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45話 それぞれの状況 その1

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「よし、これでとりあえずは安心ね」

 シエラ女王陛下は親衛隊を引き連れて、その日のお昼ごろにはアルガス伯爵の屋敷を去って行った。最初は協力を断られ……現在はその状況を180度覆している。アイリーンにとっては、最高の状況になったと言えるだろう。


「さて、この後どうしましょうか? アルガス伯爵もシエラ女王に付き添って出て行かれましたし」

「自由にしといて言われてるし、私の部屋来ない?」

「そうね。じゃあ、タイネーブの部屋に行きましょうか」


 タイネーブの部屋と言っても、アルガスが用意した客間ではあるが。今は暇な時間を使える時だ。アイリーンとミランダは彼女の部屋に行くことにした。


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「でも、ホンマに助かったわ。ありがとう、アイリーン」

「いいわよ、気にしないで。それにお礼なら、シエラ女王陛下やアルガス伯爵にお願い。私では実際は何もできないんだから」

 実際に兵を動かせるのは、あくまでもシエラ女王陛下だ。アイリーンは自分が凄いとは考えていない。

「タイネーブの安全と、あとは……テッド達、他の冒険者の安全を考えればそれくらい普通よ」

「ありがとうな、アイリーン」

 再びタイネーブは感謝の意を示した。それで終わりだ。これ以上はアイリーンの迷惑にもつながる。


「それにしても、千里眼持ち……どういうことなん? 凄過ぎやわ……」

 話はアイリーンの先読み能力に移行していた。タイネーブも冒険者をしているが、そんな能力の持ち主は見た事がない。怪しい占い師などはたくさん見てきたが。

「アイリーン様は追放された当初より、その能力を使っていらっしゃったのですね? その為に、あのような大胆な行動に出ることが出来た」

 ミランダは追放前後の出来事を思い出していた。アイリーンは自らのバッドエンド回避の為に追放されるように仕向けていたのだ。ミランダからすれば、千里眼にしか映らないだろう。

「ま、まあ間違ってはないかな……あはは」

 上手く説明できないので、適当に笑いながらごまかすアイリーン。彼女はこの能力については、あまり突っ込んでほしくはない。しかし、世の中はそう甘くはない。

 ミランダとタイネーブの興味の連鎖を止める術は彼女は持ち合わせていなかった。

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