呪われた悪食令嬢は、怪物公爵の夢を食べる

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5、突然ではあるが、美味しい案件である

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「……こ、婚約の申込みぃ?!マジで?!私にですか!?」

「マジもマジ……というか、お前は何をしたんだ?まさか、あのような人から打診があるなんて……怪物公爵から婚約を申し込まれるなんて前代未聞だぞ」

 お父様が眉根をひそめてそう言ったが、私的にはそんなに悪い気はしていなかった。


 えっと、……怪物公爵……………………よね?それって、あのめちゃくちゃ美味しい悪夢を見る人よね?あの時の味を思い出しただけでヨダレが溢れそうだ。おっと、ジュルリ。

 うん、まぁ……。実際あの時は、突然迫られた驚きとかなんやかんやで碌な挨拶も交わさずにすぐに逃げ出してしまったが、もしもあの人と結婚したらーーーー悪夢が食べ放題?!い、いつでも満腹になれるとか……夢すぎるんですけど!……というか、ろくに挨拶も交わさなかったのにたった数日で私の素性を探って婚約まで申し込んでくるなんて、実はかなりのやり手なのかしら?情報網凄まじいかも……。まぁ、それはそれとして。

「私の体質をわかっていて望んでくださるなら願ったりじゃないですか。お父様だって、私か真っ当な方と婚約するなんて無理だと……この間のお母様の一見でよくわかったはずでは?」

「ん?うぅーん、まぁ、そうだが。だ、だか」

 私としては、怪物公爵だからどうとか言える立場ではない。またお母様が暴走する前にちゃんと婚約出来るなら願ってもないことだし(しかも悪夢が美味しい相手)……。それに確かに怪物の姿は異形かもしれないが……世間で噂されほど恐ろしいとは思えなかった。私的には散々悪意の噂を流してきた人間よりも、人外の方がなんとなく安心出来る気もする。




 え……。この婚約、実は結構いい案件じゃない?!





「し、しかし!怪物公爵は見た目が……っ!お前だってやはり、お相手の見た目は気にするだろう?!」

 ずっと頭を抱えていたお父様が絞り出した言葉がそれだった。

 は?見た目?と、私はポカンとしたが……。もしかして、お父様は怪物公爵の見た目があからさまに怪物だからこの打診に難色を示していたのだろうか?

「へ?見た目なんか、全く気にしませんけど。私の基準は、夢が美味しいかどうかだけですので……っていうか、怪物公爵の夢は最高です!彼の夢は私にとって高級レストランのフルコースです!しかも高爵位からの申込みなら我が家とってもいい事ずくめじゃないですか!?これを断ったら、もう次は無いですよ!!」

 私的に、怪物公爵の夢の味が忘れられなくて必死にお父様を説得してしまった。うん、それくらいあの美味しさと満腹の快感が私を支配していたと言っても過言ではないだろう。

「え?へ?いや、お前がいいならいいんだけど………………………マジで?」







 こうして私は正式に怪物公爵の婚約者となったのだった。





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