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1話 幼馴染と愛を育む その1
しおりを挟む一夫多妻制が導入されている国家、ローランド王国。有力貴族の一人であるレオン・アンバートは、側室である平民のアミーナ・チェスターと話をしていた。
「えっ? 婚約破棄……?」
「ああ……済まないが、受け入れてほしい。正室である本妻がどうしてもと聞かないものでな」
「……」
金髪のショートカットを有しているアミーナは無言になっている。平民であり、王都内でもまずしい地域出身の彼女を側室にと選んだのはレオン本人だ。
彼女のエメラルドブルーの瞳とショートカットの金髪の髪型。さらにバスト90センチを超え、総合的なスタイルも完璧なスペックに舌なめずりをした結果と言える。アミーナの家族もレオン侯爵の側室になれるのならと喜んで送り出していた。これで生活の心配は必要ないわけだ。
ところが、本妻の嫉妬? のようなもので突然、婚約破棄に至ってしまった。本来であれば、怒ってもおかしくないところではあるが……」
「承知しました。受け入れます」
「そ、そうか……いやいや、済まないな」
思いの外、あっさりと引き下がったことにレオンはほっと胸を撫で下ろしていた。アミーナの身体を堪能できなかったのは心残りではあるが……。
「でも、婚約破棄のお金はいただけるんですよね?」
「うむ、心配するな。十分な金額を用意してやろう」
「それを聞いて安心しました」
レオン・アンバートはまずまずの外見ではあるが、気弱な印象もあり、アミーナとしては好きでもなんでもなかった。単純に婚約破棄のダメージは負っているが、お金をいただけるのであれば、それに固執する必要はない。
一生暮らすことは難しくなったが、手切れ金でしばらく贅沢に過ごせるだけで、良しとするべき。彼女はそのような結論に至っていた。
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「だから言っただろ? 貴族なんか信用するなって。ったく、金の為に純血捧げかけるとか……」
「面目ないわ、ホント……」
その後、レオンの所から帰って来たアミーナは幼馴染である、カイル・ホッパーに婚約破棄の件を伝えていた。カイルは赤い髪を有した目つきの鋭い二枚目の人物だ。彼女の話を聞いて、溜息をこぼしていた。
「ま、良かったんじゃねぇの?」
「ホントにそう思う? お母さんやお父さんの負担がなくなるはずだったのに……」
アミーナは婚約破棄云々よりも、母と父の負担が消えないことを残念に思っていた。自分が一生を過ごすことができれば、それだけ負担がなくなると考えているのだ。
「おいおい、それはおじさんとおばさんに失礼だからな?」
「そう……?」
アミーナは家族の為ならば、自分を犠牲にしても良いと考えている。しかし、その考えは間違いだ。幼馴染のカイルは、この段階で彼女にわからせる必要があると考えた。
この時、アミーナの瞳にはいつも以上に格好いい彼の姿が映っていたという。彼らの恋の物語はここから始まる……。
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