落ちこぼれ魔女ですが、悪役令嬢の替え玉やってます

As-me.com

文字の大きさ
上 下
13 / 18

落ちこぼれ魔女と悪役令嬢②

しおりを挟む
「これはユーリも知らない事なんだけどーーーー実は私、中身が男なんだよね」

“なかみがおとこ”

    おとこ?男?へ?中身?

    あまりの混乱に思わずオフィーリアの胸を凝視してしまった。

    まさか、アレは偽物なのだろうか?

「あ、違う違う」

    私の失礼過ぎる視線に気付いたオフィーリアは上品に笑いながら手のひらを横に振った。

「体は女だよ。産まれた時から正真正銘の天然物。……君はユーリの事を聞いてると思うけど、私も前世の記憶があるんだ。
その前世で私は男だったんだけど、記憶を思い出したら精神も男に戻っちゃってね。今、非常に困ってるんだよ」

    全く困って無さそうに「ふふふ」と笑うと、優雅な仕草で紅茶をひと口飲んだ。

「……ユーリと同じなんですか?」

「性別の事以外ならたぶん同じだよ」

    気が付くとオフィーリアの話し方が変化している。その自然な雰囲気に嘘ではないと受け入れることが出来た。

「では……あなたもこの世界がゲームの世界だと言うのですね?ユーリの妄想じゃなくて」

「そうだよ。ユーリは馬鹿だけど素直な奴なんだ。でも馬鹿正直過ぎるから、ゲームのその後の事まで考えてない。とにかくヒロインと結ばれてハッピーエンドにさえなれれば大丈夫だと思ってる。だから替え玉なんて馬鹿な事をするんだよね」

    嘘ではないとわかってる。オフィーリアの言葉は素直に信じられた。別にユーリの事を全く信じていなかったわけでもないけど(あんまり信じてもいないけど)改めて言われるとやはり複雑な気持ちになってしまった。

「あの……それじゃあ、駆け落ちしたのはその悪役令嬢の運命から逃れるためだったんですよね?なぜ戻ってきたんですか?」

    ユーリの言ってた事が真実ならば、オフィーリアの将来は決まっている。わざわざ冤罪で断罪されるために戻ってきたとは思えない。

「あぁ、それは……。なんと言うか、別に駆け落ちとかそんなんじゃなかったんだけどね。

    ーーーー君を探しに行ってたんだよ、ルルーシェラ。君こそ私の運命を変える為の最重要人物……シークレットキャラクターだったんだ」

    にっこりと、とんでもない事を言うオフィーリア。その笑顔は優雅で美しく端から見れば完璧な公爵令嬢の微笑みだが、なんだがとんでもなく恐ろしい圧を感じてしまった。

「は?私?しーくれっときゃら……ってなんですかそれ?!」

    あまりの圧に恐怖を感じ思わず聞いてしまったが、聞かなきゃ良かったと思ってしまったのだった。



「君は、私……オフィーリア・カサンドラの生き別れの双子の妹なんだよ」

    もう、意味がわからない……!
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?

こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。 「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」 そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。 【毒を検知しました】 「え?」 私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。 ※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです

深窓の悪役令嬢~死にたくないので仮病を使って逃げ切ります~

白金ひよこ
恋愛
 熱で魘された私が夢で見たのは前世の記憶。そこで思い出した。私がトワール侯爵家の令嬢として生まれる前は平凡なOLだったことを。そして気づいた。この世界が乙女ゲームの世界で、私がそのゲームの悪役令嬢であることを!  しかもシンディ・トワールはどのルートであっても死ぬ運命! そんなのあんまりだ! もうこうなったらこのまま病弱になって学校も行けないような深窓の令嬢になるしかない!  物語の全てを放棄し逃げ切ることだけに全力を注いだ、悪役令嬢の全力逃走ストーリー! え? シナリオ? そんなの知ったこっちゃありませんけど?

義弟の為に悪役令嬢になったけど何故か義弟がヒロインに会う前にヤンデレ化している件。

あの
恋愛
交通事故で死んだら、大好きな乙女ゲームの世界に転生してしまった。けど、、ヒロインじゃなくて攻略対象の義姉の悪役令嬢!? ゲームで推しキャラだったヤンデレ義弟に嫌われるのは胸が痛いけど幸せになってもらうために悪役になろう!と思ったのだけれど ヒロインに会う前にヤンデレ化してしまったのです。 ※初めて書くので設定などごちゃごちゃかもしれませんが暖かく見守ってください。

悪役令嬢の慟哭

浜柔
ファンタジー
 前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。  だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。 ※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。 ※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。 「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。 「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。

嫁ぎ先は悪役令嬢推しの転生者一家でした〜攻略対象者のはずの夫がヒロインそっちのけで溺愛してくるのですが、私が悪役令嬢って本当ですか?〜

As-me.com
恋愛
 事業の失敗により借金で没落寸前のルーゼルク侯爵家。その侯爵家の一人娘であるエトランゼは侯爵家を救うお金の為に格下のセノーデン伯爵家に嫁入りすることになってしまった。  金で買われた花嫁。政略結婚は貴族の常とはいえ、侯爵令嬢が伯爵家に買われた事実はすぐに社交界にも知れ渡ってしまう。 「きっと、辛い生活が待っているわ」  これまでルーゼルク侯爵家は周りの下位貴族にかなりの尊大な態度をとってきた。もちろん、自分たちより下であるセノーデン伯爵にもだ。そんな伯爵家がわざわざ借金の肩代わりを申し出てまでエトランゼの嫁入りを望むなんて、裏があるに決まっている。エトランゼは、覚悟を決めて伯爵家にやってきたのだがーーーー。 義母「まぁぁあ!やっぱり本物は違うわぁ!」 義妹「素敵、素敵、素敵!!最推しが生きて動いてるなんてぇっ!美しすぎて眼福ものですわぁ!」 義父「アクスタを集めるためにコンビニをはしごしたのが昨日のことのようだ……!(感涙)」  なぜか私を大歓喜で迎え入れてくれる伯爵家の面々。混乱する私に優しく微笑んだのは夫となる人物だった。 「うちの家族、みんな君の大ファンなんです。悪役令嬢エトランゼのねーーーー」  実はこの世界が乙女ゲームの世界で、私が悪役令嬢ですって?!  えーと、まず、悪役令嬢ってなんなんですか……?!

気が付けば悪役令嬢

karon
ファンタジー
交通事故で死んでしまった私、赤ん坊からやり直し、小学校に入学した日に乙女ゲームの悪役令嬢になっていることを自覚する。 あきらかに勘違いのヒロインとヒロインの親友役のモブと二人ヒロインの暴走を抑えようとするが、高校の卒業式の日、とんでもないどんでん返しが。

乙女ゲームの正しい進め方

みおな
恋愛
 乙女ゲームの世界に転生しました。 目の前には、ヒロインや攻略対象たちがいます。  私はこの乙女ゲームが大好きでした。 心優しいヒロイン。そのヒロインが出会う王子様たち攻略対象。  だから、彼らが今流行りのザマァされるラノベ展開にならないように、キッチリと指導してあげるつもりです。  彼らには幸せになってもらいたいですから。

悪役令嬢は永眠しました

詩海猫
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」 長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。 だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。 ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」 *思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m

処理中です...