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客観的に見れば、どちらもそれなりに拗らせている
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ここは、あるはずがないと思っていた6回目のループの世界なのだーーーー。
全てに絶望した私は、5回目の時とは全く逆で何に対してもやる気が出なかった。それでも今までと同じく時間は進む。そう言えば、この世界ではあの5人の誰が選ばれるのだろうか。前回の世界で私が死んだ後、殿下は幸せになれたのかどうかも気にならないわけではないが……もうどうでもいい気もしていた。時々、昔の賢者はなんて言ってたっけ?と脳裏に疑問がよぎるが、考えることなく思考が停止してしまう。
「……アンバーは、大丈夫だったかしら…………」
瞼を閉じると思い浮かぶのはあの小さなドラゴンの姿だった。まさか、最後のお別れも出来ないまま離れ離れになってしまうなんて思いもしなかった。ドラゴンママから託されたあの日からずっと一緒だったのに……。あぁ、でも今のこの世界ではあの子はまだ産まれてもいないのだ。
「…………」
アンバー、フラム……ユーキさんと錬金術さん。マダムや旅で出会った人たち……ついでにベクターも。
この世界では、誰も私のことを知らない。そう思うと胸が苦しくなる。でも、また同じ行動を出来るかと問われればそれも出来ないでいた。
「……世界をループするのが、こんなに悲しくて苦しいなんて初めてだわ…………」
なんだか無性に悲しくて、いつの間にか涙が溢れていたのだった。
それからの私は何をするにしても無気力だった。もちろん教会に乗り込んだり自分が賢者だと名乗ったりもしない。だが、やはり体が覚えていたからか公爵令嬢としてのマナーや淑女教育は無意識にも完璧にこなしてしまう。殿下の婚約者時代だったループ世界で学んだ事はしっかりと身に染み付いていたようだ。だからなのか、それともやはりテンプレ世界だからか、私はいつものようにヴィンセント殿下の婚約者候補に選ばれ……今、この世界のアレフが目の前にいた。
「エターナ。この子は今日からお前の義弟のアレフだ。仲良くするんだよ」
お父様が連れてきたのは、少し赤みがかったふわふわの茶髪の少年だ。記憶に残るのと同じキリッとした切れ長のアーモンド色をした瞳は今は不安の陰りに染まっている。
「アレフ……」
その懐かしい姿に思わず涙が滲み出る。私はそのまま手を伸ばし、アレフを抱き締めていた。
「……っ?!あ、あの、エ、エターナ……さま?」
驚いたのだろう。身を固くして慌てるアレフにさらに涙が溢れた。前回のアレフはいつの間にか冷静な対応ばかりの大人な雰囲気になっていたけれど、確かに最初は初々しくて私に対してもどこか怯えていたっけ。
「私の可愛い義弟……大好きよ、アレフ」
もうほかの人たちには出会えないかもしれない。殿下のこともどうしようもないかもしれない。でも、アレフだけはあんな聖女の毒牙にはかけたくなかった。
「そうか、エターナはそんなに弟が欲しかったのか!仲良く出来そうで良かった」
目を白黒させるアレフとは別ににこにこと嬉しそうなお父様。そんなお父様に私は大きく頷いてみせた。
「そうよ!本当はずっとずっと弟が欲しかったの!だからすごく嬉しいわ!大丈夫よ、アレフ。私が絶対に守ってあげる……」
そう、例えアレフがあの聖女を望んだとしても……。私の義弟に手出しはさせないわ!そう考えたらなんだかやる気が出てきた気がする。だってアレフは前回の世界でずっと私の味方でいてくれたんだもの。せめてこの世界では今度は私が守るわ。
その日、私はやっとこのあらたな世界で生きる意味を見つけたのだった。
その後、アレフがこの義姉の過剰な過保護成分のせいでシスコンを拗らせたのは言うまでもない。スーパーお姉ちゃん大好きっ子爆誕の最初の一歩であった。
全てに絶望した私は、5回目の時とは全く逆で何に対してもやる気が出なかった。それでも今までと同じく時間は進む。そう言えば、この世界ではあの5人の誰が選ばれるのだろうか。前回の世界で私が死んだ後、殿下は幸せになれたのかどうかも気にならないわけではないが……もうどうでもいい気もしていた。時々、昔の賢者はなんて言ってたっけ?と脳裏に疑問がよぎるが、考えることなく思考が停止してしまう。
「……アンバーは、大丈夫だったかしら…………」
瞼を閉じると思い浮かぶのはあの小さなドラゴンの姿だった。まさか、最後のお別れも出来ないまま離れ離れになってしまうなんて思いもしなかった。ドラゴンママから託されたあの日からずっと一緒だったのに……。あぁ、でも今のこの世界ではあの子はまだ産まれてもいないのだ。
「…………」
アンバー、フラム……ユーキさんと錬金術さん。マダムや旅で出会った人たち……ついでにベクターも。
この世界では、誰も私のことを知らない。そう思うと胸が苦しくなる。でも、また同じ行動を出来るかと問われればそれも出来ないでいた。
「……世界をループするのが、こんなに悲しくて苦しいなんて初めてだわ…………」
なんだか無性に悲しくて、いつの間にか涙が溢れていたのだった。
それからの私は何をするにしても無気力だった。もちろん教会に乗り込んだり自分が賢者だと名乗ったりもしない。だが、やはり体が覚えていたからか公爵令嬢としてのマナーや淑女教育は無意識にも完璧にこなしてしまう。殿下の婚約者時代だったループ世界で学んだ事はしっかりと身に染み付いていたようだ。だからなのか、それともやはりテンプレ世界だからか、私はいつものようにヴィンセント殿下の婚約者候補に選ばれ……今、この世界のアレフが目の前にいた。
「エターナ。この子は今日からお前の義弟のアレフだ。仲良くするんだよ」
お父様が連れてきたのは、少し赤みがかったふわふわの茶髪の少年だ。記憶に残るのと同じキリッとした切れ長のアーモンド色をした瞳は今は不安の陰りに染まっている。
「アレフ……」
その懐かしい姿に思わず涙が滲み出る。私はそのまま手を伸ばし、アレフを抱き締めていた。
「……っ?!あ、あの、エ、エターナ……さま?」
驚いたのだろう。身を固くして慌てるアレフにさらに涙が溢れた。前回のアレフはいつの間にか冷静な対応ばかりの大人な雰囲気になっていたけれど、確かに最初は初々しくて私に対してもどこか怯えていたっけ。
「私の可愛い義弟……大好きよ、アレフ」
もうほかの人たちには出会えないかもしれない。殿下のこともどうしようもないかもしれない。でも、アレフだけはあんな聖女の毒牙にはかけたくなかった。
「そうか、エターナはそんなに弟が欲しかったのか!仲良く出来そうで良かった」
目を白黒させるアレフとは別ににこにこと嬉しそうなお父様。そんなお父様に私は大きく頷いてみせた。
「そうよ!本当はずっとずっと弟が欲しかったの!だからすごく嬉しいわ!大丈夫よ、アレフ。私が絶対に守ってあげる……」
そう、例えアレフがあの聖女を望んだとしても……。私の義弟に手出しはさせないわ!そう考えたらなんだかやる気が出てきた気がする。だってアレフは前回の世界でずっと私の味方でいてくれたんだもの。せめてこの世界では今度は私が守るわ。
その日、私はやっとこのあらたな世界で生きる意味を見つけたのだった。
その後、アレフがこの義姉の過剰な過保護成分のせいでシスコンを拗らせたのは言うまでもない。スーパーお姉ちゃん大好きっ子爆誕の最初の一歩であった。
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