落ちこぼれ魔女ですが、悪役令嬢の替え玉やってます

As-me.com

文字の大きさ
上 下
14 / 18

悪役令嬢は全てを語る(オフィーリア視点)

しおりを挟む
    前世を思い出したのは、すでにユーリとの婚約が結ばれた後だった。





    前世の私はーーーーいや、僕は。いわゆる陰キャと言われる存在だった。

    高校デビューに失敗し周りとも馴染めず、クラスでも浮いた存在。イジメの的になるべくした存在だ。

    毎日悲惨なイジメを受け、かといって騒げば世間体を気にする親が騒ぎ出す。だから我慢して我慢してーーーー我慢しすぎた結果。僕はやっぱり登校拒否してしまった。

    精神的に追い詰められてやっとイジメを訴えれば「あの子がそんなことをするなんて信じられない。本当にイジメられたのか?そうだとしても、イジメられる君に何か問題があったのではないか?」と教師にたしなめられる。

    親は親でその相手の親に平謝りし出す始末だ。

    僕が騒いだせいであいつが勉強に集中出来ないって言ってるんだってさ。確かに少し成績が下がったようだけど、そんなの学校に来なくなった僕の代わりに別のイジメのターゲットを探して遊んでたせいだろうに。

    その相手が成績優秀で学年でも人気があり、有名大学にも推薦入学が決まっている将来有望株。それに比べて僕は成績も悪く出席日数も足りてない落ちこぼれ生徒だ。

    教師や親がどちらを優遇するかなんて馬鹿でもわかるじゃないか。

    ひたすらに「お前が悪い」と、学校でも家でも責められ……いつの間にか僕は引きこもりと言われる分類になっていた。簡単に言えば絶望したんだよ。たかがイジメでって言う人もいるかもしれないが、僕にとっての世界なんて狭いものさ。

    なんとなく、ネットで人気があったゲームを買ってからはそのゲームに夢中になり……言いにくいけど死んじゃったんだ。

    死因は……親にも世間にも見捨てられた引きこもりの末路。とだけ言っておくよ。

    とにかく、そんな記憶を思い出したんだ。まさか夢中になってたゲームの悪役令嬢に生まれ変わるなんて思いもしなかったけどね。

    何回も繰り返しやりこんだからこのゲームの事はよく知っている。裏技とか、隠しルートとか。それこそ極秘キャラとか。

    それにしても婚約者の王子……ユーリまで転生者だとわかった時はめちゃくちゃ驚いたけど。しかもヒロインと結ばれる事にしか興味が無いノータリンときたもんだ。なんとも幸せそうで羨ましい限りだけどね。

    最初は転生者同士なのが嬉しかった。自分の前世の事情なんかは話さなかったけどユーリも僕のアンダーグラウンドよりはこのゲームの事を語っている方が楽しそうだったからね。全く興味を持たれなくて喜んだのは初めてだよ。

    だけどユーリと話をすればするほど自分の身の危機を感じた。この男……自分がヒロインと結ばれる為に僕が犠牲になる事に何も感じてないようだ。口先では「悪いようにはしないから」とか「ヒロインとハッピーエンドにさえなれば、悪役令嬢は自由だし」とか……無責任にもほどがある。

    ねぇ、ユーリ?この世界は確かにゲームの世界かもしれないけど……僕にとっては今を生きる現実なんだよ?

    ヒロインの攻略次第でどうとでも変化する攻略対象者……その中でもチョロイと有名な王子のそんな軽い言葉なんか信じれるわけないじゃないか。





    だから、僕は行動に出ることにした。

     まずは第一のシークレットキャラである騎士見習いを巻き込んだ。なんとなくだけと、ヒロインがこのシークレットキャラを引っ張り出そうとしている気がしたから。勘が働いたのさ。

    そして本命のシークレットキャラを探し出す旅に出たんだ。騎士見習いは幼馴染みなこともあったけど、純粋に僕を心配してついてきてくれた本当に優しい子だよ。

    僕は僕の運命を変えて見せる。

    そのキャラこそ、全ルートのバッドエンドからハッピーエンドまで全てをクリアした者のみが知る“悪役令嬢救済ルート”の最重要キャラクター……。

「それが、君なんだよ」

    全てを説明し、にっこりと微笑んでそう言えば目の前にいる同じ顔をした少女は呆然とした顔で僕を見ていた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?

こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。 「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」 そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。 【毒を検知しました】 「え?」 私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。 ※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです

深窓の悪役令嬢~死にたくないので仮病を使って逃げ切ります~

白金ひよこ
恋愛
 熱で魘された私が夢で見たのは前世の記憶。そこで思い出した。私がトワール侯爵家の令嬢として生まれる前は平凡なOLだったことを。そして気づいた。この世界が乙女ゲームの世界で、私がそのゲームの悪役令嬢であることを!  しかもシンディ・トワールはどのルートであっても死ぬ運命! そんなのあんまりだ! もうこうなったらこのまま病弱になって学校も行けないような深窓の令嬢になるしかない!  物語の全てを放棄し逃げ切ることだけに全力を注いだ、悪役令嬢の全力逃走ストーリー! え? シナリオ? そんなの知ったこっちゃありませんけど?

義弟の為に悪役令嬢になったけど何故か義弟がヒロインに会う前にヤンデレ化している件。

あの
恋愛
交通事故で死んだら、大好きな乙女ゲームの世界に転生してしまった。けど、、ヒロインじゃなくて攻略対象の義姉の悪役令嬢!? ゲームで推しキャラだったヤンデレ義弟に嫌われるのは胸が痛いけど幸せになってもらうために悪役になろう!と思ったのだけれど ヒロインに会う前にヤンデレ化してしまったのです。 ※初めて書くので設定などごちゃごちゃかもしれませんが暖かく見守ってください。

悪役令嬢の慟哭

浜柔
ファンタジー
 前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。  だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。 ※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。 ※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。 「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。 「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。

嫁ぎ先は悪役令嬢推しの転生者一家でした〜攻略対象者のはずの夫がヒロインそっちのけで溺愛してくるのですが、私が悪役令嬢って本当ですか?〜

As-me.com
恋愛
 事業の失敗により借金で没落寸前のルーゼルク侯爵家。その侯爵家の一人娘であるエトランゼは侯爵家を救うお金の為に格下のセノーデン伯爵家に嫁入りすることになってしまった。  金で買われた花嫁。政略結婚は貴族の常とはいえ、侯爵令嬢が伯爵家に買われた事実はすぐに社交界にも知れ渡ってしまう。 「きっと、辛い生活が待っているわ」  これまでルーゼルク侯爵家は周りの下位貴族にかなりの尊大な態度をとってきた。もちろん、自分たちより下であるセノーデン伯爵にもだ。そんな伯爵家がわざわざ借金の肩代わりを申し出てまでエトランゼの嫁入りを望むなんて、裏があるに決まっている。エトランゼは、覚悟を決めて伯爵家にやってきたのだがーーーー。 義母「まぁぁあ!やっぱり本物は違うわぁ!」 義妹「素敵、素敵、素敵!!最推しが生きて動いてるなんてぇっ!美しすぎて眼福ものですわぁ!」 義父「アクスタを集めるためにコンビニをはしごしたのが昨日のことのようだ……!(感涙)」  なぜか私を大歓喜で迎え入れてくれる伯爵家の面々。混乱する私に優しく微笑んだのは夫となる人物だった。 「うちの家族、みんな君の大ファンなんです。悪役令嬢エトランゼのねーーーー」  実はこの世界が乙女ゲームの世界で、私が悪役令嬢ですって?!  えーと、まず、悪役令嬢ってなんなんですか……?!

乙女ゲームの正しい進め方

みおな
恋愛
 乙女ゲームの世界に転生しました。 目の前には、ヒロインや攻略対象たちがいます。  私はこの乙女ゲームが大好きでした。 心優しいヒロイン。そのヒロインが出会う王子様たち攻略対象。  だから、彼らが今流行りのザマァされるラノベ展開にならないように、キッチリと指導してあげるつもりです。  彼らには幸せになってもらいたいですから。

悪役令嬢は永眠しました

詩海猫
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」 長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。 だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。 ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」 *思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m

魔性の悪役令嬢らしいですが、男性が苦手なのでご期待にそえません!

蒼乃ロゼ
恋愛
「リュミネーヴァ様は、いろんな殿方とご経験のある、魔性の女でいらっしゃいますから!」 「「……は?」」 どうやら原作では魔性の女だったらしい、リュミネーヴァ。 しかし彼女の中身は、前世でストーカーに命を絶たれ、乙女ゲーム『光が世界を満たすまで』通称ヒカミタの世界に転生してきた人物。 前世での最期の記憶から、男性が苦手。 初めは男性を目にするだけでも体が震えるありさま。 リュミネーヴァが具体的にどんな悪行をするのか分からず、ただ自分として、在るがままを生きてきた。 当然、物語が原作どおりにいくはずもなく。 おまけに実は、本編前にあたる時期からフラグを折っていて……? 攻略キャラを全力回避していたら、魔性違いで謎のキャラから溺愛モードが始まるお話。 ファンタジー要素も多めです。 ※なろう様にも掲載中 ※短編【転生先は『乙女ゲーでしょ』~】の元ネタです。どちらを先に読んでもお話は分かりますので、ご安心ください。

処理中です...