私が最推しする年下王子はどうやら呪われているらしい~未来のラスボス化は阻止させて頂きます~

As-me.com

文字の大きさ
上 下
5 / 14

〈5〉

しおりを挟む
「……リゼル、王家と公爵家から婚約破棄の書類が届いたのだが……。あと、婚約破棄の書類と一緒になぜかお前と第三王子の婚姻届が付いてきてるのだが……」

「えぇ、婚約破棄されましたわ。ついでにそのまま第三王子であるクロード様と婚姻するように国王陛下から仰せつかりましたので、急遽嫁入りすることになりましたの。交際0日のスピード婚……萌えますわね」

    口をあんぐり開けたまま目を白黒させているのは私のお父様であるヴィッツ伯爵ですわ。あらあら、若々しさが自慢のお父様が一気に老け込まれてしまわれましたわね……そんなに喜んで頂たなんて私も嬉しいです。

「いや、ちょっと待ってくれ……情報内容が過激すぎて頭が追い付かないんだが……」

    あら、混乱なさっていましたのね。

「つまり……カクカクシカジカ。ですわ」

「なるほど……陛下に嵌められたな」

    さすがはお父様です。カクカクシカジカでの方がキッチリ伝わりましたわ。

「ですが誤解なさらないで下さい。私は決して従わされて嫁にいくわけではありませんわ。心の底から喜んでますのよ。
    まさかクロード様と結婚できるなんて……ちょっとだけテンション天上げマックスですのよ」

「お前は幼い頃から少し変わった子供だったが……だが、ダメだ!いきなり結婚なんて……!

    まずは婚約者になって実家から通いなさい!パパは許しませんーっ!」

    ジタバタと暴れるお父様。侯爵家との婚約を破棄された事はもうよろしいのかしら?

「父上……まずは侯爵家との婚約破棄の件を……」

    我が家で唯一マトモな弟が眉をしかめています。まだ15歳ですのにしっかりしていますわ。

「だがヘンリー、国王陛下がわざわざそんな真似したのなら婚約破棄はもう決定だ。そして慰謝料の請求も出来ないだろう。陛下は王女を守るためにその辺も抜かりなくされているだろうさ。こんな弱小伯爵家が何をわめいても余計に立場が悪くなるだけだ。
    それに、クロード殿下との事もリゼルが納得しているのなら仕方あるまい。端から見れば王家と伯爵家の縁談と言う破格の待遇なのだしな」

    さすがお父様、わかってらっしゃいますわね。そうです、この縁談は私にとってご褒美です。

「……そうなんです。クロード様は超絶美少年でとても可愛らしくて……元々(ラスボスが)かなり“推し”でしたが、お会いした瞬間“最推し”になりました。これは運命ですわ……私、是非ともクロード様をはむはむぺろぺろしたいんですの!」

「姉上はセクハラ発言を止めてください。結婚する前にクロード殿下から訴えられますよ」

    我が弟が冷たい視線を私に向けます。ヘンリーもクロード様と同世代くらいの歳なのに、こっちの年下は全く可愛くありませんわ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

追放された悪役令嬢はシングルマザー

ララ
恋愛
神様の手違いで死んでしまった主人公。第二の人生を幸せに生きてほしいと言われ転生するも何と転生先は悪役令嬢。 断罪回避に奮闘するも失敗。 国外追放先で国王の子を孕んでいることに気がつく。 この子は私の子よ!守ってみせるわ。 1人、子を育てる決心をする。 そんな彼女を暖かく見守る人たち。彼女を愛するもの。 さまざまな思惑が蠢く中彼女の掴み取る未来はいかに‥‥ ーーーー 完結確約 9話完結です。 短編のくくりですが10000字ちょっとで少し短いです。

断罪なんて嘘でしょ!?

あい
恋愛
5歳の誕生日前日、楽しみすぎてはしゃぎすぎ、当日高熱を出し倒れた際に前世の記憶を取り戻す。 前世は高校生で、病弱だったので、病院でゲームをして過ごす事が多かった。そして、そのゲームの悪役令嬢と今の自分が同じ名前である事に気づく。 いやいやいや。これってたまたまだよね?断罪されないよね?? 断罪回避の為に戦う1人の少女の物語。

悪役令嬢アンジェリカの最後の悪あがき

結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【追放決定の悪役令嬢に転生したので、最後に悪あがきをしてみよう】 乙女ゲームのシナリオライターとして活躍していた私。ハードワークで意識を失い、次に目覚めた場所は自分のシナリオの乙女ゲームの世界の中。しかも悪役令嬢アンジェリカ・デーゼナーとして断罪されている真っ最中だった。そして下された罰は爵位を取られ、へき地への追放。けれど、ここは私の書き上げたシナリオのゲーム世界。なので作者として、最後の悪あがきをしてみることにした――。 ※他サイトでも投稿中

変な転入生が現れましたので色々ご指摘さしあげたら、悪役令嬢呼ばわりされましたわ

奏音 美都
恋愛
上流階級の貴族子息や令嬢が通うロイヤル学院に、庶民階級からの特待生が転入してきましたの。  スチュワートやロナルド、アリアにジョセフィーンといった名前が並ぶ中……ハルコだなんて、おかしな

もしもゲーム通りになってたら?

クラッベ
恋愛
よくある転生もので悪役令嬢はいい子に、ヒロインが逆ハーレム狙いの悪女だったりしますが もし、転生者がヒロインだけで、悪役令嬢がゲーム通りの悪人だったなら? 全てがゲーム通りに進んだとしたら? 果たしてヒロインは幸せになれるのか ※3/15 思いついたのが出来たので、おまけとして追加しました。 ※9/28 また新しく思いつきましたので掲載します。今後も何か思いつきましたら更新しますが、基本的には「完結」とさせていただいてます。9/29も一話更新する予定です。 ※2/8 「パターンその6・おまけ」を更新しました。

攻略対象の王子様は放置されました

白生荼汰
恋愛
……前回と違う。 お茶会で公爵令嬢の不在に、前回と前世を思い出した王子様。 今回の公爵令嬢は、どうも婚約を避けたい様子だ。 小説家になろうにも投稿してます。

乙女ゲームの断罪シーンの夢を見たのでとりあえず王子を平手打ちしたら夢じゃなかった

恋愛
気が付くとそこは知らないパーティー会場だった。 そこへ入場してきたのは"ビッターバター"王国の王子と、エスコートされた男爵令嬢。 ビッターバターという変な国名を聞いてここがゲームと同じ世界の夢だと気付く。 夢ならいいんじゃない?と王子の顔を平手打ちしようと思った令嬢のお話。  四話構成です。 ※ラテ令嬢の独り言がかなり多いです! お気に入り登録していただけると嬉しいです。 暇つぶしにでもなれば……! 思いつきと勢いで書いたものなので名前が適当&名無しなのでご了承下さい。 一度でもふっと笑ってもらえたら嬉しいです。

貴方もヒロインのところに行くのね? [完]

風龍佳乃
恋愛
元気で活発だったマデリーンは アカデミーに入学すると生活が一変し てしまった 友人となったサブリナはマデリーンと 仲良くなった男性を次々と奪っていき そしてマデリーンに愛を告白した バーレンまでもがサブリナと一緒に居た マデリーンは過去に決別して 隣国へと旅立ち新しい生活を送る。 そして帰国したマデリーンは 目を引く美しい蝶になっていた

処理中です...