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14話 執念深いレオン君 その2

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「なあ、アミーナ~~~」

「なによ?」

 この日、仕事が終わった二人は夜のデートと洒落こんでいたのだが……。何やらトラブルが発生しているようだ。


「今夜くらいいいだろ? 前の発言は謝ったじゃねぇかよ」

「なに言ってんのよ、バカ。道具使うとか変なこと言っておいてさ。しばらくの間は全面的に禁止よ。デートだけはしてあげるけど」

「ちょっ……それは、生殺しというやつか……」

 先日のカイルの発言の代償は大きかったと言えるだろう。彼は、アミーナから全面的な「おあずけ」を喰らっていたのだ。もう、1週間ほどの間も……。しかも、デートだけはさせてもらえるという状態が、さらにキツイことであった。

 デートの後、そのまま宿にしけこんで……という自然な流れが作れないのだから。彼氏のカイルにとっては、非常に悶々としてしまうのだった。

「それにあんた……酒場とかで、仲良くなった女の子とか居るでしょ?」

「えっ……? あ、いや……」

 アミーナからの突然の指摘にカイルは黙り込んでしまった。確かに心当たりがあるからだ。

「あ~あ、二枚目のカイル様は選びたい放題ってわけね」

「おいおい、変なところで妬くなよ……! それに、あいつらはお前がここを離れていた時に知り合っただけで……」

「……わかってるわよ、そんなこと」

 アミーナとしては、カイルを本気で疑っているわけではない。なんとなく、拗ねてみただけだ。

「じゃあ、なんでそんな話題出してきたんだよ……? 意味がわからんぞ」

「別に……女の子は、彼氏に愛されてるか確認したくなる時があるのよ」

 アミーナはそう言いながら、彼の胸に抱き着いた。カイルは一瞬、何が起きたのかわからず焦っていたが、すぐに彼女の背中に手を回す。

「……俺もちょっと先走り過ぎてたかな。悪い、アミーナ」

「ううん、大丈夫よ。ただし、道具とかは禁止だからね?」

「わ、わかってるって……あれは冗談だし……」

 カイルの気持ちは上手くアミーナに伝わったようだ。本日は「おあずけ」解除の日となるのかもしれない。それなりに熱い夜となりそうだ。


 しかし、彼ら二人を邪魔する輩の存在が少し……。執念深いレオン君は、またもや馬車に乗って、アミーナの前に姿を現したのだ。また来たのか……そんなことを考えていた二人だったが、馬車から出て来たのは別の人物だった。

「あなたは……」

「少しよろしくて? お話がありますの」

 現れたのはアミーナにとっても予想外の人物……レオン・アンバートの正室に当たる、リューラ・クテシオンだったのだ。
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