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15話 執念深いレオン君 その3
しおりを挟むリューラ・クテシオン……年齢は20代前半だが、とてもプライドが高く嫉妬深い人間でもある。相当な美女でもあるので許されている節もあったりするが……。
「お久しぶりです、リューラ様」
「ええ、お久しぶりね、アミーナ。それにしても……こんな辺境、いいえ、生臭いところで生活していらしたのね」
「……はあ」
アミーナは早速引いている様子だ。リューラとは、レオンの側室として住んでいた頃に何度か会っているが……貴族気質が強すぎるため、絶対に合わない人だと感じていた。彼女に比べれば、レオン自身はまだまだ可愛らしい方でもある。
「そちらが、新しい恋人ですのね?」
「はい……まあ」
「ふ~~ん……」
リューラはなぜかカイルを品定めするかのように見つめていた。カイルはレオンをはるかに超える嫌悪感を持っているのか、彼女に挨拶すら交わす様子を見せていない。アミーナは苦笑いをしながら、一触即発のムードにならないかを心配していた。
「二枚目ですけれど……田舎くさい男ですわね。まあ、レオンに捨てられたんだから、この程度の男しか手に入れられないのでしょうけど」
「ちょ……どういう意味ですか?」
アミーナはさすがに頭にきたのか、声を荒げて聞き返している。自分自身と彼氏の両方を侮辱されたのだから当然だ。カイルの方は冷静賃借ではあったが。
「まったく……貴族に対する口の利き方もなっていないようね? レオンもなぜこんな小娘を選んだのかしら? 理解に苦しむわ」
「……」
一体、リューラ・クテシオンはどういう意図で二人の前に現れたのか……アミーナは理解に苦しんでいた。ただの嫉妬に狂って……というわけでもなさそうなところが、余計にわからなくさせているのだ。
その後もリューラは、アミーナとカイルの二人を徹底的に攻撃していた。殴られても文句の言えない差別的発言まで連呼しながら、徹底的に……。本来であれば、アミーナも逆上するところではあるが……
「……なにか言いたいことはないの?」
「……寂しいんですか?」
この人はもしかしたら、口喧嘩にやって来たのかもしれない……アミーナの感じた新手の「構ってちゃん」の雰囲気……それを連想したからこそ、彼女も冷静になっていたのだった。
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