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シャルロットのお誘い
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学園祭開催のお知らせの翌日、シャルロットはオリヴィアとナターシャを連れてロームルス城を訪れていた。
「ふむ……」
謁見の間にはゼノン王の低い唸り声が響いている。ヴィクトリア女王、クリスティーナ、エリザベス、ルードルフは、玉座に腰かけるゼノン王の様子をじっと伺っている。
「……よし分かった!」
じっと考え込んでいたゼノン王は、両膝を叩き勢いよく立ちあがる。
「シャルロットの学園祭へいこう!」
「お父様、本当ですの!?」
「もちろんだ、約束しよう!」
「やったわ! 約束ですわ!」
どうやらシャルロット達はゼノン王を学園祭に誘うため王城を訪れていたようだ。
ピョンピョンと飛び跳ね大喜びのシャルロット、一方のオリヴィアとナターシャは青白い顔でプルプルと震えている。
「はあぁ……国王陛下を学園祭に誘うだなんて、緊張で死んでしまうかと思いました……」
「リヴィもですか……、私も緊張して息が……止まりそうでした……」
「ナターシャもオリヴィアも、付き合ってくれてありがとうですわ! ワタクシ一人では緊張してしまって……おかげでお父様を学園祭に誘うことが出来ましたわ!」
「おいシャルロットよ、俺を学園祭に誘うだけでそんなに緊張するものなのか?」
「お父様は一国の王様ですのよ? 忙しいのも分かっていますし、緊張するに決まっていますわ」
「ふむ、そういうものか」
ゼノン王へのお誘いは成功しホッと一安心、かと思いきや。
「お待ちください陛下、溜まりに溜まった執務はどうされるのですか? 学園祭に参加している余裕はないのでは?」
どうやらゼノン王は執務を大量に溜めこんでいたようである、これでは学園祭への参加も危ういかもしれない。
「案ずるなルードルフよ、策はある!」
「策とは一体?」
「俺は学園祭の日まで一睡もしない、死ぬ気で執務を終わらせる! なんとしてでもシャルロットの学園祭へいくのだ!」
「はぁ……それは策とは言いませんよ……」
もやは策というより気合い頼みの作戦に、ルードルフはすっかり呆れ果ててしまう。
「お姉様達もいらしてくださいね! もちろんルードルフも!」
「えぇ……もちろんよ……」
「シャルロットの学園祭か、これは楽しみだな!」
「私まで誘っていただけるとは光栄です、ありがとうございます」
「おい待てルードルフよ、お前も仕事が溜まっているのではないか?」
「私は陛下のように仕事を溜めこんだりしませんよ」
「くっ……ルードルフめ……」
恨めしそうな表情を浮かべるゼノン王、どうやら忙殺されてしまうのはゼノン王一人だけのようだ。
「ところでシャルロット様、学園祭とはどのような催しなのですか?」
「ロームルス学園の生徒全員が参加するお祭りですわ、各学年、各クラスで様々な出し物を企画しますの。例えば演劇を披露するクラス、出店でお料理を振舞うクラス。学んだ剣術や魔法をお披露目するクラスもありますわね」
「してシャルロットよ、下級クラスはどのような出し物を?」
興味津々で身を乗り出すゼノン王、しかし横からヴィクトリア女王に止められてしまう。
「ちょっとあなた、まだナイショに決まっているでしょう? 楽しみはとっておかなくちゃ!」
「確かにその通りだな、ならば楽しみにしておくとしよう。さあ執務を終わらせねば……む?」
シャルロットからのお誘いも一段落といったところで、謁見の間の扉が開かれる。
扉を開けたのはスラリと背の高い若者だ、金色の髪をなびかせながら謁見の間へと足を踏み入れる。
「お久しぶりです、父上」
「お、お兄様!」
シャルロットから“お兄様”と呼ばれた若者、すなわち彼こそロムルス王国の第一王子。
「アルフレッド・ジャン・ジュール・ロムルス、ただいま戻りました」
「ふむ……」
謁見の間にはゼノン王の低い唸り声が響いている。ヴィクトリア女王、クリスティーナ、エリザベス、ルードルフは、玉座に腰かけるゼノン王の様子をじっと伺っている。
「……よし分かった!」
じっと考え込んでいたゼノン王は、両膝を叩き勢いよく立ちあがる。
「シャルロットの学園祭へいこう!」
「お父様、本当ですの!?」
「もちろんだ、約束しよう!」
「やったわ! 約束ですわ!」
どうやらシャルロット達はゼノン王を学園祭に誘うため王城を訪れていたようだ。
ピョンピョンと飛び跳ね大喜びのシャルロット、一方のオリヴィアとナターシャは青白い顔でプルプルと震えている。
「はあぁ……国王陛下を学園祭に誘うだなんて、緊張で死んでしまうかと思いました……」
「リヴィもですか……、私も緊張して息が……止まりそうでした……」
「ナターシャもオリヴィアも、付き合ってくれてありがとうですわ! ワタクシ一人では緊張してしまって……おかげでお父様を学園祭に誘うことが出来ましたわ!」
「おいシャルロットよ、俺を学園祭に誘うだけでそんなに緊張するものなのか?」
「お父様は一国の王様ですのよ? 忙しいのも分かっていますし、緊張するに決まっていますわ」
「ふむ、そういうものか」
ゼノン王へのお誘いは成功しホッと一安心、かと思いきや。
「お待ちください陛下、溜まりに溜まった執務はどうされるのですか? 学園祭に参加している余裕はないのでは?」
どうやらゼノン王は執務を大量に溜めこんでいたようである、これでは学園祭への参加も危ういかもしれない。
「案ずるなルードルフよ、策はある!」
「策とは一体?」
「俺は学園祭の日まで一睡もしない、死ぬ気で執務を終わらせる! なんとしてでもシャルロットの学園祭へいくのだ!」
「はぁ……それは策とは言いませんよ……」
もやは策というより気合い頼みの作戦に、ルードルフはすっかり呆れ果ててしまう。
「お姉様達もいらしてくださいね! もちろんルードルフも!」
「えぇ……もちろんよ……」
「シャルロットの学園祭か、これは楽しみだな!」
「私まで誘っていただけるとは光栄です、ありがとうございます」
「おい待てルードルフよ、お前も仕事が溜まっているのではないか?」
「私は陛下のように仕事を溜めこんだりしませんよ」
「くっ……ルードルフめ……」
恨めしそうな表情を浮かべるゼノン王、どうやら忙殺されてしまうのはゼノン王一人だけのようだ。
「ところでシャルロット様、学園祭とはどのような催しなのですか?」
「ロームルス学園の生徒全員が参加するお祭りですわ、各学年、各クラスで様々な出し物を企画しますの。例えば演劇を披露するクラス、出店でお料理を振舞うクラス。学んだ剣術や魔法をお披露目するクラスもありますわね」
「してシャルロットよ、下級クラスはどのような出し物を?」
興味津々で身を乗り出すゼノン王、しかし横からヴィクトリア女王に止められてしまう。
「ちょっとあなた、まだナイショに決まっているでしょう? 楽しみはとっておかなくちゃ!」
「確かにその通りだな、ならば楽しみにしておくとしよう。さあ執務を終わらせねば……む?」
シャルロットからのお誘いも一段落といったところで、謁見の間の扉が開かれる。
扉を開けたのはスラリと背の高い若者だ、金色の髪をなびかせながら謁見の間へと足を踏み入れる。
「お久しぶりです、父上」
「お、お兄様!」
シャルロットから“お兄様”と呼ばれた若者、すなわち彼こそロムルス王国の第一王子。
「アルフレッド・ジャン・ジュール・ロムルス、ただいま戻りました」
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