保護が留まることはないだろう。
そして、コハクが付き添うのを条件にアリアが街へ行くのを許可されるが……久々の街でまたもや騒動が起きるなど思いもしなかったのだ。
「ァ、アリアーティア?!本当にアリアーティアなのか!」
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