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悪役令嬢は全てを語る(オフィーリア視点)
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前世を思い出したのは、すでにユーリとの婚約が結ばれた後だった。
前世の私はーーーーいや、僕は。いわゆる陰キャと言われる存在だった。
高校デビューに失敗し周りとも馴染めず、クラスでも浮いた存在。イジメの的になるべくした存在だ。
毎日悲惨なイジメを受け、かといって騒げば世間体を気にする親が騒ぎ出す。だから我慢して我慢してーーーー我慢しすぎた結果。僕はやっぱり登校拒否してしまった。
精神的に追い詰められてやっとイジメを訴えれば「あの子がそんなことをするなんて信じられない。本当にイジメられたのか?そうだとしても、イジメられる君に何か問題があったのではないか?」と教師にたしなめられる。
親は親でその相手の親に平謝りし出す始末だ。
僕が騒いだせいであいつが勉強に集中出来ないって言ってるんだってさ。確かに少し成績が下がったようだけど、そんなの学校に来なくなった僕の代わりに別のイジメのターゲットを探して遊んでたせいだろうに。
その相手が成績優秀で学年でも人気があり、有名大学にも推薦入学が決まっている将来有望株。それに比べて僕は成績も悪く出席日数も足りてない落ちこぼれ生徒だ。
教師や親がどちらを優遇するかなんて馬鹿でもわかるじゃないか。
ひたすらに「お前が悪い」と、学校でも家でも責められ……いつの間にか僕は引きこもりと言われる分類になっていた。簡単に言えば絶望したんだよ。たかがイジメでって言う人もいるかもしれないが、僕にとっての世界なんて狭いものさ。
なんとなく、ネットで人気があったゲームを買ってからはそのゲームに夢中になり……言いにくいけど死んじゃったんだ。
死因は……親にも世間にも見捨てられた引きこもりの末路。とだけ言っておくよ。
とにかく、そんな記憶を思い出したんだ。まさか夢中になってたゲームの悪役令嬢に生まれ変わるなんて思いもしなかったけどね。
何回も繰り返しやりこんだからこのゲームの事はよく知っている。裏技とか、隠しルートとか。それこそ極秘キャラとか。
それにしても婚約者の王子……ユーリまで転生者だとわかった時はめちゃくちゃ驚いたけど。しかもヒロインと結ばれる事にしか興味が無いノータリンときたもんだ。なんとも幸せそうで羨ましい限りだけどね。
最初は転生者同士なのが嬉しかった。自分の前世の事情なんかは話さなかったけどユーリも僕のアンダーグラウンドよりはこのゲームの事を語っている方が楽しそうだったからね。全く興味を持たれなくて喜んだのは初めてだよ。
だけどユーリと話をすればするほど自分の身の危機を感じた。この男……自分がヒロインと結ばれる為に僕が犠牲になる事に何も感じてないようだ。口先では「悪いようにはしないから」とか「ヒロインとハッピーエンドにさえなれば、悪役令嬢は自由だし」とか……無責任にもほどがある。
ねぇ、ユーリ?この世界は確かにゲームの世界かもしれないけど……僕にとっては今を生きる現実なんだよ?
ヒロインの攻略次第でどうとでも変化する攻略対象者……その中でもチョロイと有名な王子のそんな軽い言葉なんか信じれるわけないじゃないか。
だから、僕は行動に出ることにした。
まずは第一のシークレットキャラである騎士見習いを巻き込んだ。なんとなくだけと、ヒロインがこのシークレットキャラを引っ張り出そうとしている気がしたから。勘が働いたのさ。
そして本命のシークレットキャラを探し出す旅に出たんだ。騎士見習いは幼馴染みなこともあったけど、純粋に僕を心配してついてきてくれた本当に優しい子だよ。
僕は僕の運命を変えて見せる。
そのキャラこそ、全ルートのバッドエンドからハッピーエンドまで全てをクリアした者のみが知る“悪役令嬢救済ルート”の最重要キャラクター……。
「それが、君なんだよ」
全てを説明し、にっこりと微笑んでそう言えば目の前にいる同じ顔をした少女は呆然とした顔で僕を見ていた。
前世の私はーーーーいや、僕は。いわゆる陰キャと言われる存在だった。
高校デビューに失敗し周りとも馴染めず、クラスでも浮いた存在。イジメの的になるべくした存在だ。
毎日悲惨なイジメを受け、かといって騒げば世間体を気にする親が騒ぎ出す。だから我慢して我慢してーーーー我慢しすぎた結果。僕はやっぱり登校拒否してしまった。
精神的に追い詰められてやっとイジメを訴えれば「あの子がそんなことをするなんて信じられない。本当にイジメられたのか?そうだとしても、イジメられる君に何か問題があったのではないか?」と教師にたしなめられる。
親は親でその相手の親に平謝りし出す始末だ。
僕が騒いだせいであいつが勉強に集中出来ないって言ってるんだってさ。確かに少し成績が下がったようだけど、そんなの学校に来なくなった僕の代わりに別のイジメのターゲットを探して遊んでたせいだろうに。
その相手が成績優秀で学年でも人気があり、有名大学にも推薦入学が決まっている将来有望株。それに比べて僕は成績も悪く出席日数も足りてない落ちこぼれ生徒だ。
教師や親がどちらを優遇するかなんて馬鹿でもわかるじゃないか。
ひたすらに「お前が悪い」と、学校でも家でも責められ……いつの間にか僕は引きこもりと言われる分類になっていた。簡単に言えば絶望したんだよ。たかがイジメでって言う人もいるかもしれないが、僕にとっての世界なんて狭いものさ。
なんとなく、ネットで人気があったゲームを買ってからはそのゲームに夢中になり……言いにくいけど死んじゃったんだ。
死因は……親にも世間にも見捨てられた引きこもりの末路。とだけ言っておくよ。
とにかく、そんな記憶を思い出したんだ。まさか夢中になってたゲームの悪役令嬢に生まれ変わるなんて思いもしなかったけどね。
何回も繰り返しやりこんだからこのゲームの事はよく知っている。裏技とか、隠しルートとか。それこそ極秘キャラとか。
それにしても婚約者の王子……ユーリまで転生者だとわかった時はめちゃくちゃ驚いたけど。しかもヒロインと結ばれる事にしか興味が無いノータリンときたもんだ。なんとも幸せそうで羨ましい限りだけどね。
最初は転生者同士なのが嬉しかった。自分の前世の事情なんかは話さなかったけどユーリも僕のアンダーグラウンドよりはこのゲームの事を語っている方が楽しそうだったからね。全く興味を持たれなくて喜んだのは初めてだよ。
だけどユーリと話をすればするほど自分の身の危機を感じた。この男……自分がヒロインと結ばれる為に僕が犠牲になる事に何も感じてないようだ。口先では「悪いようにはしないから」とか「ヒロインとハッピーエンドにさえなれば、悪役令嬢は自由だし」とか……無責任にもほどがある。
ねぇ、ユーリ?この世界は確かにゲームの世界かもしれないけど……僕にとっては今を生きる現実なんだよ?
ヒロインの攻略次第でどうとでも変化する攻略対象者……その中でもチョロイと有名な王子のそんな軽い言葉なんか信じれるわけないじゃないか。
だから、僕は行動に出ることにした。
まずは第一のシークレットキャラである騎士見習いを巻き込んだ。なんとなくだけと、ヒロインがこのシークレットキャラを引っ張り出そうとしている気がしたから。勘が働いたのさ。
そして本命のシークレットキャラを探し出す旅に出たんだ。騎士見習いは幼馴染みなこともあったけど、純粋に僕を心配してついてきてくれた本当に優しい子だよ。
僕は僕の運命を変えて見せる。
そのキャラこそ、全ルートのバッドエンドからハッピーエンドまで全てをクリアした者のみが知る“悪役令嬢救済ルート”の最重要キャラクター……。
「それが、君なんだよ」
全てを説明し、にっこりと微笑んでそう言えば目の前にいる同じ顔をした少女は呆然とした顔で僕を見ていた。
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