私が最推しする年下王子はどうやら呪われているらしい~未来のラスボス化は阻止させて頂きます~

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    私の異変に驚いた顔を見せるクロード様。ゲーム内では見せたことのない顔でした。

    あら、可愛い。なんですかその年相応の純真そうなお顔は……。目をキラキラさせて可愛すぎます。

    あー、かわいい。好き。見れば見るほどめちゃくちゃ推せます。可愛いは正義ですね!

「モヤが見えるだと……?それに、そんな神秘的な色をした目を見たのは初めてだ……」

「クロード様……そんなに可愛いお顔をそんなに至近距離で……キスしてもいいんですか?」

    食い入るように私の顔を覗き込んでくるクロード様に、私が思わず本能丸出しな本音をポロリと呟いてしまう。するとそれまで私の瞳に夢中だったクロード様のポカン顔が一気に現実に戻ったのかものすごい早さで離れてしまいました。

「おま、お前、なんっ?!」

    あ、違う。まだ混乱しているようだわ。えっやだ、やっぱり可愛い。めっちゃ可愛い!

    どうしよう、愛でたい……!はむはむぺろぺろしたい……!実は私って肉食女子だったのね。これまた意外な発見をしてしまいました。

「あぁ、つい……。あ、モヤがまるで動揺したかのように激しく揺れてますわ?もしかしてクロード様の感情に左右されているのかもしれませんわね……さぁさぁクロード様。もっと近くで見せてくださいな?
    さぁほら、出し惜しみせずにぐいっとぺろっと」

    思わず両手の指をワキワキと動かしながらクロード様に一歩近づくと、今度は怯えた顔をしたクロード様が一歩後ろに下がり出します。まるで獲物を追い詰めるハンターの気分になってしまいました。

    ……なんだろう、すごく楽しい。

「ちょ、ちょっとまて!モヤとか瞳のことは置いといて、そもそもお前がなんなんだ?!鼻息を荒くして俺に近づくな!」

    あら、けっこう重要な事だと思うのに横に置いておかれてしまいました。まぁでも、確かにこっちも重要な話でしたわね。

「そうでしたわ。つい、楽しくなってしまって……。では続きは後でゆっくりするとして「しないぞ?!」あら、残念。では寝込みを襲うまでですが「襲うなよ!?」えーつまんな……ゲフン。えーと、つまり私はカクカクシカジカであなた様の嫁になった者ですわ」

「カクカクシカジカでわかるかぁーーーーっ!」





    怒られちゃいました……。でもぷんすかと怒った顔も可愛い。超絶推せる!異性を見てこんな感情が沸き上がるなんて……ゲーム以来です!

    それにしても確かクロード様は陰のあるクールなキャラのはずでしたのに、少年時代はこんなに感情豊かだったのですね。それもそれでとても素敵ですわ。



「まぁまぁ、細かいことは置いといて……とにかく、今日から私はクロード様の妻になるのですわ。よろしくお願いしますわね。ぐふふ」

    にっこりとそう告げる私にクロード様ががっくりと膝を付きました。なぜそんな絶望的なお顔をなされているのかしら?

「……だから、結局何者なんだ……」

   だから嫁ですってば?





    こうして私とクロード様の楽しい新婚生活が始まるのでした。







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