私が最推しする年下王子はどうやら呪われているらしい~未来のラスボス化は阻止させて頂きます~

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    結局詳しい話を延々とする羽目になりました。カクカクシカジカが通じないなんて誤算でしたわ。

    いえ、対面してお茶を飲みながらの会話は楽しかったですわよ。なせに最推しのご尊顔を見つめながらのお茶は最高ですもの。

    ただ……なぜか、ものすごく距離がありましたけれど。どうしてかしら?

「……とにかく、王命だと言うのはわかった。リゼル嬢……姉が本当に申し訳ない事をした……」

    軽い感じで私がここに来た経緯を話したのですが、やはり”自分の姉が婚約者を寝とった上に無理矢理婚約破棄させてキズモノにした挙げ句に父親の権力を使って嫁に出させた。“と言うのはそれなりにショックだったようです。

「あら、そんなに気になさらないで下さいませ。私的にはそんな簡単に浮気するような方と婚約破棄出来て逆に喜んでおりますし、なにより……クロード様とご縁が結べましたわ。これはとても幸運な事ですのよ?」

    にこりと微笑みながらそう言えばクロード様は「な、何を言って……?!」とやたら慌て出しました。なんでかしら?

    あぁもしかしなくても、今までクロード様はどちらかと言うと家族を含め、他人ともあまり関わりを持たずに暮らしていらしたから戸惑っていらっしゃるのかもしれないわ。

「そうですねぇ……。どう言えば伝わるでしょうか?

    私はクロード様をとてもお慕いしていて、この結婚を心から喜んでいるのです。クロード様からしたらこんな年上の年増女などご迷惑でしょうが、ご慈悲を与えて頂きたいのです……」

    ぐいぐいとクロード様との距離を詰め、押し迫りながら懇願すればクロード様は顔をひきつらせながら一歩二歩と後ろに後退りし出します。

    人間の本能って、逃げられると追いたくなりますわよね。

    ジリジリと一定の距離を保ちながらの攻防戦が続くと、クロード様の背中が壁に押し当たりました。

「さぁ、クロード様。私が嫁ぐ事をご了承下さいませ?」

    クロード様の顔の横にある壁にどん!と手をつき、クロード様の顎に指を添わせてそう呟けば「わ、わかったから離れろーーーーっ!」とクロード様は顔を赤くしたり青くしたりしながら私の腕の隙間からするりと逃げてしまったでした。

    おっと、つい楽しくなってやり過ぎたかしら。怯える姿がなんとも可愛らしくてつい。
    まぁ、言質は取ったのでこれで今後会いに来ても無闇に追い出されたりはしないでしょう。

「ありがとうございます。良き妻になるために精進致しますわね。
    では早速色々と準備して参りますわ」

    こうして私はクロード様から一歩離れ、完璧な淑女の礼をして嫁入りの準備を始めるのでした。

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