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6話 虐げ令嬢 その2
しおりを挟む「じゃあ、オフィーリア。食事会は18時からだから。遅れないようにね」
「ええ、わかりましたわ」
ペニュアとマリーンは、食事会に参加すると言い出したオフィーリアを意外な目で見ているようだった。からかい半分で誘ってはみたが、本音としては断ると思っていたのだ。
「私も参加してもよろしいのかな? いきなりで、迷惑ではないかね?」
「シムルグ伯爵様を迷惑がる人なんて居ませんよ! 大歓迎です!」
飛び入りで参加が決定したシムルグ伯爵。ペニュアとマリーン姉妹としては、そちらの方がサプライズであり、むしろ本命と言えた。オフィーリアは所詮、自分たちの引き立て役として動いてくれればいいと考えているのだから。
「それじゃあ、のちほど」
「ええ、それでは」
食堂での食事もそれぞれ終了し、ペニュアとマリーンの元から二人は去って行った。その後ろ姿を苦々しく見つめている。
「なんかオフィーリアの奴、生意気じゃない? どうやってシムルグ伯爵と仲良くなったわけ?」
「さっき、ゴードン様と庭で話してたみたいだけど……泣いてたから、情に訴えかけたんでしょどうせ。あんな頭でっかちの女、本気で好きになる殿方なんて居やしないわ」
醜い嫉妬の感情だろうか? ペニュアとマリーンの二人は恨みがましく睨みつけ、オフィーリアの悪口を並べ立てていた。あんなほとんど遊んだことのない女に後れを取るわけがない。彼女たちは、殿方との食事会で恥を晒させてやろうと心に誓っていたのだ。
ペニュアとマリーンは意地悪めいた笑みを浮かべ、二人を見送っていた。
-------------------------------
そして、時間は18時を迎えることになった。貴族間の食事会……その場所は、パーティ会場の一室が宛がわれていた。平民たちのそれの場合は、街のどこかのお店ということになるだろうが、貴族街に住む者達の場合、専用の部屋があったりする。
既に何名かの貴族たちの姿がある。ペニュアとマリーンは青と赤のドレス姿になって会場を訪れていた。とても美しい二人。本来であれば、男性陣の目線は彼女達に向かうはずだが……。
「おお……なんとも、大胆な……!」
「非常に美しい……!」
男性の貴族陣が放った言葉は、ペニュアとマリーンの後ろに向けられていた。
「え……?」
彼女たちも肩越しに振り返り、後ろの人物に目をやる。そこには……黒のドレスに身を包んだ、オフィーリアの姿があったのだ。胸元は大胆に露出しているデザインで、左側に腰までの深いスリットがある。オフィーリアはスタイルも良い為、相当に似合っていた。
明らかにペニュアとマリーンの衣装よりも目立っている……。二人は引き立て役として呼んだ存在に、いきなりカウンターパンチを喰らわされた錯覚に陥っていた。
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